2026年東大地理(第3問A)入試問題の解答(答案例)・解説
(編集部注1)難易度の評価など、当日解いた所感はこちらをご覧ください。
(編集部注2)実際の入試問題入手先
本解説記事を読むにあたって、事前に入試問題を入手なさることを推奨します。
※入試直後は新聞社のページから入手できます。
しばらくすると、新聞社からは入手できず、東大HPからは入手できるようになります。
・産経新聞解答速報 https://www.sankei.com/article/20260226-7GXVJBPYIBC6TDSA7ZNXH27TQQ/?outputType=theme_nyushi
・東京大学HP https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/admissions/undergraduate/e01_04.html
はじめに
日本における林業の諸問題にフォーカスがあてられた問題です。
本年は、第1問Bのブルーカーボンや、第1問Cのマイクロプラスチック、第3問Bのグリーンインフラにとかく注目が集まっていますが、合格者と不合格者で最も大きな差がついたのは本問のように感じています。
と申しますのも、本問をほぼ全ての設問がサービス問題に思えた方と、全然知らない問題ばかりでキツかったと仰る方とに大きく二分されたからです。
ここで、皆さんが愛用されている参考書や塾テキストといった教材を開いてみてください。
- 日本の木材自給率が近年上昇している背景
- 日本の林業が抱える問題点
- 林業の衰退がもたらす弊害
- 林業にまつわる諸問題を解決するための新たな試み
の4点について、しっかりと説明されているかどうかご確認ください。
もし、万が一にも、これらの諸論点が載っていないのでしたら、東大地理対策にその教材は非対応だと言わざるを得ません。
なお、2026年3月18日時点で大きな本屋さんを何箇所かまわって確かめましたが、これらの論点がしっかり説明されていた地理探究の参考書は皆無でした(私の見落としの可能性もありますので、この本には載っていたよ、という情報がございましたら、是非コメント欄でお知らせいただけると幸いです)。
受験は情報戦と申しますが、東大地理にも言えることです。
本問の配点はわからないところですが、仮に60点÷7で約9点分程度の点数が本問に割り当てられているとしたら、共通テスト換算で100点分(数学や社会1科目分)を本問だけで稼げるわけですから、ライバルたちに大いに差がつくことは間違いありません。
なぜ共通テストで950点を取っているような方でも東大入試で落ちるのか、その理由の一端がこうしたところにあります。
さて、本問について話を戻すとしましょう。
多くの東大受験生をみていて思いますのは、農業や漁業や林業といった話題になると、途端にアレルギー反応を示す方が相当数いらっしゃる事実です。
イメージが湧かないからなのか、はたまた用語を覚えるのが億劫だからかは判然としませんが、東大教授陣はそうした受験生の動向をよくご存知でいらっしゃるので入試で頻繁に問うてきます。
教科書や参考書を読んでいるだけでは、なかなか頭に入ってこない方は、敬天塾東大対策問題集などを活用して論述問題ベースで論点を整理すると良いでしょう。
その際、東大地理鉄則集で取り上げた「経済」や「政策」、「自然地理」といった切り口をもとに分析を試みることを心がけてください。
さらには、最新の教科書と資料集で、旬なトピックを必ず拾うように心がけましょう。
市販の参考書のなかには一昔前の情報をそのまま掲載しているものが多いから注意が必要です。
たとえば、「日本の林業は衰退しており、自給率木材自給率は減少の一途をたどっている」という記述を鵜呑みにすると、本問を解くことは極めて困難になるのです。
それに対して、教科書や資料集では、どのように記述されているのか一緒にみていくとしましょう。
日本の木材自給率は、1964年の輸入自由化以降、低下していた。しかし近年は、技術革新による合板原料としての国産材の利用増加と、各国の原木輸出規制などによる輸入量の減少によって、自給率は上昇している。
(帝国書院2025世界の諸地域NOWp56)
東南アジアやロシアなどでは、自然環境や国内産業を保護する観点から、丸太の輸出規制を強化している。世界の木材輸出量をみると、産業用丸太の輸出量が減少する一方、付加価値を高めた製材品や合板の輸出量が増加している。
(二宮書店2024地理探究p85)
近年は、過伐採への対策と現地産業の保護から、東南アジア諸国では丸太の輸出規制が進み、合板用のラワン材の入手が難しくなった。その結果、合板の国産化が進み、木材自給率は上昇に転じている。
(二宮書店2024地理探究p91)
政府は、木材生産の効率化をはかる政策や、若者を対象に林業の基本的技術の習得を支援する「緑の雇用」とよばれる事業などを実施して林業労働力を確保する政策を進めてきた。
(東京書籍2024地理探究p97)
林業従事者数が減少し続けている一方で、新規就業希望者への支援事業などにより、1990年以降は若い林業従事者が増えた。
(帝国書院2025世界の諸地域NOWp56)
2000年代に入ると、かつて大規模に植林した森林が成長して利用できるようになり、林業政策の後押しも加わって自給率が改善してきた。その結果、林業就業者数が下げ止まり、若年の林業従事者の割合が回復してきている。
(帝国書院2024地理探究p95)
近年は、日本の木材輸入の中心は木材製品であり、かつてのような丸太での輸入は少ない。また木材製品のなかでも、パルプや製材品は欧米から、合板は東南アジア・東アジアからの輸入が多い。
(帝国書院2024地理探究p95)
オーストリアは、日本と地形や森林所有規模などの条件が類似している。林道整備の進展に加え、丸太生産の集約化、運材・丸太販売の共同化によって、高い生産性を実現している。一方、日本は、流通や運材、伐出の費用が高い。効率的な林業運営に必要な路網整備や高性能林業機械などの利用が進んでいない。
(帝国書院2024地理探究p330)
急傾斜地が多い日本の林業は規模も小さく、伐採と搬出のコストがかかり、担い手の高齢化も進んでいる⋯木材自給率を5割にすることを目標に、戦後に植林され50~70年の伐採適齢期を迎えている国産材の利用を推進している。
(二宮書店2024地理探究p91)
山から木を切り出す「第1次産業」から製材・加工などを施して建材や家具などの製品にする「第2次産業」、それを販売する「第3次産業」までのすべてを村内で行う。1次×2次×3次=6次で、これを「6次産業化」ともよぶ。
(帝国書院2024地理探究p331)⚠︎敬天塾東大地理最新ワード集をご参照
木材の輸入自由化が始まってから、木材価格の長期低迷と就労者の高齢化などの問題を抱え、戦後に植林し伐採期を迎えた木々の多くは放置されていた。
(帝国書院2024地理探究p334)
日本は森林面積の割合が高い国である。森林蓄積量は毎年増加しており、その多くが人工林の成長によるものである。しかし、林業の停滞から、放置されたままの人工林があるなどの課題がある。
⚠︎可住地面積割合の論点について、敬天塾映像授業をご参照。
(帝国書院2024地理探究p334)
1960年代の木材の輸入自由化以降、国内の木材価格が低迷した。人工林は放置すると繁茂し過ぎた枝で林床に日光が届かず、地面に植物が生えない。このため、大雨のたびに土砂が流れ、山が崩れる。ダムの役割を果たしてきた森が荒れると、洪水の危険が増す。林業の維持は、国土の保全にとって重要である。
(帝国書院2024地理探究p334)
森林資源が豊かな地域では、間伐材などの木質バイオマスを熱源や発電に利用する方法が開発され、普及しつつある。
(東京書籍2024地理探究p114)
いかがでしょうか。
こういった旬な論点に1度でも触れたことがあるのか否かで、本問に対する第一印象は大きく変わったでしょうし、それに伴い体感難易度も劇的に違ったことでしょう。
2026年の問題セットが東大地理史上最高難度と評されるなかにあっても、「いや、わりと解きやすい問題もあったから、それほど難しいとは思わなかった」と仰る方も一定数いらっしゃいました。
そうした方々にうかがってみると、やはり、勉強していた「教材」が東大対策に特化していました。
改めて、東大受験は情報戦の様相を呈していることがよくわかった1問でありました。
それでは、各設問について詳しくみていくとしましょう。
設問(1)
問題文
図3ー1の凡例における(ア)に当てはまる用途を答えよ。

林野庁令和6年森林・林業白書より
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/r6hakusyo/index.html
本年度の問題セットのなかでは、非常にありがたい単答問題です。
ですが、意外に苦戦された方が多いようでもありました。
図3ー1の元ネタとなった上記の図表をご覧いただければ一目瞭然だとは思いますが、正解はパルプとなります。
知っていれば即答できますし、知らなければ何時間悩んでも答えは出ないのが知識問題のいやなところですね。
パルプについては教科書ではしっかりと説明がなされていますので、取りこぼしのないようにしなければいけません。
ちなみに、昨年度の入試で問われた「海水の熱膨張」、2024年度入試で問われた「シェール」、2023年度入試で問われた「メタン」のように、近年の東大地理では、比較的新しい論点からカタカナ語句などを書かせる問題を毎年のように出してきています。
教科書で太字になっていない語句もチョイスされていますので、教科書や資料集をしっかり読み込んできた受験生が報われるようにしているのかもしれません。
本問を取りこぼされた方は、教科書や資料集との向き合い方を変える一年としましょう。
解答
パルプ
なお、パルプとは紙の原料です。
木材を細かく砕いて繊維状にしたものを加工して紙をつくるそうです。
近年では、環境保護の観点から紙のリサイクルも進んでいます。
小学校の頃にグレーの手触りがあまり良くない紙のプリントを学校でもらった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
すでに印刷物になった紙からインクなどを脱墨して再パルプ化した古紙パルプにするのです。
気になった方は、インターネットで調べてみましょう。
設問(2)
問題文
木材自給率が大きく低下した主な理由を、輸入木材と国産木材の競争力の差異を生み出す要因に着目して、2行以内で説明せよ。

林野庁令和6年森林・林業白書より
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/r6hakusyo/index.html
本問はリード文で述べられた「1955年頃まで木材自給率は100%に近かったが、その後は急激に低下して2002年に統計が取られて以来最低の18.8%となった。
」の背景について説明させようとしています。
この論点を知っていれば即答できる問題ですが、仮に知らなかったとしても、なんとか地理的思考力を駆使して解答に肉薄したいものです。
まず、「自給率」という言葉に着目せねばなりません。
木材自給率に限らず、エネルギー自給率、食料自給率など、自給率を巡る問題は経済安全保障に関わる重要論点ですので、しっかりと周辺知識を確認しておきましょう。
さて、自給率が低下したということは、外国産に依存したということです。
国内でなんらかの自然災害があって仕方なく「一時的に」外国産に頼るというケースも考えられますが、図3ー1を見る限り、何十年単位で自給率は低下傾向にありますから、別の要因を模索せねばなりません。
わざわざ、外国から木材を輸送費をかけてまで輸入するメリットはなんでしょうか。
やはり「価格」でしょう。
林業に限らず、農産物や衣類などでも、外国産を多く見かけますが、結局のところ、価格が安いから消費者が外国産を選択しているわけです。
敬天塾の東大地理 鉄則集でも強調した「経済の視点」をもとに思考をめぐらせば、本問は容易に解けます。
ただし、これだけですと1行でも十分なはずです。
設問では「競争力の差異を生み出す要因」に注目せよと要求されていますから、なぜ日本の木材価格が外国産に比べて割高になるのか考察せねばなりません。
パッと思いつくところでは、人件費が高いという理由でしょうが、60文字という解答行数に照らしますと、もう一歩踏み込んで、日本の地形にも言及したいところです。
ここで、敬天塾の論述問題集より何問か学習効果の高い問題をご紹介したいと思います。


いかがでしょうか。こんな話は聞いたことがないよと思われたかもしれませんが、教科書ではちゃんと紹介されています。
本問では、人件費の話に留まらず、日本が急峻な地形で路網整備がなっていない点についてもふれられると、ライバルたちに大きく差をつけることができたでしょう。
それでは、解答例を示したいと思います。
基本的には上でご案内した参照問題❷の2012年大阪大学の解答例をベースに考えていきます。
なお、高齢化に関する話は本問では取り上げるべきではないと思います。
なぜなら、図3-1で木材自給率が大幅に低下しはじめた1960年代〜70年代の時代は、第二次ベビーブームがあった頃ですので。

産経新聞2016/2/20記事よりhttps://www.sankei.com/article/20160220-URTIW6L76BI2FBQ3Y4N5XY7Y2Q/
ちなみに、上の図で示されているように1966年は丙午(ひのえうま)でした。
丙午とは、ざっくりいうと昔の迷信でして、この年に女の子を産むと良くないとされ、出産控えが起きていました。
ちなみに、今年2026年は60年ぶりの丙午なのです。https://news.yahoo.co.jp/articles/e6918d8a59ab51023605217d3955c6f099526c3c
さて、話を戻しますと、本問では、経営規模や抜出・流通コストの大きさ、高度経済成長期以後の人件費高騰にフォーカスをあてるのが問いに答えることとなりましょう。
解答例
機械導入や路網整備が不十分で伐出や流通のコストが大きく、零細経営で人件費も高いため国産木材は価格競争力に乏しかったから。(60文字)
日本は山地林が広がるも林道整備が不十分で零細経営のもと人件費も高く、平坦地で大規模経営を行う外国より諸コストが高いから。(60文字)
設問(3)
問題文
木材自給率の変動に対しては燃料材の影響も大きく、近年における燃料材の増加が木材自給率の回復要因になっている。ただし、1960年代以前と近年とでは、燃料材の主な使用方法が異なっている。その違いを2行以内で説明せよ。
本問で答えねばならない点は2つあります。
① 1960年代以前における燃料材の主な使用方法
② 近年における燃料材の主な使用方法
です。
まず②については、木質バイオマス燃料の話だと一瞬で気づけなくてはいけません。
過去問で何度も問われているからです。

教科書においても、
森林資源が豊かな地域では、間伐材などの木質バイオマスを熱源や発電に利用する方法が開発され、普及しつつある。
(東京書籍2024地理探究p114)
と明示されていますし、敬天塾の東大対策問題集 比較編でも本論点をご紹介しておりました。

なお、再生可能エネルギーについては、国公立入試のトレンドになっていますので、これを機に周辺知識を整理しておきましょう。

敬天塾 東大対策問題集 比較編より抜粋
本問に話を戻しますと、近年における燃料材の主な使用方法につきましては、以上のように一瞬で答えられる(答えなければならない)わけですが、問題は1960年代以前の燃料材の主な使用方法についてです。
高度経済成長期の前ですから、まだ日本が戦後の焼け野原のなかで必死に復興に向け頑張っていた時代です。
今のような煌びやかな状況ではありませんでした。
ガスが当たり前のように全ての家庭に普及していたわけでもありません。
昭和30年代には木炭を使う家庭も多かったそうです。
この話をたとえ知らずとも、教科書に必ず載っているエネルギー革命の定義を思い出せれば、解答の肉薄できたかもしれません。
ここで林野庁の解説記事を一部ご紹介したいと思います。
昭和25(1950)年頃から我が国の経済は復興の軌道に乗り、住宅建築等のための木材の需要は急速に増大し、木材価格も大幅に上昇した。一方、昭和30年代以降は、石油やガスへの燃料転換や化学肥料の使用が一般化したことに伴い、里山の広葉樹林等の天然林がそれまでのように薪炭用林や農用林として利用されなくなってきた。このような経済状況から、国内における木材の大幅な増産、そのための天然林の伐採と人工林化を望む声が大きくなった。
林野庁ホームページより https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/r5hakusyo_h/all/tokusyu1_2.html
昭和20〜30年代に入りますと、家庭燃料が木炭から石油やガスなどに移り変わっていきました。
その結果、木炭の需要が急激に減っていき、炭焼き職人が次々と山から下り、薪炭林は荒廃していったそうです。
話題を呼んだ鬼滅の刃というアニメの主人公、竈門 炭治郎も確か木炭を売っていましたね。
おそらく1950年代頃に、炭焼きをやめたのでしょう(笑)。
さて、そのほか、経済が発展途上にあったと考え、いまのアフリカや南米諸国における薪炭材利用の話を思い出した方もいたことでしょう。

いかがでしょうか。このように、経済先進国には経済先進国の燃料材の使い方が、発展途上国には発展途上国の薪炭材の使い方があることがお分かりいただけたと思います。
本問は少し捻りのある問題でした。
それでは、解答例を示したいと思います。
解答例
1960年代以前は燃料用の薪炭材として家庭等で利用されていたが、近年は環境負荷の小さいバイオマス発電の燃料に利用されている。(60文字)
なお、日本の木材自給率が上昇した背景には、輸入木材の価格そのものが高騰している実情もあります。
環境問題に端を発する1990年代初頭の輸入材価格の高騰、インドネシアの伐採制限に起因する2006年の価格高騰に引き続き、コロナ禍で3度目の深刻なウッドショックが発生しました。
その理由には、コロナ禍で世界的に物流に障害が発生して木材のサプライチェーンが混乱したこと、アメリカの超低金利政策で住宅建設ブームが起きて木材需要が高まったことなどが挙げられます。
さらには、ロシア・ウクライナ情勢の影響で木材供給量が減少していることも木材価格の高騰の一因となっています。
どれくらい価格が上がったのかというと、日本銀行が発表した企業物価指数をご覧いただければ、一目瞭然でしょう。
木材にせよ、エネルギー資源にせよ、自給率が高まることは非常に好ましい傾向だといってよいですね。

経済産業省ホームページより https://journal.meti.go.jp/statistics/21692/
設問(4)
問題文
日本では、森林の有する公益的な機能の維持・増進に向けて、2024年度より1人あたり年間1,000円が森林環境税として徴収されるようになった。その税収は、国内各地の森林整備に加えて、その担い手の育成、木材利用の促進や普及啓発にも活用される。こうした多方面への財政的支援は、国産木材の需給にどのような変化をもたらすことが期待されているか。以下の語句をすべて用いて2行以内で述べよ。語句は繰り返し用いてもよいが、使用した箇所には下線を引くこと。
建築 伐採
本問は、2026年東大地理で唯一の指定語句付き論述問題でした。
とはいえ、正直なところ、本年の1A(3)と同様に、単なる国語の読解問題です。
設問文が長い時ほど、ヒントが散りばめられています。
「見慣れない問題=難問」ではないことを今年度の解説記事では何度も申し上げておりますが、大切なことなので何度も申し上げました(笑)。
本問に対する基本的なアプローチは、入試当日の所感記事で塾長が指摘された通りですので、併せてご覧ください。
本稿では、もう少し別のアプローチから、本文の背景にフォーカスをあてたいと思います。
まず、2024年から徴収されるようになりました森林環境税の目的として、設問文で挙げられている「国内各地の森林整備」「その担い手の育成」「木材利用の促進や普及啓発」について、林野庁のホームページでは、以下のように説明をしています。


林野庁ホームページより
https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/kankyouzei/231018.html
この内容を2年ほど前に確認をして作成して生徒に配っておりました論述問題を幾つかご紹介したいと思います。

以上をご覧いただければわかるように、林業を考えるうえで重要なのは、森林の果たす役割です。
詳しくは本年度の3B解説記事でも詳述いたしますので、ぜひご覧ください。

なお、森林環境税や森林の機能に関する学習効果の高い資料のリンクを幾つかご案内いたします。
- 林野庁森林環境税パンフレット https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/kankyouzei/attach/pdf/231018-7.pdf
- 北海道森林環境税パンフレットhttps://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/1/2/5/9/3/3/6/5/_/森林環境譲与税パンフレット_小サイズ.pdf
さて、ここまで森林環境税を新たに設けた背景についてみてきたわけですが、本問の答案を作成するにあたり注意点があります。
それは、設問で問われていることは、「国産木材需給」における変化です。
「需要」と「供給」の両面にいかなる変化がもたらされるのか明示しなくてはいけません。
この設問条件を無視して、間伐の意義や林業の重要性を延々と述べてしまいますと、どんなに素晴らしいことが書かれていたとしても、0点となります。
なぜなら、問われていることに答えていないからです。
これは東大地理に限らずですが、ついつい「あ!あの話だ!」と高揚感に包まれるあまり、設問条件を無視して突っ走ってしまうことはよくあります。
厄介なことに、当の本人からしてみれば、正解したと思い込んでいますから、たとえ見直しをしたとしても試験最中には気づけないのです。
勉強をたくさんしてきた人ほど、こうしたワナにかかりやすいので注意しましょう。
学力はあっても入試で落ちる人に多い失敗パターンです。
問われていることに答える姿勢を終始貫きましょう。
さて、「需要」と「供給」に目を向けるわけですが、わかりやすいのは「需要」でしょうか。
国産材の魅力を積極的にアピールすることで、「我が家のお風呂は国産材を用いたヒノキ風呂にしようかしら」と考える方が増えていくかもしれません。
また、学校や役場などの公共建築物を木造化/木質化することで、多くの人に国産材の良さを知ってもらうのも良い宣伝になりそうです。
リード文にある「普及啓発」から連想される内容を盛り込めば、わりと容易に需要創出についての期待例を挙げることはできたでしょう。
問題は、「供給」についてです。
リード文では、「森林整備」「その担い手の育成」が挙げられていますが、なぜ、森林を整備したり、林業従事者を増やしたりすると、木材の供給が増えていくのか考えねばならないからです。
先の設問(2)をヒントにするならば、諸々のコストが高いから国際競争力を失ったわけです。
であれば、コストの低減化を図れたなら、国産材の需要も高まるでしょうし、人手が増えたなら伐採量も増やせますから供給量も増やせます。
このあたりを端的にまとめれば良いでしょう。
解答例
伐採を行う人材確保や高性能林業機械の導入等を通じ建築用木材の供給を安定化し、公共施設の国産材利用を推進し需要創出を図る。(60文字)
林業従事者や路網整備を進めて伐採や搬出にかかるコストを下げ木材供給量を増やし、公共建築物の木質化を促し木材需要を高める。(60文字)
国産材の魅力を発信して建築物の木造化を促し、路網整備や大型機械の導入で伐採や搬出の労働生産性を高め木材供給量を増やす。(59文字)
森林整備で伐採や搬出に係るコストを下げ労働生産性を高めることで、国産材の価格競争力は高まり建築材の需要も供給量も高まる。(60文字)
なお、木材関連では、東南アジア諸国の丸太輸出規制の論点も併せて教科書や資料集で整理するようにしましょう。
ご参考まで、過去問を1題ご案内したいと思います。

編集後記
昨今の世界情勢もあって、農林水産業やエネルギー資源における自給率の向上や、半導体など基幹産業の国内回帰が経済安全保障の見地から重視されるようになってきています。
本問の主題である林業に関しても同様です。
林業に絡めては、森林の果たす様々な機能、少子高齢化問題、ICTを用いたスマート林業、人材育成。
大型機械の導入、施業集約化、所有者不明林の管理、グリーンインフラ(今年度の3B)、里山の荒廃による獣害の拡大など、様々な論点と結びついています。
それゆえに、単に赤本や青本の解答例だけ覚えて終わりという学習では、別の切り口から林業関連の問題が問われた時に対処できなくなってしまいます。
映像授業などでも申し上げている通り、1年分の過去問からエッセンスを搾り出せが、10年分を解いたのと同じ学習効果を得られるのです。
過去問との向き合い方、そして過去問の活かし方を敬天塾の解説記事や教材も活用して各自で考えるようにしてください。
【さらに深く学びたい方のために】
敬天塾では、さらに深く学びたい方、本格的に東大対策をしたい方のために、映像授業や、補足資料などをご購入いただけます。
上記の地理の記事は敬天塾の塾長とおかべぇ先生が執筆しています。
おかべえ先生は、東大地理で60点中59点を取得した先生です!
どなたでも受講可能な、おかべぇ先生の授業はこちら ↓
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