全集中「合格の呼吸」拾ノ型~画竜点睛~
むかしむかし、そのむかし。ある僧侶が大きな龍の絵を描いていたとさ。だが、目玉にだけは筆を入れなかったという。人々は問うた。なぜ、目玉を描かないのかと。僧侶は答えた。目玉を入れた瞬間に、命が宿り、この龍は飛び立つからだと。皆は笑ったが、その言葉の通り、目玉を描いた瞬間に、紙から巨大な龍が飛び出して、天に戻ったとさ。
これが、画竜点睛という故事の由来である。そこから、物事を完成させるのに最も重要な最後の仕上げを指し示すこととなった。
さて、いま、皆さんは点睛すべき時に生きている。正に、壮大なフィナーレを飾ろうとしているのである。祝うべき瞬間なのである。
だが、この最も貴重な時期に「早く入試が来て欲しい」「何をやったら良いかわからない」「志望校を下げようかな」などと愚言を弄する者がいる。