2025年東大文系数学(第4問)入試問題の解答(答案例)・解説

2025年 東京大学数学 文系第4問

解くまでの手順は簡単だが・・・

問題を見た瞬間に解き方が分かる問題です。
領域を図示して、面積を求めて、最大値を求める。その際、aの値によって場合分けが生じるだろう。
ほとんどの人がこのくらいのことは読めてしまうでしょう。

しかし、そんな基本パターンの問題にも、東大らしい「仕掛け」が用意されています。簡単なのに解けないという絶妙な難易度の問題です。

各グラフの概形を確認

まずは固定されたグラフから描く

では解いていきましょう。
与えられたグラフが3つありますが、1つは文字定数aを含まない関数(fとします)で、真ん中がaを含み絶対値も含む関数(gとします)、下のものはxの範囲(この場合、定義域と考えてもよいでしょう)です。

真ん中のグラフgがaによって場所が変わるものなので、グラフを描くのを後回しにして、先に他の2つを図示しましょう。
すると、ー1から1の範囲で、上に凸のグラフが描けますね。領域としては、y≦f(x)なので、下側になります。このグラフに、真ん中のgを合わせていくように考えます。

動くグラフの動き方を把握

次に動くグラフgの動き方を把握しましょう。

gのグラフは、y軸対象で下に凸の放物線に絶対値がついたものです。今回のように関数全体に絶対値が付いている場合は、y軸より下の部分を折り返せばよいというのは有名ですね。
この法則に従ってグラフを描いてみましょう。

頂点が(0,a)ですからa≧0のときには、放物線がy軸より完全に上にあります。ということはy軸より下の部分がないため折り返す必要はありません。よって絶対値をそのまま外しても大丈夫ですね。(a≧0なので、絶対値の中身が常に0以上だから、外せるのは当然です)
ということで、放物線を素直に書いて終わりですね。ということで、y≧g(x)のグラフはこんな感じです。

次に、a<0の場合です。
この場合、絶対値の中身の放物線の頂点が、y軸より下になってしまいます。ということは、そのy軸より下の部分を折り返さなければなりません。
よって、このようなグラフになります。

場合分けをして、全種類の領域を図示してみよう

aを段々小さくしてみよう

では、3つのグラフ(領域)を重ね合わせてみましょう。
ここからが複雑なところです。余談ですが、受験生や合格者に聞いたところでは、この重ね合わせる作業がややこしくて挫折したという声が多いように思います。

さて、ややこしい時はどうするか。
面倒さを許容して、丁寧に作業するしかありません。「こんなに面倒なはずはない」とか「こんな面倒なの、私にはできない」と思わず、我慢してやるしかありません。

まず、考えやすいように、aの値が大きいところから考えてみましょう。
a=2では、fの頂点とgの頂点が一致してしまい、領域がなくなってしまいます。厳密には点(0,2)のみが領域内の点なのですが、面積としては0です。

次に、aを少しだけ小さくして、gのグラフをy軸負の方向に移動させましょう。
すると、こんな感じ。上の方に面積が見えるようになりました。

このままaを小さくしていくと、fとgの交点が、ー1≦x≦1の範囲からはみ出してしまいます。
そこで、fとgの交点の座標を求めると、a=1/2と分かります。

よって、場合分けの分岐点がa=1/2と分かりました。
ということで、先ほどのこの場合は、

1/2<a<2の場合だったと分かりました。

また、a=1/2の場合の図は、下のように、fとgの交点がx=ー1とx=1ピッタリになる場合であり、

a<1/2の場合は、下のようにfとgの交点がはみ出てしまう図になることが分かります。

さらにaを小さくしてみる

さらにaを小さくしてみましょう。すると、今度はgのグラフの頂点がy軸より下の方まで移動してしまいます。
先ほど考えたように、頂点がy軸より下になってしまうと、gのグラフは放物線を折り返さないといけません。よって、a=0が場合分けの分岐点であることが分かります。
(というか、gのグラフを描いている段階で分かっていたことでもあります。)

ということで、先ほどのこの図

は、0<a<1/2の場合だったことが判明します。

そして、a=0の場合の図はこちらで

a<0までaを小さくすると、このような図になります。

最後の場合分け

さらにaを小さくしてみましょう。
aを小さくすると、gの放物線がさらに下に下がります。すると、gとx軸の交点がx=ー1とx=1より外側まではみ出てしまうことが分かります。

そこで、gとx軸の交点がx=±1を通る場合のaを調べると、a=ー1であることが分かります。

よって、先ほどa<0の場合だと調べた下図は、ー1<a<0の図であったことが判明し、

a=ー1の図は下のようになり

a<ー1の場合の図は下のようになることが分かりました。

さて、このままaを小さくしていき、a=ー2まで小さくしてみます。すると場合分けの必要がない変形しか起こらないと分かります。
(領域の上部はつぶれてしまいますが)

 

ということで、これですべての場合分けが終わりました。
このような丁寧な作業をしないといけません。ややこしいし面倒ではありますが、丁寧に作業をおこないましょう。
このような作業に慣れていない人は、必ず自分でやってみて、慣れておいてくださいね。

面積の増減を調べよう

ここまででも大変でしたが、やったこととしては、領域を図示しただけです。
求めるのは面積の最大値。ということでここから面積に注目していくことになります。

普通なら、面積を求めてグラフを描くが・・・

さて、面積の最大値を求めるにあたって、普通なら書く場合について面積を実際に計算して、グラフを描いて、最大値を求めることになります。
たくさん場合分けしたものを、列挙すると

1、a=2
2、1/2<a<2
3、a=1/2
4、0<a<1/2
5、a=0
6、ー1<a<0
7、a=ー1
8、ー2<a<ー1
9、a=ー2

と、9通りもありました。
但し、このうち、a=0とか、a=2などの等号の場合は、左右どちらかの場合に含めてしまえば場合分けしなくても良いので、
実際は9通りのうち、4通りだけで良いことになります。いや、4通りもしなければなりません。しかも全部積分計算だし、特にー1<a<0の場合なんかは、インテグラル自体も場合分けしないといけません。

これは面倒くさすぎるということで、ちょっと珍しい工夫をします。

図示しながら、面積の増減を示す

ということで、本問の最大のポイントを解説していきましょう。
本問は場合分けと面積計算が面倒すぎるので、手間を省くために「面積の増減を図から示す」という解法を採る解法を採ります。(解説を描く際に、色々な塾や予備校さんの解答を参考にしましたが、多くがこの解法を使っていました)

どういうことかというと、例えば、ー2<a<ー1の場合と、a=ー1の場合を比べてみましょう。

aが大きくなるほど、gの放物線(を上下反転させた上に凸の部分)が下に下がります。すると、明らかに面積が増えます。ということは、ー2<a<ー1において面積は単調増加になり、a=ー1の場合の面積より必ず小さいことが分かりますので、ー2<a<ー1の場合は面積を計算する必要がありません。

同様に、a=0の場合と、0<a<1/2の場合を比べてみましょう。

このときは、aが大きくなるにつれて、gの放物線(反転していない)が上に移動していきます。すると、面積はあきらかに減っていくことが分かりますね。つまり0<a<1/2において面積は単調減少であることがわかるので、やはり面積を計算する必要がありません。

そして、動揺に1/2<a<2の場合も前後と比べて面積が単調減少であることが分かります。

このように、面積が明らかに単調増加したり単調減少したりする場合が3つ生じます。

このように、図を見ながら面積の増減を指摘する問題は、あまり他に例を見ないかもしれませんが、日本語を添えながらしっかり記述すれば十分論証できます。

面積計算は1通りだけでよくなる

ここまでの話を増減表にまとめると、非常にわかりやすいので、載せてみましょう。

これを見ると、結局ー1<a<0の場合に最大値を取るはずだと分かりますね。

では、ー1<a<0の場合の図を見てみると、aが大きくなるにつれて、面積が減る部分と増える部分が混在していて、
図を書くだけでは単調増加とも単調減少とも言い切れません。

こうなると仕方なく面積を計算するしかありません。
ということで、やっとインテグラルの計算をすることになります。あとは計算なので手書きの解説をご覧いただきたいと思います。

ちなみに、図だけで増減を論証せずに、計算したらどうなるかという点も手書きの解説に描いてありますので、よかったらご覧くださいませ。

手書きの解説

2025(4)文数 解説

オマケ:図で論証する問題

さて、この問題では、普通なら計算して示すものを、図で示すところがポイントでした。
ここで思い出したのが、2020年の第3問の(1)です。

この問題は半直線の通過領域を求める問題なのですが、普通は通過領域の解法として順像法や逆像法を用いて式で処理するところ、図形的に処理するのが最適解となる問題でした。
「式で処理すると煩雑になるから図形で処理する」という部分がそっくりです。

式で計算をしていればよいと考えてしまいがちな方は、図形的なアプローチ「も」行うようにしてみてください。

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