2016年 東大理系数学 第5問(具体的に調べる、スケール、整数の存在証明、ガウス、背理法)

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2016年 東大理系数学 第五問(具体的に調べる、スケール、整数の存在証明、ガウス、背理法)

とても難しい問題

これは非常に難しいですよ。予備校の難易度の発表では第6問が一番難しいってなっていますが、僕としてはこの問題が一番キライ。
というのは、僕が長い問題文が嫌いというのがあるのかもしれませんが(笑)

ちなみにこれ、一読でどんな問題か分かった人っているんですかね?僕は何度か読んで、計算し始めたくらいで、やっと意味が分かりました。
一読で分かったとしたら、相当なレベルでしょう。多分その人、東大に受かります。

なぜ難しいかと言うと、具体的な数字が登場しないからです。言い換えれば、非常に抽象的な問題だという事です。
具体的なことはわかり易く、抽象的なことは理解づらくなるのが、普通です。数字の計算は出来ても、文字式の計算は難しいのです。

よく見てみて下さい。
2とか3とか、具体的な数字が登場しませんよね。
10は登場しますが、これは桁数を表す数字なので、ちょっと特殊。だから例外です。

(1)から小数第k桁ですから、いきなり一般的な小数の問題です。
普通(1)では、具体的な数字を当てはめさせて、法則を見破らせることが多いんですが、それもしない。
という事で、とても難しい問題なのです。

抽象的な問題では、具体的な数字で試そう

だからと言って、具体的な数字で試してはいけないわけではありません。
数学の定石「具体的な数字を代入して、イメージを掴みなさい」は、受験数学でもお馴染みのテクニックです。
東大入試の数学は、冊子をめくって左半分は問題文、右半分は計算用のスペースですから、そこを使ってアレコレ計算すれば良い。

という事で、私も例に漏れず、小さな値を代入してみました。
では、手書きの解答ですが、左半分をご覧ください。

簡単で小さい値という事で、0.12を代入してみました。(さすがに0.1じゃ、桁が少なすぎてマズイでしょうね笑)

移項して、二乗して・・・と計算を進めると、nとして求められたのは10025と10026です。小数ばっかりの問題だと思いきや、10000以上の数字が登場。中々面白いですね。

僕は、ここまでで方針が見えたので止めましたが、分からなければ他にも何個か代入して法則を見つけて下さい。0.345とか、0.4213とか、何でも構いません。

やってみるとわかりますが、どんな数字を代入しても、nは2個求められるはずです。そして、必ず桁数が大きい数字になります。
もっと言えば、10000…??のように、一番上の位の数字は1で、その後0がいくつか続く。(場合によっては続かないかも)
そして、最後の方0に以外の数字が登場するような数になると思います。

ポイントはスケール(桁数)

という事で、この問題のポイントを発表しましょう。これはスケールの問題です。

スケールという言葉は一般語として日常でも使いますね。「スケールの大きい話」みたいに使います。
しかし、理系でスケールっていう言葉が出てきたら、主に桁数を表します。
例えば、アリはミリメートルのスケール、人間の体はセンチメートルのスケール、みたいに使います。(本当は、10の3乗のスケールとか、10のマイナス5乗のスケールっていう使い方ですが。)

スケールでnを絞り込む

与式を見て下さい。
左辺は1より小さな小数ですね。右辺は左辺の小数第k位に1を足した数ですから、これも1より小さな小数です。

では真ん中はどうでしょう。
ルートnの値はわからないとして、10のk乗を引いています。10のk乗って、0がk個並ぶような、物凄く大きな数ですよね。
要するに、左辺と右辺は小さな数なのに、真ん中だけスケールの大きな計算をしているっていう、変わった式なのです。

この式で、nを求めようとすると、10のk乗を移項して、全体を二乗する作業になります。すると左辺と右辺に3種類のスケールの項が登場するのがわかりますでしょうか?
(ちょっと面倒ですが、手書きの解答と見比べて読んで下さい。)

①10の2k乗のスケールの数(0が2k個も続く様な大きな数)
②1とか10とかそれくらいのスケールの数
③物凄く小さな小数

の3種類です。要するに、大中小の3種類。
しかも、①と②はほとんど同じ値で共通していて、③だけコマゴマした計算になります。

一方で、求めろと言われているのはn、つまり整数ですよね。スケール感で言うと、①と②のスケールだから、③のコマゴマした小数なんてどうでも良いのです。

小数なんて、どうせ0と1の間の数なので、挟んでしまえば消えてしまいます。こうして、ざっくりとした計算をしながら、nの候補を絞り込んでいくのが、大きな方針です!
ということで、あとは先ほどの手書きの解答をご覧ください!

(2)整数の存在証明

では次に(2)の話ですが、これは(1)の延長。ほとんど同じ話なので、手書きの解答をいきなりどうぞ。(左半分です)

(1)と違うところは最後の候補の絞り方です。
整数の存在証明のために左辺と右辺の差を取るっていう、ちょっと変わった方法を使っています。珍しく感じるかもしれませんが、整数の存在証明の時にはたまに使うので是非ここで覚えて下さい。
※近い概念としては、連続する整数のどちらかには必ず2の倍数が含まれるとか、連続3整数のうち一つは3の倍数が含まれるとか。十分広く範囲を取れば、どこかに一つは含まれるっていう発想です。

(3)誘導ではない問題は、作戦が大事

最後に(3)。
普通、こうやって問題文が続いてくると、(1)とか(2)が誘導になっているんですが、全く誘導になっていないという、珍しい問題(笑)

僕はいつも生徒に
「数学は全て誘導問題!あっ、これ誘導だったんだ、て気付いてはアホ」
と言っているのですが、この問題は誘導と関係ないので通用しません。

しかし、こういうときには作戦がポイントになります。
私の記事では、作戦とは「一つの科目の試験を攻略するために必要なこと」を表していますが、試験において作戦の最も大切な考え方は
「計算を始める前に、最後まで通読してから解く。」
です。
ほとんどの受験生が、学校や予備校で作戦の概念を習いません。「通読してから解け」なんていう、基本中の基本の動作すら習わず、1問ごとの解法ばかり習います。だから、(1)から順序良く解く人しか生まれないのです。

すると、(1)が解けないと分かった瞬間に、(2)を読まずに諦める人になってしまいます。
試験は加点式の計算をしますから、(1)が解けなくても(2)が解ける問題が一定の確率で出題されます。
だから、解いた問題に関しては点数がもらえます。

この東大の問題に関しても、(主観ではありますが)(1)や(2)より解きやすかったように感じました。
ということは、やはり(1)や(2)が解けなくても(3)読んでおいた方が得する可能性は高いでしょう。この記事を読んでいる受験生には、最初に通読して問題を解き始めるクセをつけてほしいものです。

ガウス記号は整数部分

では(3)の解説をしましょう。

まず、ガウス記号が登場しています。
苦手にしている生徒が多いですが、そのほとんどは直感的な理解ができないからでしょう。確かに、「xを超えない最大の整数」なんて言われてもピンときません。
一発で直観的にわかる方法を教えましょう!それは、ガウス記号は(中身が正のとき)ただの整数部分です。

背理法で証明

そして、もう一つ。背理法が連想出来れば、勝負ありです。
この問題で、なぜ背理法が思い付くかというと「存在しないことの証明」だからです。

「存在しないことの証明」の場合、「存在すると仮定して矛盾を示す」というのが定石です。
練習問題を出しておきましょう。
「直線lと、直線l上にない点Pがある。点Pを通り、直線lに平行な直線は1本しか存在しないことを示せ。

背理法で有名なのは、ルート2が無理数であることの証明ですが、この東大の問題もほとんどそれと同じで解けます。
という事で、さっき貼りつけた、手書きの解答の右半分をご覧ください!

むずかしい問題だったので、長くなってしまいました。
この問題であれば、半分取れたら結構凄いレベルでしょう。(3)だけ解けたって人も中にはいたのかも。

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