
当塾では、オンライン塾という性質上、教材・解説・演習資料をPDFで配布することが多くあります。
そのときに毎回印刷して使おうとする人もいますが、結論から言えば、PDFは印刷するよりもiPadなどのタブレットで扱う方が便利です。
「紙の方が勉強しやすそう」と感じる人もいるかもしれません。
ですが実際には、デジタルの方が整理しやすく、必要な資料をすぐ探し出せるため、復習や解き直しもスムーズになります。
今回は、受験勉強でPDF教材を活かすなら、なぜ紙ではなくタブレット学習をおすすめするのか、その理由を具体的に説明します。
目次
教科書は紙のまま、PDF教材はタブレット学習
紙には意外とデメリットが多い
紙には紙の良さがあります。ぱっと広げやすく、全体を見渡しやすいですし、「勉強している感覚」を持ちやすいのも事実です。
ただし、PDF教材を毎回印刷して使うことには、意外と見落とされがちなデメリットもあります。
1. 整理と検索に手間がかかる
紙のプリントは、1枚ずつ見るぶんには扱いやすいのですが、枚数が増えてくると整理が難しくなります。
科目ごと、単元ごとに分けたつもりでも、
- どこに入れたか分からなくなる
- 必要な解説をすぐに取り出せない
- 以前のプリントを探すのに時間がかかる
といったことが起こりやすくなります。
受験勉強では、「あとで見返したい資料」をすぐ探し出せるかどうかがとても大切です。
その点、紙はどうしても整理や検索に手間がかかりやすいという弱点があります。
2. 印刷の手間がかかる
紙で使おうとすると、まず印刷しなければなりません。家にプリンターがあっても、
- インクが切れる
- 紙がなくなる
- うまく印刷されない
- 故障やメンテナンスが必要になる
といった問題は普通に起こります。
「今すぐ勉強したい」と思ったときに、すぐ始められないのは大きなロスです。
特に映像授業やゼミ授業などで予習課題がある場合、印刷がうまくいかないと学習が開始できなくなってしまいます。
3. 失くしやすく復習の流れが止まりやすい
紙のプリントは、配られたその場では使いやすくても、時間がたってから復習しようとすると扱いにくくなることがあります。
特に受験勉強では、1回読んで終わりではなく、同じ教材を何度も往復します。
たとえば、
- 前に解いた問題をもう一度見たい
- 解説だけ見返したい
- 類題と並べて確認したい
といった場面では、紙だと必要なプリントを探すところから始まることがあります。
つまり紙の弱点は、あとから見返すときの流れを止めやすいことです。
このロスは小さく見えて、積み重なると意外に大きいです。
4. 枚数が増えるほど扱いにくくなる
1枚や2枚のプリントであれば、紙はむしろ手軽です。
ただ、オンライン塾のようにPDF教材が増えていく環境では、枚数が増えるほど紙の管理は大変になります。
最初は問題なくても、
- 科目が増える
- 演習量が増える
- 解説プリントも増える
- 過去問や復習資料もたまる
と、だんだん整理しきれなくなっていきます。
紙は少量なら扱いやすい一方で、量が増えるほど不便さが表面化しやすいという特徴があります。
紙のデメリット まとめ
もちろん、紙が合う場面もあります。
ただ、塾で配布されるPDF教材については、毎回印刷して運用するよりも、タブレット上で整理し、必要なときにすぐ探し出せる形で使う方が合理的です。
紙は整理に手間がかかり、探し出すまでに時間がかかり、復習の流れが止まりやすいことが、学習上のデメリットになりやすいのです。

大学ではPDF配布が当たり前
これは受験期だけの話ではありません。
大学に入ると、資料が紙で配られることは稀です。
東京大学新聞の記事でも、東大ではBYOD(自分の端末を持参して学ぶ運用)が進んでおり、授業資料が紙ではなくPDFで配布されることが多く、タブレット端末ならそこに直接書き込めて便利だ、という趣旨の内容が紹介されています。
現役東大生である敬天塾のスタッフに確認したところ、
「おそらく9割以上はpdf等のデータですね。紙もごく稀にあります。たまに紙もpdfも(ハイブリッド)みたいなこともあります。」
とのことです。
東京大学のutelecon(東京大学の情報システム総合案内サイト)でも、Goodnotes(グッドノート)というアプリを使ってPDFに手書きで注釈を書き込む活用法が紹介されています。
つまりタブレット等はいずれは必要となるので、先に買っておいても無駄にはなりません。
まず揃えたいもの:iPad学習の最低限セット
「タブレット学習を始めたいけれど、何を揃えればいいのか分からない」という人向けに、できるだけ安く始める前提でおすすめを書いておきます。

1. タブレット本体
主にはiPadをおすすめします。
理由は、学習アプリが安定していて、ペンとの相性がよく、使っている人も多いからです。
敬天塾の講師も全員、iPadを愛用しているので、iPadであれば操作を説明できます。
ただし、絶対にiPadでなければいけないわけではありません。
手書きしやすいタブレットなら他機種でも構いません。
2. タッチペン
手書きで使うなら必須に近いです。
純正ペンは高いですが、受験勉強用途ならまずは比較的安価な互換ペンから始めても十分です。
まずは「書ける環境」を作ることが大事です。
3. ペーパーライクフィルム
必須ではありませんが、かなりおすすめです。
画面がつるつるしすぎると書きにくく感じる人が多いので、紙に近い抵抗感を作れるフィルムがあると手書きのストレスが減ります。
安価なものでも、あるのとないのとではかなり違います。
4. Goodnotes
アプリは基本的にGoodnotes(グッドノート)を推します。
PDFの読み込み、手書き、マーカー、ノート整理、複数資料の管理など、受験勉強に必要なことがまとまっていて使いやすいからです。
Goodnotesをおすすめする理由
Goodnotesの良さは、単なる「ノートアプリ」ではなく、PDF学習の拠点にしやすいところです。
具体的には、
- 配布されたPDFをそのまま取り込める
- 写真も取り込める(タブレットで撮影して追加もできます)
- 重要箇所にマーカーを引ける(線は自動で直線になるので、歪みゼロで気持ちいいです)
- 余白に考え方や注意点を書ける(間違えた問題の原因を、書き込みましょう)
- 科目別・単元別に整理しやすい(ファイルをフォルダー分けしたり、お気に入りフォルダに入れる☆マークを付けたりできます)
という利点があります。
紙のプリントだと、解き直しメモが別ノートに散らばりがちです。
でもGoodnotesなら、問題・解説・自分のメモが同じ場所に残るので、復習効率が上がります。
読後にまずやってほしい行動を1つ挙げるなら、これです。
まずはGoodnotesを入れて、配布PDFを1つ読み込んでみてください。
スプリットビューで過去問演習がかなりやりやすくなる
タブレット学習の強みの1つが、スプリットビューです。
画面を2分割して、左に問題、右にノートを並べるような使い方ができます。
これが過去問演習と非常に相性がいいです。
おすすめの使い方
- 左側:過去問PDF
- 右側:Goodnotesのノート
- 左で問題文を確認しながら、右で解答やメモを書く
これを紙でやろうとすると、
- 問題冊子を開く
- ノートを置く
- 解説を見る
- ページをめくる
- 机のスペースが足りない
となりがちですが、タブレットなら画面内で完結します。

スプリットビューの手順(iPadの例)
1. Goodnotesを開く
2. 過去問PDFをGoodnotesに取り込む、またはPDFを開ける状態にしておく
3. Dockを表示させる
※Dockは画面下部に表示される、よく使うアプリや現在開いているアプリを素早く切り替えるための帯状のエリアです。
4. もう1つ開きたいアプリ、またはGoodnotes内の別ノートを画面端にドラッグする
※同じファイルをもう1つ開くことも可能です。過去問演習では本文のページと設問のページを同時に開くと便利です。なお、同じファイルなので、一方に書き込めば、他方にも反映されます。
5. 画面を左右に分けて表示する
6. 左に問題PDF、右にノート等を配置する
7. 問題を見ながら、そのまま右側に手書きで解く
8. 間違えた問題は、その場で赤字メモやマーカーを残す
この使い方に慣れると、問題を見る→考える→書く→見直すの流れが非常にスムーズになります。
紙の方が学習効果が高いと言われる理由と、その考え方
「紙の方が学習効果が高いのでは?」という疑問には、一定の根拠があります。
一般に、認知科学の観点から紙の方が有利だと言われることが多い理由は、大きく3つあります。
1. 空間記憶
紙の本では、「右ページの上にあった」「後半のこのあたりに載っていた」といった位置の情報ごと記憶に残りやすいと言われます。
特に歴史の教科書や資料集のようにページ数の多い教材では、この“どこに書いてあったか”が記憶のフックになります。
2. 深い読み vs 浅い読み
紙で読むと、読み手は比較的「精読モード」に入りやすい一方、デジタルでは流し読みになりやすい、という指摘があります。
画面上の文章はスクロールやタップの操作と結びつきやすく、情報を手早く処理する姿勢になりやすいためです。
実際、紙と画面の読解を比較した研究では、長い文章や理解重視の読みにおいて、紙に優位性が見られることがあると報告されています。
3. 身体性(手を動かして理解する感覚)
読む・書く・印をつける・戻るといった一連の動作が、学習内容の理解や記憶を支える、という考え方です。
特に手書きは、単なる入力ではなく、思考の整理そのものになりやすいという点が重要です。
ここまでを踏まえると、「やはり紙の方が良いのでは」と感じるかもしれません。
ただ、ここで大切なのは、どの教材に、どの学び方が向いているかを分けて考えることです。
まず、1つ目の空間記憶については、教科書や資料集は紙のまま使うことで十分対応できます。
一方で、この記事でお伝えしたいのは、塾で配布されるPDF教材についてです。
PDF教材はもともとデジタルで配られるものであり、それを毎回印刷して運用することが本当に最適かは別問題です。
そして、2つ目の「浅い読み」と3つ目の「身体性」は、タブレットでも“ペンを持って書き込む”ことでかなり補いやすいと考えています。
ただ画面を眺めるだけなら、確かに受け身になりやすいです。
ですが、GoodnotesのようなアプリでPDFに直接書き込み、マーカーを引き、余白に自分の言葉でメモを残すと、読み方は一気に変わります。
つまり、タブレット学習の弱点は「画面であること」そのものより、受け身で使ってしまうことにあります。
逆に言えば、ペンを持って能動的に使えば、精読モードにも入りやすくなり、手を動かして理解する感覚も作れます。
集中力の低下を防ぐ
学習用タブレットにマンガアプリやXなどのSNSアプリを入れるのは、おすすめしません。
通知や誘惑が増えると、集中力は確実に削られます。
タブレットは便利ですが、便利だからこそ、学習専用機として使う意識が大切です。
目や睡眠への負担を減らす
目や睡眠への負担を減らすために、暗い部屋で長時間見ないこと、寝る前1時間はできるだけタブレットから離れることも意識したいところです。
これは学習効率を落とさないための生活習慣としても大切です。
なお、既に視力が悪い方にとっては、紙よりもタブレットの方が自由に拡大できて便利です。
まとめ
結論として、紙の方が有利だと言われる理由には一理あります。
ただしその利点を整理して考えると、教科書や資料集は紙のまま、PDF教材はペンで書き込みながらタブレットで使うという形が、実はかなり合理的です。
すべてを紙に戻す必要はありません。
むしろ、教材の性質に合わせて紙とデジタルを使い分けることこそ、学習効果を高める現実的な方法だと考えています。
まずはGoodnotesを入れて始めてみよう
ここまで読んで、「少し気になるかも」と思ったなら、最初の一歩はシンプルです。
まずはGoodnotesを入れて、配布PDFを1つ読み込み、マーカーと手書きメモを試してみてください。
いきなり完璧な環境を作る必要はありません。
高価な機材を一気に揃えなくても、
- タブレット
- タッチペン
- Goodnotes
があれば、かなり実用的に始められます。
受験勉強では、勉強内容だけでなく、勉強のやり方そのものも大切です。
PDF教材をうまく扱えるようになると、管理も復習も演習も、かなり楽になります。
印刷して紙を増やしていくより、PDFはデジタルのまま活かす。
この発想に切り替えるだけで、学習環境はかなり整います。
Goodnotesアプリのリンク(iPad用 APPストア)
https://apps.apple.com/jp/app/goodnotes-ai-%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88-%E3%83%89%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88-pdf/id1444383602
