【ノーベル賞】カズオ・イシグロが登場!2012年 東大英語の4B(和訳問題)

カズオ・イシグロが登場!

日系人のカズオ・イシグロさんがノーベル賞を取ったと話題になりましたが、東大入試に登場していたことに気付いていますでしょうか?

 

2012年の東大英語、4Bに登場しています。

 

 

カズオ・イシグロさん、日系人と紹介されますが、長崎の幼稚園に通っていたんですね。両親ともに日本人ですし。大人になってイギリス国籍を取ったようです。

ウィキペディア

 

この東大の英文の内容は、簡単に言うと、

「小説家カズオ・イシグロは音楽にも精通しているが、文章は非常に音楽的で、文章にもリズムがある」

というような内容。

ある作家さんが、カズオ・イシグロさんにインタビューしたことを受けて書いた文章です。

 

詳しく解説するとキリがないので、簡単にだけ。

 

(1)の解説:give away の意訳

 

(1)は、give away の訳が難しい問題。

普通は「手放す」とか、「譲る」という意味ですが、ここでは通用しません。

 

ダッシュの前の文脈が「筆者は以前からカズオ・イシグロと知り合いだったのに、音楽好きだと知らなかった」というものなので、

「打ち明ける」とか、「心の内を話す」というような意味で訳すことになります。

 

(2)の解説:文構造

(2)は、全体の構文を掴むのが難しい問題でしょうか。

冒頭のfelt の目的語(節)のthat 節がどこになるのかが、読み取り辛いかもしれません。

答えを言ってしまうと、後半に登場するthat 以下です。(赤字の部分が全体の構造)

そして、全体の構造の中に、青字のthough 節が入り込んでいます。

 

①I’ve never felt,

②on the other hand,

③though a great many people who didn’t grow up reading books have perhaps felt it,

④that writing is what those other, ‘writerly’ people do.

 

また、青字の部分の最期のit を具体的に指摘しなければなりませんが、ちょっと珍しい形で、後に出て来る④のthat以下を指しています。

 

つまり④が、①の目的語(節)にもなってるし、③の最期のitにもなっている構造です。

 

(3)の解説:文末の疑問文は反語

(3)は、where で始まる部分。

文の最後はクエスチョンで閉じているので、疑問文になっていますね。

文章末の疑問文は反語になる事が多いのですが、これもそのパターン。

普通の疑問文なら「どこだろうか?」となる所ですが、ここでは「どこだろうか、いやどこにもない」のように訳せばOKでしょう。

まあ、疑問文でも良い気もしますけどね。

 

中身は、writing would be without rhythm(書くことはリズムなしに存在するだろう)ということですから、反語にして、

「書くことはリズムなしにはどこにも存在しない」という主旨になります。

 

ホットトピックでしたので、取り上げてみました。

 

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2008年 東大英語 1-A要約【ちょっと難問、抽象of抽象を探せ、長い具体例の扱い】

東大英語 要約1-A 2008年の解説

中々更新頻度が上がらなくてすみませんが、とても好評なので、東大英語要約の続編です。

今回は、2008年の問題でございます。

 

はい、プレーンな問題文はこちら。

 

これまでで、一番難しい!

さて、英語要約の解説も三回目。

今回の問題は、過去の2回のものより、難しい問題を選んでみました。

 

過去記事はこちら

2012年 東大英語 1-A要約 【段落の要約をまとめる、フリ→ボケ、筆者の心理、コロン】

 

2013年 東大英語 1-A要約【抽象と具体、理系実験の処理、注目表現】

 

 

その理由を説明するためにいつも通り、色付きの画像をどうぞ

 

赤い所は、比較的重要度が高いポイント

青い所は、注目すべき表現

緑の所は、具体例

水色の所は、キーフレーズ

 

文章全体は2段落構成。

1段落目は、抽象→具体→抽象。

2段落目が、抽象→具体。

という、シンプル構成。

これまでの問題と同じで、抽象の部分を要約するのが、基本路線になります。

 

但し、今回は抽象部分の範囲がやや広く、どこをまとめるか分かりにくい。

また、特に第一段落は具体的な話がないため、少々分かりにくい。

と言う事で、これまでに解説した2問、2013年と2012年に比べて分かりにくい問題だと思います。

 

ではどうするかを、例のように、一段落ずつ見ていきましょう。

 

第一段落:より抽象度の高い部分を探そう

では、第一段落です。

 

冒頭に、One serious question(ある重要な問題) と、問題提起する表現があるので、チェック。これが、文章全体のテーマになります。

これが、フリになっていまして、その重要な問題の正体は何なのかと探すと、直後にあります。

 

ここが抽象部分だなと判断して、赤くグルッと囲みます。

 

但し、直後の文では、「好ましく思えない人を、魅力的だとか、あるいは見ていて気分が良いとさ思えるかどうか」が問題だと言っていまして、やや具体的な表現。

(画像では、緑にしていませんが)

あまり解答に使えるような内容ではなさそうで、少し困った事が起こります。

 

2012年や、2013年は、抽象部分と具体部分を見つければ、ある程度まとめるだけで解答が作れたのですが、

今回扱っている2008年は、それだけでは済みません。

抽象部分の中でも、より抽象度が高い部分を探さなければならないのが、難しいポイントです。

 

では、その部分はどこかと言うと、もう少し読み進めると、次の文がバッチリ。

generally と一般化した法則を登場させる表現があり、その直後。

 

moral judgements than to judgements about how people look (どのように見えるかに関する判断よりも、道徳的な判断の方を重視する)

という、かなり抽象度の高いフレーズが登場します。

 

今回の問題では、単に具体と抽象の分類だけではなくて、抽象の中でもより重要な部分を指摘しなければならないので、いつもより1つ色を足して、4色の使い分けをしています。(新色登場!)

 

 

第一段落後半:普通に抽象部分を探す

続きですが、when という、具体例に入る合図が登場し、その直後に抽象部分が復活。

ここは一文だけですから、丸ごと要約しても良いのですが、折角、新しい色を登場させたので、キーフレーズを水色にしておきました。

 

より抽象度の高い部分を探すと、reading backward, from knowledge of a person’s past behavior(背景、つまりその人の過去の振舞いの知識から、読み取る)という部分が見つかりますね。

 

と言う事で、第一段落の要約としては、

「人は外見よりも、道徳的な判断を優先する。相手の過去の振舞いを見ている」

というような感じでしょうか。

 

第二段落:抽象の中の抽象を探そう

続きまして、第二段落。

またもや冒頭に、フリを発見。

we need to be cautious(我々は気を付けなければならない)とあるので、気を付けるべき内容がその直後に抽象部分として登場します。

 

しかしここも、比較的長い抽象部分。3~4行ずっと続くので、やはりより抽象度が高い部分を探します。

すると、extremely difficult to ~ appearance alone(人の外見だけで下した判断から信用できる何らかの結論を引き出す事は極めて難しい)の部分が見つかるでしょう。

 

そして、この直後には、非常に長い具体部分が登場します。

なんたって、文章の最後まで全部具体例

内容としては、よくある、ヒトラーとチャップリンの内容。見た目は同じでも、やってることは違いますよ、ということです。

 

この具体例の部分を、全体の要約に含めるかどうかは、判断が難しいところですね。

こんなに長い部分をバッサリ切ってしまって良いものか。。。

 

東大受験生が良く使っている、教学社の25か年では、「過去にはそれを裏付ける事例もある」とうまく抽象化していますが。。。

要らないような気もします。

字数が足りなければ、同じように抽象化をして入れれば良いでしょう。

 

と言う事で、第二段落の要約は、さきほどの水色の部分。

全体の要約も、第一段落のものと統合して、

「人は外見よりも相手の過去の振舞いから見える道徳観を基準に判断する。人の外見だけでは信用できる結論を引き出せない。」

のような感じになります。

ちなみに、上の赤字の文は58文字でして、指定された字数に大きく足りないので、ヒトラーとチャップリンの部分を抽象化して足しても良いでしょうね。

 

もしくは、第二段落の水色の部分の直後、

and often , as we gain more ~initial judgements were.(その人がもっと分かってくるにつれて、最初の判断がいかに間違っていたかわかることも多い)

の部分を盛り込んでも良し。

 

以上が解説でした。

ちなみに、前にも書いたかもしれませんが、私の作っている要約は、予備校が発表するような、非の打ちどころのない模範解答ではありません。

 

受験生が試験当日に、10分程度で、合格点以上の解答を作れるようになるための解説を心がけています。

 

各社比較

と言う事で、いかがでしょう。

私の解説も、これまでの2年分に比べて、フワッとしているように思いませんか?

実際、各社の模範解答もバラバラでして、難しい問題だったという証拠にもなっています

 

河合塾

顔に対する評価は、相手の人格に関する知識に基づいている。見る側の認識に応じて相手の外見の印象が変わることも多いが、本来、人の外見と内面に直接の関係はない

 

東進

多くの人はある人物の行動を知ってから、それ容貌に現れていると考え、また逆に外見から人格を判断するが、外見と人格に直接の関係があると考えるのは危険なことである。

 

東進別解

我々は人の行動に対する精神的判断の根拠をその人の外見に求めるが、外見から信頼に足る結論を導き出すのは困難であり、最初の判断が誤っていることも多い。

 

教学社

一般に人物の評価は中身によって決まるもので、外見から人を評価するのは危険である。事実、外見のみによる判断には間違いも多く、過去にはそれを裏付ける事例もある。

 

ヒトラーとチャップリンの部分に触れているのは教学社だけですね。

話の構成もバラバラ。各社、触れている所と、触れていない所がばらついています。

こういう問題もあるということを、是非知っておいてください。

 

 

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2012年 東大英語 1-A要約 【段落の要約をまとめる、フリ→ボケ、筆者の心理、コロン】

東大英語 要約1-A 2012年の解説

本当は、昨日アップしたかった、東大英語の要約の解説です。

前回の記事はこちら(2013年の要約解説)

 

要約の記事、とても評判が良かったので、しばらく続けてみたいと思います。

あと、子供と嫁との新生活に、少しずつ慣れてきたので今後は少し、ブログの頻度も挙げられると思います。

 

では、まずはプレーンな問題文をどうぞ

 

要約の練習に持ってこいの問題

この文章をなぜ選んだかと言うと、要約の練習にピッタリだからです。

世間でよく言われる、要約の解法として

 

「各段落を要約して、つなぎ合わせる」という方法があります。

 

これが、ほぼバッチリ当てはまる、分かりやすい文章です。

前回の2013年に比べると、抽象と具体の場所が分かり辛く感じるかもしれませんが、それでも分かりやすい方。

前回と同様、色分けした画像を貼り付けましょう。よっこいしょ

 

前回と同様、

赤い所は、比較的重要度が高いポイント

青い所は、注目すべき表現

緑の所は、具体例

のルールで色分けしてあります。

 

第一段落:フリに反応しよう。

早速脱線しますが、昨日はキングオブコントの決勝戦でしたね。(昨日書いたから、日付がズレている!)

優勝した「かまいたち」より、「にゃんこスター」の方が話題になってましたが、確かに凄い!

M-1なんかでも、優勝コンビより、インパクトを残したコンビが売れる現象がありましたが、

戦略的に言うと、「戦術で負けて戦略で勝っている」状態と言えるでしょうか。

 

僕も少しだけお笑いに関わっている人間なのですが、笑いではフリが大事だと言われます。

ボケが登場する前に、ボケを引き立たせる一言があるわけです。

いきなり熱湯風呂の中に突き落とされるのではなく、

「押すなよ、押すなよ、絶対に押すなよ」という一言があるから余計に面白い、みたいなね。

 

これと同じで、文章にもフリがあります。

今回は冒頭に登場。

As many developed countries become the destination for immigrants –

(多くの先進国が移民の目的地になるにつれて-)

というのがフリ(冒頭の青色の部分です。)

この後に、筆者が問題だと思っている事が来るのは、予想に難くありません。

 

このフリにに対しての回答が、次の赤い部分。

赤い部分全体として、回答になっていますが、特に青く囲んだ the fear がポイントでしょう。

ちなみに、すぐ次の文で、Anxiety に言い換えられて、補足説明が続きます。

 

ここが抽象部分。

そして、さらに説得力を高めるために、直後に緑色の具体例が登場しています。

※抽象と具体の説明は、こちらの記事をご覧ください。

 

具体例は、要約に含めないのが基本なので、結局、第一段落の要約としては

「先進国に移民が来ると、国家としての一体感が失われる恐さがある」

というような感じになります。

 

第二段落:筆者の心理、another

次に第二段落。

まず冒頭が大事。(英文は冒頭が大事なことが多いですね)

However があります。これに反応できなければ、かなり厳しいですね。

 

これまた受験英語では頻繁に言われている事ですが、逆説の後ろは大切です。

表論文と言うのは、通説を否定して、自分の説を訴えるために書かれるので、

通説→逆説→自分の主張

という流れになり易いのです。

 

しかも、another があります。

another というのは、「別の~」と言う意味ですから、文字通り読み取るなら「他の側面が一つある」という意味でしょう。

しかし、文章というのは、文字通り読み取っていてはいけません。

文字に書かれていない事を読み取らなければならない。

 

これを、僕は精読と読解という言葉で表現しています。

これに関しては、こちらの記事で説明してあります。

 

「別の側面もあるんだよ」と書いてありますが、筆者の心理としては、「これこそ正しいんだ!!」くらいに言いたいんだろうな~と読み取っても構わないでしょう。

要するに謙虚な表現なのです。

 

では、その別の側面とは何なのかと見ていくと、次の文の赤い枠の部分、do not have to break connections が見当たります。

つまり、絆を切らなくても良いと。

これが筆者の主張の部分だろうと読み取っても構わないと思います。

 

実際に、第一段落では、「移民が国家の一体感を失わせる」という通説を展開し、第二段落では「絆は切れない」という筆者の自説を展開すると言う事で、

 

通説→逆接→自説の主張という、キレイな流れも見えてきます。

 

さらに、その直後に not onle but also の表現が見えます。

これは、教科書通りの読み方で、not only の直後は不要、but also の後は重要と読み替えても良い。

と言う事で、but also の後を赤く囲んであります。

 

抽象化をしよう!

しかし、but also の後の赤い枠の中に、抽象的な表現が見当たりません。代わりに、

same 〇〇 という具体例が3つ連続して登場します。(緑色)

 

英文では具体例を示すときに、3つ並列させることが多いですね。

A、B and C という並び方が典型的ですが、別に決まりがあるわけではありません。

 

具体と抽象の比較では、具体は重要度が低く、抽象は重要な部分だというのが基本。

すると、この部分は、but also の後で重要なのに、具体例ばかりで重要ではない、という矛盾が生じます。

 

こういう場合はどうするかと言うと、抽象化が効果的です。

この部分は、移民が本国の人と、同じ新聞を読み、同じテレビを見て、同じDVDを見る、と言っています。

これを抽象化すると、「移民が本国の人と同じ娯楽で楽しめる」ということ。

 

つまり、この段落の前半部分でしていた do not have to break connections (絆は切れない)という話と同じ内容です。

移民と本国の人との絆が切れないのです。

 

同じ娯楽を楽しめるというのは、流通の発達や、技術の発達などでしょうね。ここでは広く「技術の発達」にしておきますが、別に「最近のメディア」なんかでも良いと思います。

と言う事で、第二段落の要約としては

 

 

「技術の発達により、移民は本国との絆を切らずにいる」

 

ということになります。

 

第三段落:a とanother

最後の第三段落です。

この段落の構成としては、

social network ties と Families and communitiesの二つの具体例

ties are being reconnectedの抽象

となっています。

 

(抽象)→(具体)→(抽象)の基本の流れの、始めの抽象が省略された形ですね。

 

 

要するに筆者の主張としてはties are being reconnected(絆が再びつながっている)

また、その後には、a differet type というanother と同じフリが入ってます。(青字)

a だけでも、「ある〇〇」という意味になりますから、another と同様の意味があると思って下さい。

「ある異なるタイプがある」との事なので、要するに謙虚表現。

筆者としては「これこそ正しいんだ~」という気持ちでもおかしくないでしょう。

しかも、文章末ですからね。これは主張が強そうです。

 

コロンに注目しよう

では、これに対する回答は何かというと、コロンの後に続いています。(青字)

コロンの扱いって、苦手にする受験生も多いと思いますが、「つまり」とか「すなわち」のように、前後が同じ内容になる記号で使われることがあります。

 

特に今回のコロン、面白い使われ方をしていますね。

a dirrerent type of society : one which is …

と続いていますが、コロンとone を省略しても、意味が通ります。

a differnt type of society which is … としても大丈夫。

 

では、何のためのコロンかと言うと、強調のためのものでしょう。

コロンがあると、読者は注目しますし、呼吸を一度整えます。

僕も、ブログの書き手になって初めて分かりましたが、書き手はどうやって強調したい部分を、読者に伝えるか、苦心するものです。

「〇〇」とカギカッコで囲んでみたり、―(ダッシュ)を使ってみたり、改行してみたり。

実は様々な工夫を凝らしているのです。

コロンもその一連のモノ。

読者の意識を集中させるために使います。

と言う事で、コロンのあとの部分も赤い枠で囲んでおきます。

 

文末の新情報

最後に、文末に新情報が登場している事にも注目しましょう。

最後の赤い枠の中には、今まで全く触れられてなかった新情報があります。

geographic closeness (地理的な近さ)です。

 

こういうのも、読者の本音が登場しやすい。

a dirrernt type でフリを入れて、コロンの後に強調。そしてその回答として、geographic closeness と新情報を放り込む。

厳密な根拠や議論はしていませんが、最後に上手くまとめるために、持ち出したフレーズです。

 

ということで、以上の事をまとめ、第三段落の要約としては、

 

「絆が再構築される社会が広まっており、地理的な近さによらなくなっている」

といったところでしょう。

 

全体の要約

では、最後に全体を要約しましょう。

 

第一段落の要約

「先進国に移民が来ると、国家としての一体感が失われる恐さがある」

 

第二段落の要約

「技術の発達により、移民は本国との絆を切らずにいる」

 

第三段落の要約

「絆が再構築される社会が広まっており、地理的な近さによらなくなっている」

 

としました。以上の3つは、わざと直訳にしたり、赤くチェックした部分を切り貼りしただけになっているので、いささか不自然ですが、ご了承下さい。

 

そして、この3つを、滑らかにつないで

「先進国への移民の移住が進み国家の一体感が失われる懸念があるが、技術の発達により本国との絆が保てるため、地理的距離によらない、絆が再構築される社会が広がっている。」

のような感じでしょうか。

模範解答というより、制限時間内に即興で作り易い解答にしたつもりです。

 

ちなみに、字数制限が少し厳しめのような気もします。80字以内でまとめるのは、やや難しいかもしれませんね。

 

さらに、各社の模範解答比較です。

解答比較

 

河合塾

「移民の増加で国民の一体感が失われるという危惧がある一方、現代のメディアを通じて再構築される移民と同郷者の絆が、地理的近接性に依拠しない新たな社会を創出している。」

 

東進

「移民により国民の同一性が失われ異民族間の分裂が懸念されるが、現在では移民が出身地との繋がりを切る必要はなく、地理的距離に左右されない新たな社会が生まれつつある。」

 

東進別解

「移民の増加とともに社会の一体感が失われる反面、技術の発達により移民は元の共同体や文化とつながりを保っている。地理に制約されない社会が生まれつつある。」

 

教学社

「先進国への移民が、現地社会に同化しなくなる一方で、新しい通信手段を使って母国社会とのつながりを深めている。地理的制約のない、新しい共同体が発展しているのだ。」

 

まあ、各社とも、上手なまとめ方しますね。

これは、受験生が本番の10分足らずで、なかなか作れるものではないと思いますが。

 

第二段落の抽象化の所も、

河合→現代のメディア

東進→技術の発達

教学社→新しい通信手段

と、個性を出しています。

 

と言う事で、要約の解説、今回は終わりです。

また頑張って書きます。

 

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2013年 東大英語 1-A要約【抽象と具体、理系実験の処理、注目表現】

受験生の皆様。

いかがお過ごしでしょうか?

今回も、私の主宰する東大合格塾の実施内容をご紹介しようと思います。

ここでご紹介できるのも、ほんの一部なんですが、何しろブログに書こうとすると手間がかかりすぎて、選ばないと書けないのです。

本当は書きたい事がたくさんあるのですが、時間は有限ですねぇ。センター試験まであと4ヶ月です。

どうぞ、悔いの残らないよう。

 

英語要約は難しい!?

東大英語の初っ端。

受験生の多くが苦手とする、要約問題ですが、満を持して書こうと思います。

こちらのページでも書きましたが、私の主宰する塾では、過去問分析を非常に重視しています。日本中探しても、ここまで特化して行う塾は他にはないだろうと思うほど。

 

そもそも、英語の要約問題が難しいことは分かってました。

読解をしようシリーズでも書いているのですが、要約というのは、レベル4の話です。

しかも、日本語ではなく、英語で。

普通の英語の授業では、レベル1や2で終わっている所、レベル4の領域をいきなり求められるので、訓練不足になるのは当然。

文全体の構造を読み取るのも、段落の構造を読み取るのも、ほとんど教わりませんから、仕方ないのです。

 

但し、分析することで、解答の手順は限りなく集約出来ます。

今回は、最も典型的であろう、2013年の英語要約の問題を取り上げてみましょう。

 

英文全体の構造を掴もう

では、英文の紹介です。

これが、2013年の東大英語の要約問題の英文本体です。

 

文章は、パット見で濃淡が分かりません。

どこが大事な文章なのか、読んでみなければ分からない。

そこが面白いと言えば面白いんですけど、受験生としてはスピーディに知りたい所。

 

ということで、私が提唱しているのが、レベル3やレベル4の把握の話です。

言い換えれば、段落構造の把握と、文章構造の把握です。

わかり易く色分けしてみました。

 

赤い所は、比較的重要度が高いポイント

青い所は、注目すべき表現

緑の所は、具体例です。

 

文章っていうのは、意味もなく文字を並べるのではなくて、筆者が意図的に並べるものです。

ルールもあるし、典型パターンもあります。

そのパターンをいくつか知っているだけで、文章の予測も出来ますし、論理展開も簡単。

一本の記事ですから、全て語ることは出来ませんが、簡単に解説していきましょう。

 

抽象と具体

読解をしようシリーズでも登場予定なのですが、先にこちらで。

論理的な文章は、抽象表現と具体表現が交互に登場しながら進みます。

 

抽象表現には、筆者の主張や意図が含まれることが多く、

具体表現は、説得力を持たせ、読者にイメージさせることを目的に用います。つまり、

要約の場合は、具体表現は捨てて、抽象表現を拾うことが、主な方針になります。

 

先ほどの図をもう一度ご覧ください。

文章の真ん中に、大きな緑の枠(具体表現)があると思います。

今回の話は、理系の実験の話です。

実験というのは、何か法則や結論を導くために行われるものですから、具体例に当たります。

大切なのは、その前後の抽象表現。

つまり赤い所です。

 

今回は、の枠のすぐ直後に、い枠で、This suggest that とありますね。実験の結果を要約してくれているので、ここが最も大切な部分になります。

直後の抽象表現(赤い枠)を見てみると、これまでの実験内容をまとめたcomplexという単語が見えます。

これが最重要単語です。

 

要するに、「蜘蛛の糸は複雑(complex)だから強い」と言いたい文章だと分かります。

 

序盤のnot just に注目

どこが抽象表現で、どこが具体表現なのかを見極めるのに、注目すると良い表現があります。

今回は青枠で囲んでおきましたのでご覧ください。

まず初めの段落に、not just が見えます。

表論文は、通説とは違う事を言うのが目的なので、序盤で登場するnot just は非常に重要です。

「通説ではこうだけど、じつはそれだけじゃないよ」

と言いたいわけですから、当たり前ですね。

じゃあ何が言いたいのか??と考えて、読み進めると、すぐに実験の話が始まりますので、しばらく結論はお預けです。

〇〇saysに注目

実験が始まったら、手順と結果が書かれます。

手順は、細かい実験の進め方ですから、読み込んだ方が理解は増しますが、大切なのは結果の方

しかし英語では単純に「結果は~だった」と書かずに、教授の言葉を引用することが多いですね。

 

今回も、He now says や、they found that Buehler says などが登場します。

この直後には文章の主題に近いことが登場しがちです。

 

今回の文章は、そもそも実験の中身の話なので、具体例の一部の扱いになり、重要度は低くなりますが、指定の字数が余りそうなら、盛り込みたい部分。

但し、単に発言しただけの場合と、確信めいたことを言っている場合がありますので、少し注意しておいた方が良いですね。

文章末のFor exampleは注意

文書の最後の方に、For example が登場します。

先ほど書いたとおり、具体例は重要度が低く解答に使わないことが普通なのですが、今回は事情が違います。

 

この文章は、具体例で終了している文章だからです。

文章の最後には、耐震構造の話と、ネットワークの安全性の話が登場します。

 

文章全体では、蜘蛛の巣の構造の話をしていたように見えますが、実は筆者の主張は耐震構造やネットワークの安全性を訴える方に力点が置かれていると考える方が良いでしょう。

 

いや、むしろ、耐震構造やネットワークへ応用が出来ると言いたいがために、蜘蛛の巣の例を引っ張って来た可能性すら、ある程度高いと思います。

 

また理系の実験というのは、理論の発展だけでなく、実生活への応用も大切な要素です。基礎科学と応用科学という言葉がありますが、今はどのゆに実生活に応用するかも大切な科学の要素になっています。

 

解答の作り方

ということで、解答の作り方です。

先ほどから何度か貼り付けている、この画像の赤い部分をまとめるのが、主な方針です。

但し、最も大切なのは、大きな緑枠の直後の赤い枠の中のcomplexです。

緑枠の中の赤い枠は、字数に余りがあれば入れたいですが、時間がなければ入れなくても構わない。

最後の耐震構造とネットワークの安全性は盛り込みたい所ですね。

 

各社の解答比較

最後に贅沢に、各社の解答比較をしてみましょう。

我が東大塾では、これを恒例にしています。理系科目ならまだしも、文系科目は別解が存在するのが普通。

だから、一社に偏ったり、一人の先生に偏ったりして、解答を考察するのを避けています。

 

私の解答や指示も、絶対視してはならないし、誰がどういう事を言っているかを把握するのが文章を読むという事です。

ということで、なるべく多くの解答に触れましょう。

予備校各社の解答例はこちらです。

 

河合塾

クモの巣は丈夫で複雑な性質の素材からなり、局所的に破損しても全体は機能し続けるという強靭な構造を持つ。この原理は耐震建築や通信網の安全性向上に応用しうる。

東進

蜘蛛の巣は強靭だが、これはクモの糸の構造や性質が複雑で巣に力が加わっても損傷が部分的で済むからだ。この原理は構造物設計やネットワークシステム設計に利用出来る。

教学社(25か年)

クモの巣が丈夫なのは、素材の硬さが変化することで破損が局所に限定されるからである。この原理は耐震建築や、情報通信網の安全性向上にも応用可能であろう。

 

 

各社へのコメントまで書くとキリがないので控えますが、こうして比較してみると、見えてくるものが広がりますね。

ということで、皆さんの勉強の参考にして下さい。

 

要約の解説、好評なら続けようと思います。

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