2026年東大英語(第4問A 英文法正誤)入試問題の解答(答案例)・解説

《東大英語 第4問A 英文法正誤 の記事一覧はこちら》

(編集部注1)難易度の評価など、当日解いた所感はこちらをご覧ください。

(編集部注2)実際の入試問題入手先
本解説記事を読むにあたって、事前に入試問題を入手なさることを推奨します。
・産経新聞解答速報 https://www.sankei.com/article/20260226-7GXVJBPYIBC6TDSA7ZNXH27TQQ/?outputType=theme_nyushi
・東京大学HP https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/admissions/undergraduate/e01_04.html

 

東京大学英語4A正誤問題というと、多くの東大受験生が「捨て問」にされています。
ですが、高得点合格者の多くは、この4Aに割り当てられている10点をきっちり取りに行っています。
苦手意識を持たれる方が多いのは、きちんとした対策を取っていないからです。

4Aは文法問題だと称されることが多いと思いますが、私は英作文+読解問題だと考えています。

英作文の解説記事でも申し上げるつもりですが、短時間で「正確な」英文を書くためには、英文の「点検項目」を明確化し、日頃から自分が書いた英文をチェックしているかが合格ポイントになります。
実のところ、4A正誤問題は、そうした英作文における「点検項目」の延長線上に位置しています。

また、1B文挿入で大意をスピーディーに把握する訓練を積んでいる方にとって、4Aの長文量は3〜4分で処理できるものであり、さほど労することなく得点できるサービス問題になっています。
4Aに極度の苦手意識を持たれている方は、1Bや2といった他の設問でも苦戦されている可能性もあるのです。

とはいえ、ただ単に「分布力を上げてくださいね、総合力を上げてくださいね」というアドバイスでは、ただでさえ時間が足りない受験生には酷でしょうから、本解説では、高得点合格者の目の付け所について詳述したいと思います。

【東大正誤の鉄則】4Aを捨て問にしようか悩んでいる、そこのあなた!実はコツがありますよ!

【東大正誤の鉄則】3つを読む
  • 3つ取れ!
    3問はスピーディーに取れる問題があります。
    難易度順に並んでいるわけではありませんから、過去問分析から目の付け所をテンプレ化してください。
    人間が解ける問題なら、あなたにも解けます。
  • 修正箇所は意外にシンプルだから過度に怯えるな!
    正しい英語長文が元々あって、それを東大教授がちょこっといじっているだけですから、私大のように正誤問題のためだけに無理して作られた短文とは異なり、シンプルに解けることが圧倒的に多いのです。
  • 文章自体は面白い
    正誤問題として解くだけではなく、ぜひ多読用にも活用してみてください。
    言語学のスペシャリストが作成されている東大英語は、全大問余すとこなく活用しましょう。
    言語関連の文章も多く、長文からエッセンスを吸収した受験生には、2020年に話題となった「言語が人を操るのか、人が言語を操るのか」という英作文問題の書くネタも思い付きやすかったかもしれません。

【2026-4A所感】2025年とは打って変わり、文章は読みづらく、文脈把握型の設問も復活。明らかな難化!

昨年度はここ数年で最も簡単になった4A正誤問題でしたが、今年は一気に難度を上げてきました。
「能」という日本の伝統的な文化に関する文章が出されたものの、受験生にはあまり馴染みがないテーマということもあり、文章内容を把握するのに苦労したようです。
文脈を把握しないと解けない設問が2問出されましたので、難度としては昨年比で明らかに難化はしていますが、その一方で、2022年4Aを過去問探究していた受験生にとっては、わりかし親切な設問のつくりだと思えたのではないでしょうか。

今年度の1A(英文要約)や5(物語文)の難度を考えますと、この4Aを安易に捨て問にせずキッチリ3問は取りにいきたいところでした。
どの大問がサービス問題になるのか明確に定まらない東大英語にあって、どの設問形式であっても最初から捨て問にしようとはせず、しっかりと対策を講じなければならないことを強く心に留めなければいけません。

その中でも客観式(マーク式)の問題でキッチリ点数を取ることは極めて重要だと言われています。試験会場の音質や過度の緊張の有無で得点率が左右されやすいリスニングと異なり、4Aはコツさえ掴めば安定的に正解を導ける得点源ですから、早いうちから過去問探究をせねばなりません。

ですが、4Aでコンスタントに高得点を取れる受験生がいる一方で、いくら対策しても4Aで全く点数を取れない受験生がいるのはなぜでしょうか。
それは、目の付け所が違うからです。
本稿を通じて、ぜひ、その極意をマスターしてください。
併せて、2017年度〜2024年度4A実況中継解説も参照すると学びが大きいことでしょう。

(2025-4A解説) (2024-4A解説) (2023-4A解説) (2022-4A解説) (2021-4A解説) (2020-4A解説) (2019-4A解説) (2017-4A解説)

(編集部注)詳細な実況中継解説は映像授業【東大英語 第4問A 英文法正誤】に含まれています。

 

その上で、以下の過去問分析チャートを分析してみましょう。

【東大4A分析チャート】13年分(2011年~2026年)

東大英語4A直近13年分析チャート by敬天塾

いかがでしょうか。このように一覧にしてみると、東大英語部会が受験生の如何なる力を試そうと設問をつくっているのか、意図が見えやすくなるのではないでしょうか。

際立つのは語法関連の知識が高頻度に問われている傾向です。
東大受験生は概して意識の高い方が多いですから、鉄壁やら英検準1級単語帳やらで高級な単語をたくさん覚えようとはするのですが、東大側としては「中学生や高校1年生でも知っているような単語はちゃんと使いこなせていますか?」と問うてきています。

東大入試は早慶と違って難単語をほとんど問うてきません。
もちろん貪欲に語彙力の増強に努めてはいただきたいですが、
自動詞なのか他動詞なのか
関連した熟語はきちんと整理できているか
ニュアンスの違いを理解しているかといった英語学習の基本姿勢が身についているのかが積極的に問われている印象です。

そうした意味では、お使いの高級単語帳をやる前に使っていた基礎単語帳の語法を総復習したり、基本単語が実際にどのように使われるのかを例文でチェックしたりすることは極めて重要です。
学校で配布されることの多いネクストステージやビンテージといった文法問題集の後半に掲載されている語法関連のページも早いうちから読み込んでみましょう。

そのほか、塾生にオススメしている、桐原の『WORD SENSE』や青灯社の『英単語イメージハンドブック』といった基本語彙の運用能力を格段に高めてくれる良書も、英作文対策になりますので早いうちから読み込んでみましょう。

 

それでは、設問(22)〜(26)の5つの問題を前にして、高得点合格者達はどのような思考プロセスで解いていったのか実況中継風に解説していきたいと思います!

【設問別実況中継】設問の解説だけに終わらない!しっかり学んで4Aを得意にしよう!

設問(22)今年も初っ端にサービス問題が登場しました!東大頻出の関係詞関連パターンです<文構造(関係詞)>

誤った選択肢は(b)

The songs are given with a curious voice (b) which in which suppressed breathing is an item of value.

関係代名詞が絡む問題は、2025年(22)や2017年(23)で出題されていますが、本問も昨年に続き瞬殺で間違いに気付けなければなりませんでした。

which以下が文として完結してしまっていますから、このままでは、先行詞のvoiceに繋げることができません。
それゆえに、in whichなどに書き換えなくてはなりません。

正直いって、中間期末テストレベルの問題であり、4Aを最初から捨て問にすると決め込んでいた受験生はさぞ悔しがったのではないでしょうか。

英作文の添削をしていても、関係代名詞がらみの凡ミスはかなり多くみられますので、受験直前期には口を酸っぱくして注意喚起をしています。

 

せっかくですから関係詞がらみで出題可能性の高い切り口を4つご紹介するとしましょう。

関係詞がらみの切り口4つを読む

①関係代名詞の成立条件不存在

関係代名詞とは、名詞(先行詞)や前の文章を説明したい時に用いる文法技術なわけですが、意外に使い方がわかっていない受験生が多くいます。
たとえば、「私がとても可愛がっているワンちゃんは、ポチです。」を英訳しようとした時、

The dog which I love so much is called Pochi.→⭕️
The dog I love so much is called Pochi.→⭕️(目的格用法のwhichthatは省略可能だから)
The dog which I love him so much is Pochi.→✖︎

となることは当たり前に理解できますでしょうか。

The dogを説明しようとしているのに、which節の中が文として完結してしまっていますよね。
I love ■ so muchの■の部分がwhichの前に書かれているから■は省略するというのが関係代名詞の基本だったはずです。
Gorie is my friend who likes Hanako.という主格用法も同じです。
who以下の文にはlikesの主語がなく文として「不完全」ですよね。

なぜなら、主語の部分が関係代名詞の外に先行詞として飛び出しているからです。
これが、Gorie is my friend who he likes Hanako.では関係代名詞は成立しないわけです。

英語が得意な方にとっては、何を当たり前のことを言っているんだと思われたと思います。
本問が、まさにこのパターンなのです。
whichの後ろが文として完結しており、先行詞の(a curious) voiceを入れ込むための前置詞もありませんから、このままでは関係代名詞は成立しません。
それゆえに文章骨格を維持したくば、関係副詞を用いざるを得ないのです。

関係代名詞の後ろは「不完全」な文でなければならないことを改めて、お手持ちの文法書などで復習をしましょう。
どの科目でも、「基礎に戻る勇気=合格力」なのです。

 

② 「関係代名詞のthat」と「同格のthat」との混同

前項の①でも述べた通り、関係代名詞は「不完全」な文が後ろに来なければなりません。
それに対して、同格のthatは関係代名詞ではありませんから、that節の中は文として「完全」でなければなりません。
ですが、意外に多くの受験生が間違えるんです。。

たとえば、同格のthatの代表格はThe fact that SV〜ですよね。
熟語のように丸暗記している受験生がほとんどですから、4Aで出されても「あ!同格のthatが来た!ラッキー」と思い込んでしまうのではないでしょうか。

そうした受験生の思い込みを教授陣は突いてくるのです。

The fact (that you pass the entrance exam) makes me happy.という文は、同格のthatで間違いありません。
「貴方が入試で合格したという事実は、私を幸せな気持ちにする(貴方が入試で合格したという事実のおかげで、私は幸せな気持ちになる。)」という、なんとも縁起の良い文章です。

では、次の文はどうでしょうか。

The fact (that you are talking about) makes me happy.も正解です。

なぜなら、このthatは関係代名詞であり、talking aboutの目的語がThe factなので、that以下の文は完結していなくても問題ないのです。
The fact that SVは同格のthatで確定だと思い込んでしまうと、間違えてしまいそうですよね。

 なお、同格のthatを多用する受験生が多いですが、どんな名詞にでも使えるわけではありません。
situationchanceやimageなどは同格のthatが使えません。
ミスのない無難な英文でサクッと答案を仕上げることが東大英作文制覇のコツです。
詳しくは2A自由英作文2B和文英訳の解説記事もご参照ください。
なお、映像授業では同格のthatが使える名詞一覧をご紹介しておりますので、併せてお役立てください。

 

③前置詞の見落としによる関係代名詞と関係副詞の混同

動詞の語法ともリンクする話ですが、前置詞の存在を見落とす受験生が非常に多いです。

たとえば、次の文を見比べてみてください。

This is the house which I lived last year. →✖︎ これはよくある間違いです。
live in the houseが本来あるべき形であり、目的語のthe houseが先行詞としてwhich節の外に飛び出しているわけですから、inがなくてはいけません。

要は、先行詞のthe housewhich以下の文に戻した時、違和感なく文章が繋がるのかということです。
今のままだと、I lived the house last yearとなってしまいます。

自動詞・他動詞の論点にもつながります。
ここは、きちんと
This is the house which I lived in last year.
This is the house in which I lived last year.
に修正しなければなりません。

では、次の文はどうでしょうか。

This is the house which I lived with my parents last year.
→✖︎ これも間違いです。
前置詞withはありますが、これは、my parentsにつなげるためのものであり、the houselivedを繋げる前置詞がありません。

This is the house which I lived in my twenties.
→✖︎ これも間違いです。
inは確かに書かれていますが、これはmy twentiesとセットをなすものであり(in my twentiesで「20代の時に」)、やはり本文でもthe houselivedを繋げる前置詞inがありません。

以上のように、関係代名詞が来たら前置詞の存在を疑う癖を習慣化していただきたいところですが、これが関係副詞とどのように関係するのでしょうか。

関係副詞とは、ざっくり言えば、前置詞コミコミプランのようなものです。
先程の例文で言えば、
This is the house in which I lived last year.
This is the house where I lived last year.
のように、「前置詞+関係代名詞」という2単語をスッキリ1単語で表現できる優れものが関係副詞です。

あくまで前置詞コミコミですから、主語や目的語の省略には対応できません。

たとえば、
This is the house where lived last year.
→✖︎ livedの主語が抜けていますね。
whereがカバーできるのは、あくまで前置詞のみです。
主語が抜けていては文として成り立ちません。

I went to Hongo, where I met.
→✖︎ metの目的語がありません。
これでは、誰と本郷であったのかがわかりません。

さらには、前置詞を省略するために関係副詞を用いたのに、
This is the house where I lived in last year.
→✖︎ これでは、inが浮いてしまいますね。
inを省略したいがために関係副詞のwhereを用いた意味がなくなってしまいますから、inを削除するか、wherewhichに変えるかしかありません。

いかがですか。中3〜高1で学んだ内容のはずですが、意外にド忘れしていた方も多いのではないでしょうか。

東大教授は東大受験生のことを誰よりも知り尽くしています。
ミスの傾向もデータベース化されている教授もいらっしゃいます。
しっかりと戦略を立てて、4Aを攻略しましょう。

 

④ 知識系

たとえば「〜, that」(カンマの後ろの関係代名詞that)は禁止であるとか、
先行詞にthe lastthe firstallなどが付いている時にはthatを用いなければならないとか、
whowhomwhoseの使い分けはどのようにすればよいのか、
関係代名詞の省略を見抜くにはどうしたらいいのか(the book I wantのように、モノ+人が不自然に並んでいる時には関係代名詞の省略を疑うなどの視点)といった知識系については、改めて総復習しましょう。

なお、時々、単元別に勉強しているとわからないものはないのだけれども、分野がシャッフルされると途端にわからなくなるという方がいます。

その場合、桐原の『英文法ファイナル問題集標準編』あたりで弱点を炙り出したのち、薄手の問題集で弱点分野を集中的に潰していくのがよいでしょう。薄手の問題集から始めたい方は、以下の記事もご参照ください。

知る人ぞ知る 薄くて学びのある参考書の良書(英語編)

いかがでしたでしょうか。知っていることばかりだったと思いますが、それをスムーズにいつでも引っ張り出せるように解法整理することが重要なのです。

本問はまさに上記の類型でいうところの①「関係代名詞の成立条件不存在」が狙われました。
ここで間違えてしまった方は、いま一度、基礎の徹底をしましょう。
英作文の向上にもつながります。

設問(23)2年ぶりの文脈把握問題でした。長文の中身を理解できないと難しかったでしょう。<文脈把握>

誤った選択肢は(e)

Personally, with the exception of the sudden cries, the music appealed to me (e) as being out of in tune with  the pieces and as adding greatly to their charm and meaning.              

今年度は、「文脈上の誤り」についての指摘も要求されています。
2024年には「内容上」の誤りが条件指定されましたが、両者の差異はないものと思われます。

一応、2014年に本年と同じく「文脈上」という問われ方がされていましたが、その時は、1語取り除けという指定ですから、4Aの現行方式では初めてかもしれません。

さて、今年度の4Aでは「文脈上の誤り」に関する設問が、この(23)と(26)の2問ありました。
文法的には間違ってはいないけれども、前後の文脈から考えると明らかにおかしい内容となっています。
もっとも、文脈と言っても、どこまでの内容を読み込まなければならないのか不安に駆られることでしょう。
段落全部を精読しなければ解けないのか、長文全部を精査しなければ答えを導けないのか、それとも、下線部前後を読むだけで正解を紡ぎ出すことができるのかによって体感難度が格段に変わってくるはずです。

この点、東大4Aでは、長文全部を精査しなければ答えを導けない問題は記憶の限り出題したことがありませんから、ご安心ください! 基本的には設問に絡む段落のみです。
もっと言えば、本問に関しては、下線部を含む一文を読みさえすれば、違和感に気付きやすかったように思えます。

能が筆者を魅了している理由を説明しようとしているなか、out of tune(音程を外れる)というマイナスワードが来るのは論理的におかしいと気付いてほしいところです。

with the exception of the sudden criesという前置きの書き方からして、as以下にはプラスの内容が来るべきだとも言えます。

もっとも、1Aや5が超難化した今年度は例年以上に時間制約が厳しかったでしょうから、4Aにどれだけの時間資源を投下できたかは定かではありません。

そうした意味で、本問は本来であれば標準レベルの設問だけれども、じっくり読む時間がないなか十分な文脈把握に足るゆとりがなかった可能性が高く、捨て問にしても良い問題だったと思います。

仮に本問を落としたとしても、後続の(24)や(25)は比較的容易な文法型の問題でしたから、やはり1つの問題に執着することなく、お得な問題を拾い集めるスタンスで、とにかく先に先に進めようという意識が合格ポイントだと言えましょう。

 

さて、本問の解説に戻りますと、下線部(e)には能が魅力的である根拠が来なくてはいけませんので、out of tune(音程が外れた)ではなく、in tuneなどのようにプラスの意味の語句が来なくてはなりません。

 

設問(24)分詞に関する基本中の基本問題です。本問はしっかり奪取したいところです。<動詞(分詞)>

誤った選択肢は(e)

Masks are also worn by those representing demons or ghosts, and these masks are much of the same design (e)as that which those worn by children on the fifth of November.

本問は一応「動詞(分詞)」で分類はしていますが、設問(22)と同様に関係詞の観点から誤りに気づくこともできたでしょう。

則ち、whichの後ろにbe動詞がありませんから、メインの動詞が欠けている状態になっています。

もちろん、動詞の語法(分詞)という視点からみましても、be動詞もなしにwornという分詞単体を使いたければ、修飾したい名詞の直後にwornを書かねばなりません。
つまり、whichが邪魔になるわけです。

また、下線部(e)の前ではmasksのように複数形で表記されているにもかかわらず、なぜか下線部(e)では単数形を受けるthatが用いられているのも違和感です。

このように、本問は複数のアプローチから誤った選択肢だと気付かなくてはいけない問題でした。
そうした意味で、学習効果の高い設問だとも言えましょう。

 

さて、このように様々な解答アプローチが観念される設問(24)ではありますが、本稿では、ひとまず分詞関連の思考レシピをご案内したいと思います。
分詞がらみでは受動態が頻出です。
東京大学は受動態に絡めて動詞の語法知識を何度か問うてきています。

実は、受動態というのは正誤問題を作る側からすると非常にありがたい文法分野なのです。
なぜなら、教授が仕掛けた罠に受験生が次々とかかってくれるからです。
逆に言えば、受動態に絡めて大学教授陣がどのような切り口で問題を作っているのか事前に知っておけば、スピーディーに誤答を見つけられるようにもなりましょう。

ここで、正誤問題における受動態関連の鉄則を4つご案内いたします。

受動態関連の鉄則4つを読む

(鉄則その1)受動態をみたら、直ちに他動詞か自動詞かを疑え。その際、能動態に戻して考えると気付きやすい。

(鉄則その2)過去形と過去分詞形が同形の動詞が来たら受動態を疑え。関係代名詞と絡めて出されることもある。

(鉄則その3)不必要な受動態に注意せよ。能動受動態やneed~ing/be worth~ingの可能性を常に頭に入れよ。

(鉄則その4)日本語では能動態のように訳すのに、英語では受動態として表現される動詞には注意せよ。

それでは、1つ1つ丁寧にみていくとしましょう。

 

(鉄則その1)受動態をみたら、直ちに他動詞か自動詞かを疑え。その際、能動態に戻して考えると気付きやすい。

作問者がなぜ受動態を好むかというと、日本人が受動態好きなのを知っているからです。
自動詞か他動詞かを意識せず、なんでもかんでも受動態にしている答案は英作文でも散見されます。
東大教授は4Aを通じて、そうした受験生に戒めを与えようとしているのかもしれません。

不安に思ったら、必ず能動態に直してみてください。
なお、allow 人 to Vという熟語がありますね。
でも、これをわざと受動態にして、本来なら、He was allowed to go there.にすべきところ、He was allowed going there.などのように熟語の形を崩してくることもあります。
ついつい受動態の方に目がいってしまい、allowの語法に目が行かなくなってしまっているわけです。

その他、laugh atのようなセットで使われる熟語にも要注意です。
受動態にするときにも前置詞を随伴させることは英作文でも意外に忘れがちです。
たとえば、He was laughed at by Tom.のようにatも必ずセットでついてくることは焦って解いていると忘れがちです。

 

(鉄則その2)過去形と過去分詞形が同形の動詞が来たら受動態を疑え。関係代名詞と絡めて出されることもある。

過去形と過去分詞形が同形の他動詞が来たら、私は常に受動態の存在を巧妙に隠そうとしているのではないかと疑います。
まず、どこをみるかというと、当該動詞の直後に目的語があるかを見定めます。
たとえば、He allowed to go there.という例文があったとしましょう。
この文は正しいですか?間違っていますか? もちろん、間違っていますね?

allowは基本的に誰々に許しを与えるという意味の他動詞ですから、上の文ではallowedの後ろに人が来ておらず、語法が崩れてしまっています。
本文をHe was allowed to go there.とすれば通じますね。

このように、本来、受動態にしなくてはいけないのに、受動態になっていないケースを正誤判定でよく見かけます。

さらには、関係代名詞に絡められると、途端にわからなくなる生徒もいます。
たとえば、I want the permission that needed to enter the room.という文があったとしましょう。
関係代名詞のthatに目がいくあまり、needの語法に目が行かなくなってしまう受験生が多くいます。
関係代名詞のthatがなければ過去分詞によるpermissionの修飾構造が文法的に成立しますので正解の文となりますが、関係代名詞thatを残すならare neededと受動態にしなくては、「permission(許可)というものが、部屋に入ることを必要としている」という文になってしまうので、訳がわからなくなってしまいます。

 

(鉄則その3)不必要な受動態に注意せよ。能動受動態やneed~ing/be worth~ingの可能性を常に頭に入れよ。

鉄則その2とは打って変わって、不必要な受動態を改めさせる正誤判定も大学入試では頻出です。
語法と関係すると言えば、それまでではありますが、せっかくなので、周辺知識をここで整理してみます。

まずは、能動受動態と呼ばれるものに注意を払いましょう。

①Her latest book has sold over a million. (彼女の最新作は100万部以上売れている)
②This razor cuts well.(このカミソリは切れ味が抜群だ)
③The article reads well.(この記事はよく書けている)

のように、無生物主語であれば必ず受動態にするわけではないのです。
こうした思い込みを受験生が持っていることを大学教授陣は予測して、他大学ではしばしば能動受動態の問題を出して来ます。
ちなみにしばしば程度の副詞を伴います。wellsteadilyなどです。

その他、need〜ingbe worth〜ingという熟語にも気をつけなければなりません。
まずは、例文から確認しましょう。

My iPad needs repairing. (私のipadは修理される必要がある)
This game is worth watching. (この試合は見る価値がある/ 見られる価値がある)

いかがでしょうか。このように、受動態を使わずとも、受動態の意味を醸し出すことができるということを意外に盲点とされている受験生がいらっしゃいます。
こうしたところを東大教授は狙ってくるわけです。プロ中のプロですので。

なお、④⑤においては、repairやwatchの目的語が主語の部分に来ていますので、間違っても、This game is worth watching it. などとしてはいけません。
これは、英作文に際しても注意を払わねばならないポイントです。
使い慣れていないフレーズをぶっつけ本番で使おうとするなと塾生には日頃申しておりますが、こうした語法のミスを犯すリスクが高いからなのです。
なお、2020年設問(24)で問われたタフ構文についても必ずチェックしておきましょう。

 

(鉄則その4)日本語では能動態のように訳すのに、英語では受動態として表現される動詞には注意せよ。

これは熟語知識といえばそれまでですが、意外に英作文でも間違える受験生が後を絶ちません。
たとえば、「2006年に生まれた」を英訳したくば、I was born in 2006.なわけですが、日本語の「生まれる」という語感につられて、I bore in 2006.としてしまう受験生がいます。
その他にも、「座る」はsitですが、seatを使うとbe seatedと受け身にしなくてはいけません。
日本語では能動態で表現される「怪我をする」は、英語なら誰かに怪我させられるというニュアンスを醸し出すためにbe injuredと受動態で表します。
「驚く」ならbe surprised at、「がっかりする」なら、be disappointed といった具合に、日本語と考え方が異なる語法を狙われると罠にはまりやすいわけです。

いかがでしたでしょうか。以上の4つの鉄則は是非頭に叩き込んでください。
なお、2020年設問(23)や、2017年設問(24)も併せてチェックしましょう。

 

設問(25)下線部を含む一文をチェックするクセをつけましょう!!<文構造(接続詞)>

誤った選択肢は(a)

Just as there is no scenery and the images of the places in which the action lies must be formed in their own minds by the spectators, (a) but butは不要 there are no elaborate visual aids.

まずは、下線部を含む一文をチェックです。
一文をまるまるチェックすることで、主語が抜けていたり、述語動詞が不足していたり、三単現のsをつける必要に気づいたりと良いこと尽くしなのです。

本問に関して言うならば、Just asからカンマまでの文に対する主節が下線部(a)になるべきところ、butがジャマをしているのです。
Just asbutが衝突してしまい、主節のない状態になってしまっているわけですね。

主節と従属節をつなぐ接続詞は原則1つという中学生レベルのルールを皆さんは学んできているはずです。
とはいえ、盲点とした受験生はかなり多かったのではないでしょうか。
基礎がちゃんとわかっている人には易問で、英文法をふわっとした形でしか理解できていない受験生にとっては難問に感じられた1問という意味では、良質な問題だと言えましょう。

 

設問(26) (23)に引き続き、またまた文脈把握型の問題!正答率はかなり低かったのでは?<文脈把握>

誤った選択肢は(e)

Words which unaided can hold an audience, a drama which can paint the scene directly on the mind (e) with much little intervention of the eye, is surely not rightly described primitive.”     

設問(23)に引き続き、またまた文脈把握型の問題です。
本問は(23)以上に正解を叩き出すのは難しかったでしょう。
おそらく、今年度の4Aの中では最難関と言って良い設問でした。

設問(25)が絡む第4段落から、本問が絡む第5段落にかけて、ド派手な背景もなく、小道具も質素なものである「能」について書かれています。
ただ、それは決して、primitive(原始的)なんかじゃない、と下線部(d)を含む一文で述べられています。
その流れを受けての下線部(e)を含む一文なわけです。
not rightly described as primitive(原始的なものとして描写するのは正しくない)と最終行で書かれていますから、前の文との間で整合性もありますね。

ともなれば、この下線部(e)では、下線部(d)の直後に書かれているabsence of scenery and the childlike simplicity and artlessness of the propertiesと軌を一にする内容が来なくてはいけないところ、with [much] intervention of the eyeでは、視覚効果の「高い」という意味(要するに見た目が鮮やかで派手)になってしまい、下線部(e)の前に書かれている内容と矛盾してしまいます。

よって、(e)が間違った選択肢として正解となります。

この手の問題が来年以降、どれだけ出されるかは定かではありませんが、難度の高い文章を短時間で処理できるだけの読解力や教養力を東大側が今後も受験生に求めてくるのは間違いないものと思います。
しっかりと、ネタストックを心がけていきましょう。
今年はz会のリンガメタリカが20年ぶりに改訂されるなど、ネタストック本が充実しています。
FINAL時事英語、OPINION1100、ERA、英単語ISSUE、IELTS英単語、BBC-6minutes、TED、東大英語部会テキストといった題材にも早いうちから触れるようにしてください。

その他、早慶や北大、科学大といった他大学の入試長文を多読題材に活用されるのもオススメです。

 

 

いかがでしたでしょうか。東大4Aは、コツをつかめば、ほんのちょっとの労力で3問は確実に正解できる「おいしい」問題です。
今年度の問題で言えば、(22)(24)(25)あたりは瞬時に気づいて欲しかった設問でした。

ぜひ、敬天塾の映像授業などを通じて、ノウハウを学び取っていただき、東大英語で高得点を奪取していただければ、この上ない幸せです。

(編集後記)

なお、蛇足ではありますが、東京大学が4A正誤問題を出題し続ける理由について私見を述べたいと思います。
昨今、センター試験が廃止され共通テストに移行したことに伴い、共通テストでは語法や文法問題が出されなくなりました。
それに伴い、東大側としては、受験生の語法知識や文法知識を二次試験で問う必要性を以前にもまして強く感じているのかもしれません。

東大教養学部の内部資料で、正確な訳読の重要性や正確な構文解釈力の必要性について教授陣が寄稿されていましたが、これは、英語なんて不正確な文法知識でも堂々と話せればOKという風潮が広がっていることへの警戒感の表れのようにも思えてなりません。
日常会話やショッピングにおいては、こちらの表情やジェスチャーから、相手がこちらの意図を汲み取ってくれることもあるでしょうが、ペーパーテストや研究論文においては、書かれているものが全てです。
稚拙な文法ミスやスペルミスを犯そうものなら、内容以前に、本文すら読まれないこともありえるのです。
そうした危険性を排するためにも、ちゃんと文法のお勉強もしてくださいねと東大側は入試問題を通じて受験生に訴え続けているのかもしれません。

【さらに深く学びたい方のために】

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