東大英語 第4問A(英文法正誤)2019年実況中継

東大4A正誤問題というと、多くの東大受験生が「捨て問」にされています。
ですが、高得点合格者の多くは、この4Aに割り当てられている10点をきっちり取りに行っています。
苦手意識を持たれる方が多いのは、きちんとした対策を取っていないからです。

4Aは文法問題だと称されることが多いと思いますが、私は英作文+読解問題だと考えています。
英作文の解説記事でも申し上げるつもりですが、短時間で「正確な」英文を書くためには、英文の「点検項目」を明確化し、日頃から自分が書いた英文をチェックしているかが合格ポイントになります。
実のところ、4A正誤問題は、そうした英作文における「点検項目」の延長線上に位置しています。

また、1B文挿入で大意をスピーディーに把握する訓練を積んでいる方にとって、4Aの長文量は3〜4分で処理できるものであり、さほど労することなく得点できるサービス問題になっています(ただし、直近数年の4A長文はだいぶ歯ごたえのあるものになっています)。
4Aに極度の苦手意識を持たれている方は、1Bや2といった他の設問でも苦戦されている可能性もあるのです。

とはいえ、ただ単に分析力を上げてくださいね、総合力を上げてくださいねというアドバイスでは、ただでさえ時間が足りない受験生には酷でしょうから、本解説では、高得点合格者の目の付け所について詳述したいと思います。

【東大正誤の鉄則】4Aを捨て問にしようか悩んでいる、そこのあなた!実はコツがありますよ!

  • 3つ取れ!
    3問はスピーディーに取れる問題があります。
    難易度順に並んでいるわけではありませんから、過去問分析から目の付け所をテンプレ化してください。
    人間が解ける問題なら、あなたにも解けます。
  • 修正箇所は意外にシンプルだから過度に怯えるな!
    正しい英語長文が元々あって、それを東大教授がちょこっといじっているだけですから、私大のように正誤問題のためだけに無理して作られた短文とは異なり、シンプルに解けることが圧倒的に多いのです。
  • 文章自体は面白い
    正誤問題として解くだけではなく、ぜひ多読用にも活用してみてください。
    言語学のスペシャリストが作成されている東大英語は、全大問余すとこなく活用しましょう。
    言語関連の文章も多く、長文からエッセンスを吸収した受験生には、2020年に話題となった「言語が人を操るのか、人が言語を操るのか」という英作文問題の書くネタも思い付きやすかったかもしれません。

【2019-4A所感】大激震が走った2018東大英語で消えた正誤問題が早くもパワーアップして復活!

2018年度入試では、
リスニングの選択肢が5つに増量し、
和文英訳問題が約20年ぶりに復活し、
1Bで初めて英文での要約問題が出され、
そして4Aでは正誤問題が消えました。

多くの東大受験生が大幅な出題形式変更に動揺し、思考停止の状態に陥ったとききます。
このため、2019年度入試に臨んだ受験生達は、また何か大きな形式変更があるのではないか戦々恐々とした面持ちでした。

そうしたなか、予想通り、再び驚かされることになったのです。
前年に出題された1Bの英文での要約問題は姿を消し、
4Aでは正誤問題が華麗なる復活を早くも遂げました

このことからみても、直近の過去問にだけ触れることなく、出来れば20〜30年分くらいの過去問をザックリとでも概観することには意義があるように思います。

さて、4Aに話を戻すとしましょう。
2年ぶりに出題された正誤問題なわけですが、かなりパワーアップした内容になっています。
挿入句を紛れ込ませて、受験生の冷静な判断を妨げようとする設問もいくつかありました。
予備校の先生方の中には、難しすぎるからこの年の4Aは捨て問にすべきとの声も多く聞かれました。
ですが、この4Aで高得点を取った受験生がいるのも事実です。

4Aで全く点数を取れない受験生がいる一方で、4Aできっちり得点できる受験生もいるのはなぜでしょうか。両者の分水嶺はいったいどこにあるのでしょうか。それは、目の付け所の差異にあります。
本稿を通じて、ぜひ、その極意をマスターしてください。
併せて、2020年度〜2023年度4A実況中継解説も参照すると学びが大きいことでしょう。

(参考)【過去の年度のリンク】

東大英語 第4問A(英文法正誤)制覇の極意(2023年実況中継)

東大英語 第4問B(英文和訳)2022年実況中継

東大英語 第4問A(英文法正誤)2021年実況中継

東大英語 第4問A(英文法正誤)2020年実況中継

それでは、設問(22)〜(26)の5つの問題を前にして、高得点合格者達はどのような思考プロセスで解いていったのか実況中継風に解説していきたいと思います!なお、本問の題材は、以下の文章からです。純粋に読み物としては興味深い文章だと言えます。

【設問別実況中継】設問の解説だけに終わらない! しっかり学んで4Aを得意にしよう!

設問(22)単純な英熟語の問題ではありますが、いやらしい挿入句が目くらましで邪魔!<動詞(語法/熟語)>

誤った選択肢は(a)

The old-fashioned stereotype that women are (a)not suited by nature at for mathematical study (b)suffered a major blow in 2014, when Maryam Mirzakhani became the first woman to receive the Fields Medal, math’s most prestigious award.

本問は単純な英熟語の問題ではあるのですが、設問(26)と同様に厄介な前置詞句が挿入されているせいで、冷静な判断が妨げられた受験生が続出しました。
超基本問題であるにもかかわらず、挿入句1つで難解な問題に思えてしまうのは、単語の拾い読みで問題を解こうとしている受験生心理を東大側が熟知して作問している現れでもあります。

ひとまず本選択肢の解説ですが、be suited for/toという基本熟語を私達は高校で学んでいるはずです。
その知識があれば容易に解けるはずなのですが、by natureが挿入されていることで、あたかもbe動詞+過去分詞suited+byの受動態構造をなしていると誤認した受験生が多くいたようです。
ですが、仮にそうだとしても、natureの直後のatがいったい何の役割を果たしているのか不明瞭になるはずです。

by natureという熟語知識があれば、挿入の可能性に気付けたのではと思われた方もいらっしゃるでしょう。
ただ、試験会場で一度「これは、受動態なんじゃないか」と思い込んでしまいますと、時間制約の厳しい東大入試のなかで軌道修正をかけるのは容易ではありません。
とはいえ、受動態と考えると、「自然によって女性達はsuitされた」という奇怪な意味になってしまいますから、やはり下線部を含む一文くらいはせめてちゃんと読んで文脈把握してくれよと東大教授は受験生に求めているのかもしれませんね。

熟語や動詞の語法知識が問われる頻度が年々東大英語では高まっていますから、しっかりガッツリ暗記を進めましょう。
なお、2021〜2023の4A実況中継解説でも動詞に絡んだ出題切り口を詳述しておりますので併せてご参照ください。

設問(23)東大頻出の並列・比較関係が登場!できれば瞬殺したいところです!<文意(語法/並列)>

誤った選択肢は(d)

The speech condemned the widespread prejudice against educating women in the arts and sciences, (d)which had either 削除 been grounded in the view that a life of managing a household would require no such learning.

本問のカテゴリは、「文意」としていますが、2021年度の(22)や(24)と同様に「並列/比較関係」のカテゴリに入れても良さそうです。
詳しくは2021年度(22)の実況中継解説に譲りますが、下線部(d)の中にあるeitherが問題なのです。
eitherは、either〜orの形をなす相関接続詞の一種です。
何か二つのものを比較する時に用いる副詞なわけですが、下線部(d)を含む一文では比較対象が示されていません。
つまり、eitherが浮いてしまっているわけです。

受験生のなかには、「either〜or」をなす「or」がないから間違いだと考え選択肢(d)を誤りだとサクッと判断した人も多いようですが、念のため下線部を含む一文を精査しても、やはり何かと何かを比較しているようには思えません
以上より、eitherは削除すべきと判断できることになります。
東京大学は相関接続詞や比較級を題材として、しばしば並列関係や比較関係を問うてきています。
過去問を通じて、「目の付け所」を整理できた受験生にとってはサービス問題だったと言えましょう。

設問(24)超基礎的な英熟語の知識が問われています。これは絶対に取りこぼしたくない!<動詞(語法/目的語)>

誤った選択肢は(c)

Agnesi eventually became (a)tired of displaying her intellectual abilities in public and (b)expressed a desire to retire from the world and to (c)dedicate her herself to a religious life.

何のひねりもない英熟語問題です。
下線部(c)におけるherは、下線部(c)を含んだ一文全体の主語であるAgnesiを指しますから、ここでは再帰代名詞herselfを用いるべきです。
もっとも、熟語としてdedicate oneself toは覚えておかなければならないものですから、文脈を考えるまでもなく瞬時に下線部(c)を誤りだと判断した受験生も多かったようです。
映像授業で配布した東大4A正誤一覧表でもご覧いただいたように、2019年を境に動詞の語法や英熟語の知識を東京大学は頻繁に問うようになってきました。東大生の語彙力や文法力が低下していると教授が嘆いていらっしゃったことと関係しているのかもしれません。
語法や熟語知識は、4Aに限らず4Bや5でも問われていますので貪欲に吸収するよう心がけてください。
マニアックなものは不要ですので、まずはネクステやビンテージに出てくるレベルの語彙を当たり前のように答えられるようにしましょう。

なお、再帰代名詞を用いる熟語としては、dedicate oneself toの他に
devote oneself to〜(〜に捧げる、〜に没頭する)
help oneself to〜(〜を自分で自由に取って食べる・飲む)
behave oneself(行儀良くする)
keep〜to oneself (〜を秘密にしておく)
seat oneself(座る)
enjoy oneself(楽しむ)
beside oneself(我を忘れて)

のように、いくつもあります。いずれも共通テストレベルのものばかりなので、もし、知らない熟語があったなら、

熟語帳などで総ざらい確認しましょう。基礎に戻る勇気が合格力です!

設問(25)これは難問だと言えましょう。文脈把握の力も求められています。正直捨て問です。<動詞(語法)>

誤った選択肢は(e)

“It took much skill and good judgment to (e)reduce almost uniform methods to →reduce to almost uniform methods discoveries scattered discoveries scattered among the works of many mathematicians very different from each other.”

これは文句なしの難問だと言えます。
2019の問題を時間を測って解いているとき、唯一即答できなかった設問でした。
受験生のなかには、reduce A to Bなんていう語法は存在しないから✖️だろうと判断してラッキーな正解を叩き出せた人も多かったようですが、本問については、それくらいの思考で答えを紡ぎ出せば十分です。
むしろ、英語をかなり勉強した人にとっては酷な一問だったと思います。
reduce A to Bという語法は実のところ存在していて、AをBのレベルにまで下げる、AをBにまでシンプルなものにするという意味を持っているのです。

ただ、私がどのように答えを出したかというと、下線部(e)を含む一文の読み込み、つまり文脈判断でした。
数学を話題にしていることもあり、親近感を抱きながら読めたことも大きかったのですが、『体系数学』という学校専売書籍の名前のように、バラバラな発見をまとめ上げ教科書なりに集約させるプロセスが学問には必ず必要とされます。
そうでなければ、学生たちに統一的なカリキュラムで教えられなくなってしまいますから。
ともなれば、バラバラな発見(discoveries scattered〜)というものは、統一的な体系(almost uniform methods)の劣位に置かれるべきはずです。
それにもかかわらず、下線部(e)では、「reduce 統一的な体系 to バラバラな発見」という文章になっており、不明瞭な意味になってしまっています。

以上より、敢えて文を正すとしたら、「reduce A to B」のAとBにあたる語句が本文ではそこそこの長さですから、「reduce バラバラな発見 to 統一的な体系」 としたいものです。ただし、discoveries以下には下線が引かれておらずいじることができないと考えるなら、テクニカルではありますが、reduce to B Aという倒置を使って表現することになりましょう。
もっとも、ここまでのことを受験生は考える必要がありませんから、文脈的におかしいので(e)が誤った選択肢であると判断できれば十分です。

こうした意味で、本問は文脈把握のカテゴリーに入れてもよかったかもしれませんが、ひとまずreduceの語法が問われていると考え、動詞のカテゴリーに分類しました。
本文の上っ面だけを読むのではなく、きちんと意味内容まで理解しながら読解できる受験生を迎え入れたいというメッセージを東大側は本問に込めているのかもしれません。

設問(26)自動詞・他動詞の区別が問われていますが、設問(22)に続き邪魔な挿入句が!<動詞(語法)>

誤った選択肢は(e)

Agnesi excelled at math, but she also loved it, perceiving (e)in its mastery of 削除 an opportunity to serve both her fellow human beings and a higher order.

正誤問題ではお馴染みの自動詞・他動詞の区別がちゃんとできるかを試した問題です。
ただ、そんじょそこらの問題とは異なり、巧妙なワナを東大教授は本問にしかけています。

●ワナ その1 下線部だけを拾い読みしている受験生に戒め

下線部を含む一文を必ず読むよう、これまで過去問実況解説などで再三注意喚起してきました。
本問でいえば、下線部(e)がperceivingの目的語であることに気づかなければ、正解を紡ぎ出すことはできなかったことでしょう。

●ワナ その2  前置詞句で巧妙に目くらまし

設問(22)につづき、前置詞句(本問でいえばin its mastery)が目くらましとなり、受験生の冷静な思考を阻害しています。
これが仮に、perceiving of an opportunityに下線が引かれていたなら、「perceiveは他動詞なのに、このofにはいったいどんな役割があるのだろうか」と考えることもできたでしょう。
ですが、前置詞句が挿入されていることで、他動詞たるperceiveの目的語が何なのかを考えることが焦りのなかで出来なくなり、こんな熟語でもあるのかなと勝手に思い込んでしまいミスに気づけなくなってしまうわけです。
正直、同一年度で2回も、前置詞句で受験生の思考を撹乱させてくるとは思いませんでした。
東大教授としては、それくらいきちんと本文を読んでほしいと強く願っているのかもしれません。

●番外編

悲しいことではありますが、perceiveが自動詞か他動詞かを知らない、あるいは、そもそもperceiveという単語すら知らなかったという受験生が少なからずいたようです。
たいして高級な単語ではありませんから、単語帳をしっかりと覚え込みましょう。
その際、意味だけ丸暗記するのではなく、自動詞なのか他動詞なのか、つまり前置詞のチカラを借りずとも目的語を持ってこれるのかどうかといった用例を例文などで確認しましょう。
語彙は言語習得の核です。
東大教授がどのような語彙力を受験生に求めているのか、どのような語彙学習をすることが東大英語で高得点奪取するのに有益なのかを、敬天塾の映像授業や過去問実況中継解説を通じて、ぜひ貪欲に学ばれてください。

 

 

いかがでしたでしょうか。東大4Aは、コツをつかめば、ほんのちょっとの労力で3問は確実に正解できる「おいしい」問題です。
今年度の問題で言えば、(22)(23)(24)は瞬時に気づいて欲しかった設問でした。
ぜひ、過去問探究や敬天塾の映像授業などを通じて、ノウハウを学び取っていただき、東大英語で高得点を奪取していただければ、この上ない幸せです。

(編集後記)

なお、蛇足ではあるが、東京大学が4A正誤問題を出題し続ける理由について私見を述べたい。
昨今、センター試験が廃止され共通テストに移行したことに伴い、共通テストでは語法や文法問題が出されなくなった。
それに伴い、東大側としては、受験生の語法知識や文法知識を二次試験で問う必要性を以前にもまして強く感じているのかもしれない。

東大教養学部の内部資料で、正確な訳読の重要性や正確な構文解釈力の必要性について教授陣が寄稿していたが、これは、英語は不正確な文法知識でも堂々と話せればOKという風潮が広がっていることへの警戒感の表れのようにも思えてならない。
会話においては、こちらの表情やジェスチャーから、相手がこちらの意図を汲み取ってくれることもあるだろうが、ペーパーテストや研究論文においては、書かれているものが全てである。
稚拙な文法ミスやスペルミスを犯そうものなら、内容以前に、本文すら読まれないこともありうる。そ
うした危険性を排するためにも、ちゃんと文法のお勉強もしてくださいねと東大側は入試問題を通じて受験生に訴え続けているのかもしれない。

【さらに深く学びたい方のために】

敬天塾では、さらに深く学びたい方、本格的に東大対策をしたい方のために、映像授業や、補足資料などをご購入いただけます。
ご興味頂いたかたは、以下のリンクからどうぞご利用下さい。

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【過去の年度】

東大英語 第4問A(英文法正誤)制覇の極意(2023年実況中継)

東大英語 第4問A(英文法正誤)2022年実況中継

東大英語 第4問A(英文法正誤)2021年実況中継

東大英語 第4問A(英文法正誤)2020年実況中継


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