2023年東大英語(第2問A 自由英作文)入試問題の解答(答案例)・解説

第2問B 自由英作文

(編集部注)難易度の評価など、当日解いた所感はこちらをご覧ください。

今から30年後,移動(例えば、通勤や通学, 旅行)の手段はどうなっていると考えるか,理由を添えて,60〜80語の英語で述べよ。

(東京大学2023年)

総括

2023年度の東大英語2A自由英作文では、今から30年後の移動手段の変化について問われた。

高校入試でも出されるようなシンプルな出題であり、書くこと自体に迷う受験生は少なかったと思われるが、スピーディーにアイディアが思い浮かぶことと、確実に点数が取れることは同義ではない

小難しい表現を用いて語法やスペルのミスを犯したり、素晴らしい論理構成を考えようとするあまり他の大問に時間を回せなかったり、あれもこれも書きたいと欲するあまり問いに「正確に」答えることを忘れたりと、解きやすい問題が出されたからと言って必ずしも良いこと尽くしではない。
TOEFLのライティングや秋田国際教養大学の自由英作文入試のように300words以上の英文を書くわけでもなし、あくまで60〜80語で端的にお題に答えて点数を確実に奪取することが勝者の戦略である。

今年度の東大英語105点取得者の話では、東大英作文は単なる文法問題だと考えているとのこと。

つまり、凝った内容を書く創作コンクールではなく、あくまで、文法ミスのないようシンプルかつ無難に問いに答えさえすれば良いという思考である。
また、111点合格者の方が言うには、自分なりの論証ブロック(あるお題に対して、自分がベストだと考える英語答案を事前に作りテンプレ化したもの)を数十本以上作成した上で、入試ではそれらのストックから使えそうなものを援用するだけとのこと。

もちろん、人それぞれに合うやり方はあるので、結局は個々人で模索しなければいけないところではあるが、共通して言えることは、小難しい表現や複雑な論理構成を用いていないということである。
書きたいことより、確実に点数が取れることを書く「妥協」も、東大2A自由英作文では求められる。

その他、英作文において注意すべき点については、「英作文7つの大罪」と題する記事でも述べているところなので、併せてご参照願いたい。

(参照)英作文における七つの大罪

受験生の答案骨格比較(5名を比較)

実際に、受験生が試験会場でどのような答案構成を考えたのか示したい。

(Aさん)

ガソリン車に代わって、電気自動車が普及することだろう。地球温暖化を食い止めるためにも、二酸化炭素排出を規制する動きが今後ますます加速し、人々の環境意識も高まると考えられるから。

→ 東大2008年2Bと2003年2Aをコラボさせたようである。
お題にも答えられており、サクッと英訳できる内容なので、時間節約にも繋がったことだろう。

 

(Bさん)

人々は電気自動車を使って、通勤・通学することになる。電気自動車のメリットは、二酸化炭素を排出しないことである。デメリットもあるが、電気自動車は移動が楽で、私は皆さんにとてもオススメできる。

→最後の1文に何の意味があるのか不明瞭。
お題に答えていないし、字数と時間の無駄。

 

(Cさん)

二酸化炭素による地球温暖化や大気汚染が深刻化している昨今、人々の環境意識は高まっている。この問題を解決しなければ人類は滅んでしまうだろう。

→交通手段の変化については何も書かれていない。よって、如何に高尚なことを書こうとも点数はもらえない。

 

(Dさん)

現在と何も変化はないだろう。30年程度では、自動車や電車や飛行機といったよく使われる交通手段が劇的に変化するとは考えられない。排気の少ないエンジンの開発や、CO2排出の少ない燃料などが普及することはあっても、交通手段そのものは今と変わらない。

→面白い切り口です。お題にもきちんと答えらえていると思います。ただ、同義反復が多いような気はします。

 

(Eさん)

自転車通勤や自転車通学が増えると思います。地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出せず、満員電車でギュウギュウになることもなく、健康にも資する自転車が多くの世代に愛用されることでしょう。コロナ禍をキッカケに、自転車レーンの整備が世界中で進んでおり、日本でもきっと自転車通勤・通学がメジャーなものになると思います。

→お題にきちんと答えられていますね!「自転車レーン」といった英訳しづらい言葉があるのが気になるところですが、答案骨格は良いと思います。

 

いかがでしたか。
簡単なお題に思えて、意外にトンチンカンなことを書いてしまう受験生が多くいました。

どの教科でもそうですが、難問では差がつきません。
簡単に思える問題の時ほど、得点差が大きくなります。
取れる問題を確実に取りに行くことが東大合格の必須条件だということを強くお伝えしたいと思います。

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