2026年(令和8年)東大文系数学を当日解いたので、所感を書いてみた。〔難易度・講評・プチ解説など〕
平井基之(敬天塾塾長)東京大学理一・文三合格。大手予備校で東大受験専門コースを担当し、集団・個別指導の豊富な現場経験を持つ。
地方出身で情報不足に困った経験から、情報格差の是正のために多くの東大受験に関する情報を無料で発信している。
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敬天塾の塾長と講師が東京大学の二次試験当日(2025年の2月25日・26日)に入試問題を解いて、速報で所感を記した記事です。他の科目については、こちらにございます。※当日の所感なので、今後の研究によって難易度などを変更する可能性もございます。
【科目全体の所感】
総合難易度
客観的な難易度判定 標準~やや難
トピック① あまり出ない分野がなかった。
2023年から3年連続で「復刻版」みたいな問題が出ていました。2023年の立体の切断、2024年の対数関数、2025年の平面図形や確率漸化式がそうです。これらは長年東大入試では出ていないのに出題された分野です。一方今年はそういう珍しい問題がなく、全て良く見る単元からの出題でした。
トピック② 関数が3問も!
そして、関数が3問も出題されました。関数は2問のことが多いのですが、今年は多かったですね。しかも変な出題ではなく、分かりやすい出題でした。
トピック③ 整数、統計的な推測、期待値などが出なかった。
今年も整数の問題が出ませんでした。新課程になり「整数」という単元がなくなっていますが、その影響でしょうか。統計的な推測など出たら怖いのも出ませんでした。シンプルな構成で受験生も先生も一安心。
文系第1問 放物線と面積
難易度 標準
よく見るタイプの問題かと思いきや、処理が面倒な問題でした。
全体の構造としてはシンプル。
まず問題の設定から作れる式を全て作りましょう。
①2次関数を例えば平方完成して、頂点のx座標=ー3、頂点のy座標=1の2本の等式が得ます。実は平方完成ではなくて別の方が良いけど、とにかく式が2本分出るのが大事
②次に、y切片がー2以上0以下ということから、kとαとβが含まれる不等式が1本得られる。
③最後に、面積を計算すると、kとαとβが含まれた値が得られます。
さて、等式が2本得られているので、うまく使えば、面積の値について、1文字まで減らせます。ここでkとαとβのどれを残すかは、人それぞれ、式によって変わります。例えばαを残したとしましょう。
そして、②の不等式も①を使ってαを残すと、αの範囲が得られます。
他にも、問題の設定から、k>0とかα<βがあるので、αの範囲で満たすかどうかチェックして、αの正式な定義域とする。
そうしたら、面積についてとりうる値を求める、という流れです。まあシンプルな流れ。割と典型的かなと思います。
※計算しなおしてみたら、kが良さそうかも。
ただ、計算の仕方によってはkとαとβの積とか出てくるので、計算の処理で詰まる人が続出するでしょうね。そうなると完答は結構厳しいと思います。頂点の条件を平方完成で求めない方が良いのですが、これに気づくか?
(編集部より)以下のリンク先にある解説記事もご参照ください。
文系第2問 格子点で三角形を作る確率
難易度 (1)やや易 (2)標準
東大で出される「場合の数・確率」の問題にしてはシンプルで簡単めな印象の問題です。
まず、3点を選んで三角形ができる条件ですが、これは暗記レベルで重要。何度も出ていますので、東大受験生なら必ず覚えておいてください。
「どの点も重ならないで、3点が一直線上に並ばない」です。覚えていない人は、今この画面を見ながら3回声に出して読んでおきましょう。
今回は、場合の数・確率の問題なので、点を選ぶときに(Pではなく)Cを選んでおけば、点が重なることはないので安心。
ということで、同一直線上に並ばない条件を考えていくことになります。
(1)は3×5の格子点を書いて、同一直線になる場合を考察していきます。タテヨコナナメに並べてみて数えてみてください。
(2)は横3×縦2mということで、縦が偶数になります。数えるのが多少面倒になりますが、やることは同じです。
(編集部より)以下のリンク先にある解説記事もご参照ください。
文系第3問 ギザギザのグラフと放物線の共有点
難易度 (1)やや易(2)標準
不等式の証明と共有点の個数ということで、よく見るタイプではありますが、g(x)が変わっています。
書いてみるとわかりますが、g(x)の関数は、y座標0と1の間をギザギザ動く関数です。(sinとかcosみたいに、ギザギザしながら横に無限に伸びていく)
これと放物線の共有点を考えるのですが、この放物線の係数に関しても変な感じ。文字定数aが分母と分子に登場していて計算をややこしくしています。
(1)はf>gを証明するので、f-g=hなどとおいて、hの最小値を求める、という流れなんですが、軸の場所(もしくはh’=0)を丁寧に探さないと混乱するかもしれません。
hはx>5の場所に軸があるので、最小値はx=5のときなんですが、今自分が何をやっているのかちゃんと把握してないと、自分を見失いそうです。
(2)は共有点なんですが、まずはfとgの概形を同じ座標上に書いてみましょう。もちろんf(1)とかf(2)とか計算しながら。
するとx=1のときf<gとなり、x=4のとき(1)で証明したとおりf>gとなります。ここから、0と1の間で1個、1と2の間で1個の共有点を取ることが分かります。
本題は2~4の間なんですが、軽く計算してみたところaの値によって共有点の個数が変わりそうですね(間違ってたらすみません)。仕方なく場合分けをして求めることになります。結構面倒くさいので、受験生はあまりココまで計算してないかもです。
(編集部より)以下のリンク先にある解説記事もご参照ください。
文系第4問 領域図示
難易度 (1)易 (2)やや難 (3)やや難
(1)はただの加法定理なので簡単。まさかtanの加法定理を忘れていた人はいませんよね。
(2)は角度の設定が難しい。例えば、Oの接線の傾きがx軸から測ってΘの角になっているとしましょう。このとき、PとQの傾きはいくつになるのでしょう。
Θ+π/3と、Θーπ/3で良いのか。Θ+2π/3は考えなくても良いのか。また、傾きを基準をOではなくPにしたときは考えなくても良いのか。など考えていると色々なパターンが整理できなくて困ってしまうでしょう。
恐らく、Θ+2π/3とΘーπ/3が同じ傾きになることに気づけば、結局ΘとΘ+π/3とΘーπ/3の3つで計算すれば良いことになると思うんですが(間違ってたらすみません)、なかなか気づかないだろうなと思います。また、それに気づいたとて、「PとQが存在するkの範囲」という解釈と文字の設定など、慌てていると混乱してしまいそうです。シンプルな設定ですが、受験生が苦手なところがたくさんちりばめられている問題だと思いました。
(3)もややこしいです。
まず、さっきの3本の接線で作られる三角形の面積、という時点で結構苦労すると思います。
今回、正三角形しかできないと思うのですが、面積を求めるとなると、どこかの辺の長さが必要です。しかし座標上で長さを求めるには三平方が必要で、しかも3次関数の接線もでてくるため計算量が増えてしまうなぁ。ということでもう少し工夫すると、今回は面積の最小値と最大値が4倍の関係になるkを求めれば良いだけだということに気づき(つまり面積そのものを求める必要はない)、正三角形は全部相似だから、面積4倍ということは辺の長さ2倍になれば良いじゃん、となって計算の工夫をする問題だと思ったら、これも上手くいかず。ちょっとまだ最後まで解けてないのですが、何か工夫の仕方を思いついていないのか、どこかで強引に進むところを進んでないのか。計算終わったら更新します。
受験生にはこのあたりの冷静な判断が難しかったのかなと思います。
(編集部より)以下のリンク先にある解説記事もご参照ください。
【個人的なつぶやき】
今年は、スタンダードな問題が多そうで、解いてみると苦労するというのが多かったですね。10年前くらいは、見た瞬間に解けることが確信できる問題が出ていたものですが、
最近はそうはいかないです。やってみると苦労するし、計算が面倒なところが仕込まれているし。東大文系数学の難易度はどんどん上がっている気がします。
受験生にとっては、第1問とか第2問(1)、第4問(1)など必ず取らなければならない簡単な問題が仕込まれているため、10点とか取ってしまうと挽回が聞きません。一方、第3~4問は後半が高得点が取れません。そういう意味では、数学が得意な人にも厳しいですよね。苦手にも得意にも厳しいということで、ちゃんと数学以外でも点数を取らないといけないという意味で、良問だと思います。
最後に
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