2005年 東大国語 理科第3問(漢文)『嘉祐集(かゆうしゅう)』解答(答案例)

はじめに

難易度「やや難」。
句形は仮定の二重否定(ずんばあらず等)や使役、反語が頻出して読みづらいです。

また、「対比」分析の大切さを痛感させてくれる文章です。
ぜひ、しっかり分析しましょう。

答案例とプチアドバイス

(一)(傍線部a) とあるが、どういうことか、二つの「其」がそれぞれ何を指すかわかるように、説明せよ。【2行】

答案例:聖人は臣下がびくびくと恐れおもねって、君主である自分に一日でも自身の過失を諫める言葉を聞くことができない状態にさせることを恐れていた。

プチアドバイス:省略が多い文です。主語や目的語を確認してから、訳しましょう。
また、説明問題とはいえ、使役の対象を真逆(つまり君主ではなく臣下に)すると、句形の理解が不十分だと見なされるリスクjがあります。

 

(二)(傍線部b)を、平易な現代語に訳せ。【1.5行】

答案例:『書経』に「臣下が君主の過ちを諫言しなければ、その罰は入れ墨である。」とあるのは、まさにこれである。

プチアドバイス:「主君の過ちを正さない臣下」と書いてしまった方は、語順の学習をしましょう。
それでは不正臣下の訳になっています。

 

(三)本文中の空欄・空欄に入る最も適当な一字を、それぞれ文中から抜き出せ。

解答A賞 B刑

プチアドバイス:対を丁寧に分析するとわかります。
なお、直後の文で諫めることを肯定しているのを見て、Aを諫にし、「就く」という語から何かの役職だと考えて君や臣にした受験生が多いです。

しかし、諫めても(それで出世して)君主に就任できる時代ではありません。
また、諫めて、臣下になるのも順番が違いますね。
通常、臣下になった後に諫めます。

 

(四)(傍線部c)を、平易な現代語に訳せ。【2行】

答案例:性格が忠義で褒賞を喜ばず、刑罰を恐れない人でない限り、諫言によって死刑になることを望む者がいるだろうか、いや、いない。

プチアドバイス:「罪ヲ畏レざル」は連体形で、「こと・もの」などが省略されている準体言です。
「こと」を補う受験生もいますが、次の行にある「性忠義」という同一表現に注目しましょう!
こちらは「者」と付いていますね。
よって、ここで補足すべき省略も「者」です。

 

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