2025年東大文系数学(第1問)入試問題の解答(答案例)・解説
目次
2025年 東京大学数学 文系第1問
初見、「簡単だ!」からの裏切り
法線引いてx座標を求めて、また法線引いてx座標を求める。そして最小値。
完全に知っている解法だけでいけそうな雰囲気です。多くの受験生が「これは満点じゃないと受からないヤツだ」と思ったのではないでしょうか。
しかし、後半に裏切りが待っていたことに気づいた人はどれくらいいるのでしょうか。その裏切りとは・・・?
(1)かんたん♪
(1)は超簡単です。
法線引いて、元の放物線と交わるx座標を求めるだけ。幾度となく計算した問題でしょう。
a>0があるから、(法線の分母)=0を気にしなくてよいところまで簡単です。解説を見ておいてください。
(2)とりあえず点Rのx座標を求める
そして、(2)に移ると、先ほどと同じ作業をさせられます。
aを使ったまま点Rのx座標を求めても良いですが、一度点Qのx座標をbか何かでおいて計算すると楽です。
このように、一度文字でおいて計算するという細かい技術が超大事。計算ミスを減らす工夫でもあります。
手書きの解答では、点Qのx座標をbとおいていますが、後半の計算の方針次第では、点Qのx座標をーbと置く方が楽かもしれません。そのあたりは自分で好きなようにおいてください。
分数関数は相加相乗を使えば全部解ける法則
Rのx座標を求めると、bで置いても置かなくても分数関数になります。
さてここで重要な法則を紹介。
東大文系数学では、分数関数の最大最小問題は全て相加相乗を使えば解ける
これ、僕が実際に過去問を解いていて気付いた法則です。
東大文系の入試では、たびたび分数関数が登場するのですが、全て相加相乗を使って計算できました。
そのため、このHPでも恐らく過去問の解説の時にはそう書いているはずです。
ということで、今回も相加相乗を使ってみると・・・
相加相乗の法則、破れたり
最小値らしき値が出ます。
しかし、その後に等号成立条件を満たすaを求めようとすると、aが虚数解として出てきてしまうのです。
ということは、相加相乗で最小値を求めることが不可。他の方法を探っていくことになります。これが罠です。
余談ですが、このように東大入試では、過去の解法が通用しない問題が出ることが多いです。
インターネットの発展で過去問の重要性が広く伝わるようになって、とても良いことなのですが、「過去問が重要だ」というのは「過去問を解け」と同義ではありません。
「過去問を分析しろ」ということです。そして「分析」は簡単ではありません。
今回でいえば、確かに「相加相乗で解けるじゃん」というのに気づくのも分析です。しかし他の色々な問題を分析していて、「過去の解法が通用しない問題が出ているぞ」と気づくのも分析なのです。こういう細かいところや高度なところで、知恵比べが発生しているのです。
最小値は等号成立条件が必要
さて、余談になりますが、相加相乗を使った後に等号成立条件を書きますよね。この意味はちゃんと分かっていますか?
検索すれば出てくるので、ここでは簡単にだけ説明します。
f(x)≧3 という式が成立していたとします。
これは、「f(x)=3またはf(x)>3」が成立すると主張しているだけで、「f(x)の最小値が3」を主張しているわけではないのです。
例えば、f(x)の値がずーーっと4以上だったとしても、f(x)≧3は真になるのです。
f(x)の値がずーーーーっと4以上だった場合、最小値が3になるはずはありません。でも、f(x)≧3は成立します。
では、「f(x)の最小値が3」を示すためには、何が必要なのでしょうか。
それは「f(x)≧3 かつ f(x)=3となるxが存在する」を示すことなのです。後半の太字の部分のことを等号成立条件と言います。つまり等号成立条件を示すことで、初めて「最小値が3」を示すことができる。だから、いつも相加相乗を使った後に等号成立条件を使っているのです。
ものすごく簡単に書いたので、こんな説明でわかる人は、そもそも分かっている人だけな気がしますが、色々な人が説明しているので調べてみてください。
相加相乗が使えなかったら、「=k」とおいて解の配置(逆像法)
では、分数関数において相加相乗が通用しなかったらどうするかというと、その分数関数の値を「=k」か何かでおいて、解の配置(逆像法)がスタンダードな解法です。
ただ、この方法はそれほど頻繁に使う解法ではないので、知らない人も多かったかもしれません。
ちょっと面倒なのですが、仕方ありません。頑張ってやりましょう。
あとは手書きの解答で確認お願いします。
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