東大文系で頻出の通過領域の解法パターンをすべて紹介した決定版(逆像法・順像法・包絡線・線形計画法など)

通過領域は難しい!

東京大学の文系数学で2014年以降(2016年以外)毎年出題されていた通過領域の問題。
※2022~2024年は出題されませんでしたが、今後復活する可能性は十分にありますので、やはり通過領域は対策することをオススメします。

通過領域の基本パターンを理解することでさえ道のりは険しく、様々なハードルを越えなければなりません。

そこで通過領域の問題に関して、まずはどのような解き方があるかどのように解法が分岐するかをわかりやすくまとめた記事を作成しようと思います。

図形による場合分け(点・直線・それ以外)

まずは、どの図形が通過するかという話題です。
「点が通過する領域を図示せよ」
「直線が通過する領域を図示せよ」
「放物線が通過する領域を図示せよ」

などの問われ方があり、それぞれ若干解法が変わります。
では、一つずつ見ていきましょう。

点の通過領域(パターン①)

まず、点の通過領域ですが、これは通常は通過領域の問題として扱われません。
なぜならば、普通の領域図示の問題と同じに帰着してしまうからです。

例えば、この問題をご覧ください。

条件を満たす不等式を作ったあと、ただ領域図示しているだけです。
このように、点の通過領域は領域図示をするだけです。

点の通過領域(パターン②)

点の通過領域に関しては、このようなパターンもあります。ベクトルです。


ベクトルの範囲には、上記のような点の存在範囲の問題パターンがあります。これも合わせて把握しておくとよいでしょう。
なお、このベクトルの存在範囲に関する問題は、東大文系において近年3問出題されています。

2017年第2問
2018年第4問
2019年第4問

合わせて、問題の解法を見ておくとよいでしょう。

直線の通過領域(通過領域の基本解法3パターン)

次は直線の通過領域です。
普通「通過領域の問題」と言ったら、直線の通過領域がほとんど、というくらいメインイシュー。

さて、直線の通過領域に関しては、基本的な解法が3パターンあります。

①逆像法=逆手流=実数解を持つ条件(解の配置)
②順像法=ファクシミリ論法
③包絡線の利用

ただし、2020年第3問のように、上述の3つの解法よりも図形的に処理する方が良い問題も出題されたので、
④図形的に考察

と、4つの選択肢があると捉えてもよいかもしれません。

さて、①~③の解法については、このHPでいろんなところで書き散らしているので、よく探すといろいろ見つかるかもしれませんが、
ここで簡単にまとめてみます。

このように、3つの解法により、手順がちょっとずつ違うため、練習問題を解きながら解法の習得に図ってください。

注意
包絡線は、パラメータが2次式になる場合しか、原則使えません。

半直線や線分の通過領域について

2014年第3問では、線分の通過領域が出題されました。
2020年第3問では、半直線の通過領域が出題されました。

このように、直線ではなく、線分や半直線が出題された場合は、特に逆像法の解法が非常に面倒になります。

そこでどうして対処するかというと、
「まずは(線分や半直線ではなく)直線の通過領域を求めてしまい、後で線分や半直線が通過するはずの領域に限定する」

というやり方をすると、求めやすいです。

こうすると計算量が抑えられ、求める領域も明確になり、時間内に合格点が望めるくらいの解法にバージョンアップします。

それ以外の図形の通過領域

点と直線以外の図形に対して、通過領域を求める場合、先ほどの3つの基本解法

①逆像法=逆手流=実数解を持つ条件(解の配置)
②順像法=ファクシミリ論法
③包絡線の利用

のうち、包絡線の利用ができなくなります。
※厳密にいうと、計算自体はできる場合もありますが、最後に通過する領域を求めようとするときに、図形がうまく動かせなくなり、領域が求まらない、などが発生します。

つまり、

①逆像法=逆手流=実数解を持つ条件(解の配置)
②順像法=ファクシミリ論法

の2つを駆使して解いてください。

パラメータの次数による解法の変化

次に、パラメータの次数によって、解法がどのように変化するかを見ていきましょう。

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