2025年東大文系数学(第2問)入試問題の解答(答案例)・解説

2025年 東京大学数学 文系第2問

東大には珍しい図形の問題

東大では非常に珍しい出題です。
正三角形と円をテーマにした、平面図形の問題が出ました。記憶をたどってみると、平面図形がテーマの問題は2006年第1問以来でしょうか。

後述しますが、使う公式は正弦定理、余弦定理(三平方の定理)あたりで十分です。難しいのは、その公式を使う場面までの部分。
「東大対策」として過去問や過去問の周辺分野ばかり演習していると、目を向けられない問題でしょう。

実験して法則を探ろう

では解き方に行きます。
問題文では知らない設定について細かく説明されています。このような問題は、とにかく手元で図を描くなどして実験することです。
3つの頂点を中心に円を描くので、等半径の円を3つかくことになりますから、恐らくキレイで正確な図を描くことはできないでしょう。ある程度のキレイさで妥協して、考察することになります。

円とは、中心から等しい長さの点の集合です。つまり、各頂点から同じ距離の点を通る図形がヒントになりそうです。これを念頭において、色々な図を描いてみてください。

なお、解説を簡略化させるために、

状態X:辺AB、BC、CAが全てDrに含まれ、かつrが最小の状態(sが求められるときの状態)
状態Y:△ABCがDrに含まれ、かつrが最小の状態(tが求められるときの状態)

と定義しておきますね。

(1)正三角形なので、図示は簡単

(1)は正三角形の場合です。これはあまり悩まず図が書けるでしょう。
まず状態Xを考えますが、これは辺が円に含まれていればよいので、辺の半分の長さで円を描けばOKです。(中点を通りますね)

次に状態Yを考えるのですが、今度は三角形の内部が全て円に含まれなければなりません。
ということで、さっきの状態Xの場合より少し半径を広げて、三角形の真ん中あたりで円が交わるように図を描きます。

「真ん中あたり」と曖昧に表現しましたが、正確には「外心=内心=重心=垂心」を通ればOKです。
但し正三角形だから、5心のうち4つが一致してしまっています。(2)や(3)では角度を変えるので、4つのうちどの「心」が重要なのかを考えておく必要があります。

なぜこの「4心」を円が通るとき状態Yになったのでしょう。それは各頂点=円の中心から最も遠い点だからです。
状態Yは、三角形の内部の全ての部分が円に含まれなければなりません。円の半径が小さい状態から段々大きくすると、真ん中の「4心」が最後まで残るわけですが、それは中心から最も遠いからです。
ではそのような、各点から最も遠い点は、外心、内心、重心、垂心のうちどれなのでしょうか。

答えは外心です。
外心は各辺の垂直二等分線の交点で求まります。垂直二等分線とは点からの距離が等しい直線です。例えば辺ABの垂直二等分線上の点Pをとると、点PがどこにあってもAP=BPが成り立ちます。今回は各頂点からの距離が同時に最長になる場合を考えるので、垂直二等分線によって作図できる「外心」が重要だったのだと分かります。

ということで、外心や垂直二等分線がキーワードだというように目星をつけて(2)へ行きましょう。

(2)120°の二等辺三角形

次は120°の二等辺三角形の場合を考察。(本当は2π/3と書くべきでしょうが、「パイ」のフォントが見づらいので度数法にします)
もちろん始めは(1)と同じで、辺の半分の長さの円を描いてみましょう。すると長辺の真ん中あたりが円に含まれないことが分かります。

これではsもtも求められないので、もう少し半径を大きくする必要がありますね。

ということで、半径をちょっとずつ大きくしていくと、下の図の瞬間にsとtが同時に求まります。

「ああよかった、これでsとtが求められた。」と安心してはいけません。(2)は(3)の布石です。(3)を解くためのヒントが与えられているので、この時点でしっかり考察しておいてください。
この場合の半径はどんな長さなのだろうと考えながら考察すると、辺ABの垂直二等分線が辺BCと交わる点(上の図の点Q)がカギになってそうです。半径がBQの長さよりちょっとでも短ければ、sもtも求められません。
ということで、「(3)でも垂直二等分線が登場するんだろうな~」と予想を付けて(3)へ

(1)(2)の振り返り

ここまでのポイントをまとめておきましょう。

(1)では、辺の中点を円が通るとき状態Xになり、外心を通るとき状態Yになりました。
(2)では、垂直二等分線が長辺を通るとき、状態Xと状態Yになりました。

以上から、外心や垂直二等分線、中点がポイントになりそうです。ただ、垂直二等分線は中点を必ず通りますので、さらにまとめて「垂直二等分線」がポイントだと言えるかもしれません。ただ、現時点ではわからないので、ある程度幅を持たせておいても良いでしょう。

では、一般の鋭角で考察です。

(3)状態Xについて

ここからは、状態Xと状態Yを分けて1つずつ考察していきます。まず状態Xから。

0°<Θ<60°の場合

垂直二等分線がポイントだろうなと思いながら図を描いてみると、

確かに、状態Xをちょうど満たします。これより半径がちょっとでも小さいと、中点付近がDrに含まれなくなりますからね。
よって、s=1/2と分かります。

なお、点Qの場所を探すと、辺BCの外側にありますね。

60°<Θ<90°の場合

※Θ=60°の場合は(1)を参照してください。

先ほどと同じように半径1/2の図を描くと、長辺の真ん中に隙間が出来てしまいます。なのでもう少し半径を大きくしないといけません。

よって、その隙間を埋めるように半径を大きくすれば、sが求まります。なお、点Qは辺BCの内側に入っていますね。

Θ=90°の場合

これは必ずしも調べなくても良いのですが、場合分けの分岐になっているので調べておきます。

このように、点Qが辺BCの中点に一致していますね。これが場合分けの分岐になっていたのです。

90°<Θ<180°の場合

図を描いてみると分かりますが、これは(2)と同じ結論になります。

このように、点Qを通るように半径を広げると、辺がすっぽりとDrに含まれます。

あとは、各場合についてsの値を求めて終わりです。求め方は、下の方にある手書きの解説をご覧ください。

(3)状態Yについて

次に状態Yについて、場合分けして考えていきましょう。

0°<Θ<90°の場合

角度が小さいので、(1)が参考になりますね。(1)では円が外心を通るときがカギでした。
90°未満(鋭角)で図を描いてみると、やはり外心を通るくらいまで半径を大きくする必要があるのが分かります。

Θ=90°の場合

90°ピッタリの場合は答案に書かなくても良いのですが、参考に書いておきます。

円が点Qを通っているのが分かりますね。
点Qは辺BCの中点ですが、同時に△ABCの外心でもあります。∠A=90°ですから、直径に対する円周角が90°になっているわけですね。

一般に、外心は鋭角三角形のときには三角形の内部に存在しますが、鈍角三角形の場合は外部にあります。(図を描いて確かめてみてください)
直角三角形の場合は、内部でも外部でもなく、三角形の辺の上にあるんですね。もっと細かく言うと、直角三角形の斜辺の中点です。

90°<Θ<180°の場合

最後に、鈍角三角形の場合です。

鈍角三角形の場合は、円が外心を通るほど半径が大きくなくても良いです。上述した通り、外心は鈍角三角形の外部にありますから、そこまで半径を大きくすると過剰です。
ではどのくらいまで大きくするかというと、(2)で考察したとおり、点Qまでです。

以上、全ての場合について検討できました。あとはtの値を、三平方なり、正弦定理や余弦定理なりで計算してください。(計算方法は手書きの解説をご覧ください)

手書きの解説

2025(2)文数 解説

 

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