2014年東大理系数学(第1問)入試問題の解答(答案例)・解説(三角関数・ベクトル・外積・解と係数の関係)

 

2014年 東大数学 理系第1問の解説

連日の投稿です。
今日から理系の問題の残りですね。
2014年の空間図形の問題です。
 

問題の分析

三角関数、空間図形が登場し、面積を求める問題ですね。
(2)ではαとβの条件が登場しますし、三角関数は必ず使いそうです。
 
空間図形に関しては、直方体が登場するだけですから、それほど複雑な図形ではありません。
空間図形が登場したら、主に「三角比」と「ベクトル」が連想出来れば良いでしょう。どちらも三角関数と相性が良いですので、あまり偏見を持って方針を絞らない方が良いと思います。
 
最後に面積に関係することを連想してみましょう。
面積を求めるにあたって、最も大切なことは「図形のカタチ」です。
三角形の面積を求めるのと、四角形の面積を求めるの、はたまた放物線と直線に囲まれる図形の面積を求めるのは、全く違う方針になってしまいます。
 
では、今回求める四角形は、どんなカタチなのでしょう。
 

平行な2平面に、別の平面が刺さってたら、その2交線は平行になる

答えから言ってしまいましょう。
これ、平行四辺形になります。
当たり前のようで、意外に気付かないような気もしますので、一応触れておきます。
平行な2平面があって、別の平面が交わってたら、交線(交わっている所の線)は平行になります。
この画像をご覧ください。赤い線が平行になると言う事です。
 
こういう図で説明すればわかるんですが、複雑な図形になると気付きづらい。
図形の問題のコツは、「線を消すこと」です。
補助線を引こうとする人はいますが、線を消そうとする人は少ないです。
複雑な図形なときほど、余計な線を消して図を描きなおしてみると、見えてくるものがあります。
 

面積公式の絞り込み

ということで、求める図形は平行四辺形だと分かりました。
次に、使う面積公式を絞ります。
 
しかし、平行四辺形の面積公式は、大したものがありません。
(一辺の長さ)×(高さ)か、(対角線A)×(対角線B)×sinθ、くらいでしょうか。
一つ目を使おうとすると、高さを求めるのが面倒で、二つ目を使おうとすると対角線の長さやsinの値を求めるのが面倒。
しかも、問題文の指示のtanが登場しなくて困ってしまう。
 
ということで、平行四辺形を半分に分割して、三角形の面積の公式を使おうと考えます。
しかし、三角形の面積公式はたくさんあります。
実は、高校数学だけでもこんなにたくさん習ったってご存知でしたか?
細かいものを合わせると、まだまだあります。
それぞれ、使い所と、メリット&デメリットがあるので整理しておきましょうね。
 
さて、この中でベターな選択肢を探すのですが、今回はベクトルの面積公式が良いかと思います。
まず、空間内で三角形の面積を求める時、平面に比べて「高さ」や、「sin、cos」の値を求めるのが面倒です。
そこで、空間の面積計算では、ベクトルの公式を使うことが非常に多いのです。
 
また、点Pや点Q、点Rの座標も、tanを使って簡単に求められます。
直方体の適当な角に原点を設定して(と言っても、点Oがありますから、普通はOが原点でしょうけど)、z座標を求めるとtanαやtanβが出てきます。
ということで、比較検討した結果、ベクトルの公式が良さそうだと落ち着きます。
 

ベクトルの外積を利用出来る

ちなみに、ベクトルの外積を知っている方は、使うと非常に簡単に求められます。
 
ベクトルの外積については、こちらの記事に書きましたので、ぜひご覧ください。
一つの記事で、使いこなせるようにまとめてあります。

ベクトルの外積をマスターしよう

 
後で貼り付ける、手書きの解答でも、ベクトルの外積を使った解法を載せてありますので、ご覧くださいませ。
 

(2)は連立方程式の問題

では(2)ですが、Sの値が与えられてますから、(1)の答えに代入。
tanαとtanβが登場する関係式が得られます。
 
しかし、得られた式は、tanαの2乗と、tanβの2乗が登場している一方で、問題文には、tanα+tanβの値を求めよとあります。
よって、対称式の式変形をすると、tanα+tanβが引っ張り出せます。
 
しかし、代わりにtanα×tanβも登場。
残った関係式である、α+β=π/4 を使って、tanα+tanβや、tanα×tanβが出せないかと考えると、加法定理が思い付き、連立方程式が得られます。
 
あとは、基本問題にすぎません。
散々訓練した、連立方程式の解法に従って、解いて下さい。
ちなみに、和と差から、値を求めるタイプに方程式が思いつきづらい方もいると思いますので、例題を載せておきます。
 
最後の方で、この問題の類題が登場します。
(青チャートより)
 

解答。東大にしては簡単。

では、手書きの解答です。
 
 
東大の入試にしては、簡単な方。
満点を取って合格した人も多いのではないかと思います。
 
綱づくとしたら、初手でしょう。
ベクトルを持ち出す発想が得られないと、計算が面倒になりそうです。
どうすれば防げるかというと、このブログでずっと言っているように、始めの5分はペンを持たないことでしょう。
 
「あっ、解けるかも!?」
と閃いた瞬間に手を動かし始めるのではなくて、様々な方針を初めに連想して、比較検討する方が合理的な解法が見つかります。
今回で言うと、面積公式を選ぶところにポイントがありました。
 
もう入試まで数日ですが、勉強を1分もしなくても、点数が上がる方法はあるのです。
最後まで、私も解説を書き続けて応援しますので、皆さん頑張って下さい!

 

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