2018年東大文系数学(第4問)入試問題の解答(答案例)・解説(ベクトル、領域図示、面積)

2018年 東大文系数学 第4問の解説(ベクトル、領域図示、面積)

  何度も書いてますが、2018年は領域図示ばっかりでした。本当に珍しい。そして当然、それぞれ3問が同じ方法で図示出来ない問題です。

領域図示と言えば、図形と方程式や軌跡と領域の範囲を思い浮かべますが、ベクトルにも登場します。
つまり、関数以外に、ベクトルを利用した通過領域があるということ。
それが、この問題です。しかも平行移動や軌跡も絡む応用問題です。理解出来れば簡単な問題ですが、手持ちの参考書や問題集で、このような応用的な類題を探すのは難しいかもしれません。 とにもかくにも、詳しい解説に行って見ましょう。

解かずに分析

では、恒例の解かずに分析コーナー。
(1)をよく見て下さい。

ベクトルが色々出てきますが、最も大切なのは最後です。
結局は軌跡を求める問題なのです。

先生によって色々な教え方があるでしょうが、私は普段、軌跡の問題には3パターンあると教えています。 今回は、点Pが動くことによって、求める軌跡の点Qが動いていくパターンなので、問題集で言うとこのパターンと同じです。

私はこのパターンを「連動型」と呼んでいますが、こいつを応用すると(1)が解けます。

ただ、少し難易度をアップさせている要因が「ベクトル表記している」という点。
上の例題では「1:2に内分する点P」と表記されていますが、東大入試の方ではベクトルで表記されています。
ただ、皆さん思い出してもらえればわかると思いますが、ベクトルでも内分公式ってやりましたよね。そう、つまり「内分」という数学の出来事を、図形と方程式で習った技術で表記するか、ベクトルで表記するかの違いしかありません。

と書かれたものが、OP:OQ=1:2と書かれていたらどうでしょう。途端に簡単に見えると思います。
要するに、見掛け倒しで難しくしていただけで、問われていることは教科書の例題レベルのことだったと思ってください。

ちなみに、「連動型」の軌跡では、元の動点と、求める軌跡が相似な図形になります。
今回は、点Pが放物線を動きますから、点Qも放物線を動きます。 ということで、早速手書きの解答を出してしまいましょう。 主に、左の真ん中までをご覧ください。

2018(4)文数 解説

(2)図形ごと平行移動

では(2)ですが、(1)と違うのはベクトルORが存在することです。

その点Rの定義を確認してみると、原点と点A(1,0)の間のだとのこと。ということは、ベクトルORを足すというのは、x軸方向に0~1平行移動させるということです。

さて、この問題の特徴は、RとSが独立して動くというところにあります。
ベクトルの領域図示の問題は問題集などでありふれていますが、
①係数に縛りがあるパターン
②係数が自由にバラバラに動けるパターン

の2種類があることは認識しているでしょうか。

まずは、係数同士に関係式が成り立っているパターン

上の問題では、sとtに関して、0≦s+t≦1という関係式がありますね。
このように、sとtがバラバラに動けず、お互いがお互いの動ける範囲を絞っているような問題をよく解くと思います。

一方で、sとtがバラバラに動けるパターンも存在します。

この問題は、0≦s≦1 と 0≦t≦1という2つの不等式はありますが、sとtが同時に含まれているわけではありません。
このように、sとtが完全にバラバラに動ける問題は、問題集で見かける頻度が低いはずです。

では、どうやって解くかというと、解説部分に書いてあるとおり、「図形を図形ごと動かす」ように通過領域を求めます。

今回扱っている東大入試では、(1)の結果が放物線でした。
そして、点Pと点Rは、それぞれ独立に(お互いに影響せずに)動きますから、放物線ごと平行移動させるという問題パターンに該当することになります。ということで、手書きの解答の残りの部分のようになります。

2018(4)文数 解説

面積計算

最後に面積計算が残りますが、東大では面積計算を少し工夫して求めることが多いような気がします。

特に頻出は「対称性」 どこかで線を引くと、左右や上下で同じ図形が登場することが多く、今回も、x=1/2で左右対称になります。
絶対に気付かなきゃいけないポイントではないですが、気付いたら得点率が上がりますから、積極的に取り入れたいところです。

また、積分計算はそこそこ面倒なことが多い気がします。 果たして残りの時間を費やしてまで、積分計算に取り組むかどうかは難しいところ。他にコスパが良い問題があれば、積分計算は飛ばすのも良いでしょう。

2年連続でベクトルと領域の問題が出た

さて、ベクトルと領域の問題は、2年連続でした。

東大では、同じテーマの問題が連続して出ることはよくあるのですが、毎回違うような解法を使わされます。
つまり、去年の過去問対策は大切なんですが、全く同じ解法は通用しないので、周辺の解法まで勉強しておくことが大切です。ベクトルの問題は幅広く復習しておきましょう。

敬天塾作成の解説

2018(4)文数 解説

こちらのpdfファイルは無料でダウンロードいただけます。
受験生の学習はもちろん、先生方の授業にお役に立てるのであれば、どうぞご自由にお使いください。
断りなしに授業時にコピペして生徒に配布するなども許可していますが、その際「敬天塾の答案である」ということを必ず明記していただくようお願いします。
ただし、無断で転売することは禁止しております。何卒ご了承ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)