2025年(令和7年)東大文系数学を当日解いたので、所感を書いてみた。

 
敬天塾の塾長と講師が東京大学の二次試験当日(2025年の2月25日・26日)に入試問題を解いて、速報で所感を記した記事です。他の科目については、上記のリンクにございます。
 
※当日の所感なので、今後の研究によって難易度などを変更する可能性もございます。

【科目全体の所感】

総合難易度 
客観的な難易度判定 標準~やや難
受験生の心理的な難易度判定 やや難~難

トピック① 相加相乗が通用しない!

これまで「分数関数の最大最小(や値域)が出たら相加相乗を使え!」が通用していましたが、ついに通用しない問題が出ました。
第1問の後半、相加相乗で処理したくなる問題が出るのですが、丁寧に等号成立条件を求めようとするとaが実数範囲で見つからなくなってしまいます。=kか何かでおいて逆像法に持ち込むのですが、解法を知っていたとしても切り替えて求められた人は少なかったでしょうね。

トピック② 確率漸化式が復活した!

10年振りくらいに確率漸化式が出ました。確率漸化式とは今生の別れかと思っていたら、まさかの復活。
難易度もやや高めでした。ただし、過去問で丁寧に解法を研究していると、バッチリその中に納まっています。やはり過去問が大事だし、基礎が大事ですね。

トピック③ 図形の問題が出た!
第2問は、三角形と円の問題。東大文系では図形がメインテーマになる問題はあまり出ません。ちょっとした新傾向の問題でした。ここ何年も、あまり出ないテーマから出題があるので、今後も気を付けましょう。

トピック④ 整数、統計的な推測、期待値などが出なかった。
今年も整数の問題が出ませんでした。新課程になり「整数」という単元がなくなっていますが、その影響でしょうか。統計的な推測など出たら怖いのも出ませんでした。

文系第1問 放物線と法線

2025文数 問題 入力_page-0001

難易度 (1)やや易、(2)やや難

(1)は法線を求めて、放物線と連立するだけ。簡単です。
(2)は、(1)と同じ作業をもう一回するだけなので、さっきのaの部分に(1)の答えを代入すると求められます。その方法が思いつかないとしたら、(1)の答えをbかなにかでおいて、もう一度同じことをしてください。

後半はRのx座標の最小値を求めるんですが、なんと相加相乗が使える形が登場!
ぐへへ、これで終わりだぜ、と思ってやってみると、等号成立条件としてaが実数として見つかりません。困ったなぁということで、方針転換して逆像法に持ち込めれば良いのですが、
そもそも等号成立条件を求めることを忘れて、罠に気づかない人も多かったでしょうね。その人はその人で、時間をロスしなくてよかったかもしれません。

相加相乗を使っちゃった人は、満点20点だ!と思っているかもしれません。しかし実際はNG。逆像法に切り替えられた人はほとんどいないでしょうから、合格者であっても平均10点くらいなんじゃないかと思います。

(編集部より)以下のリンク先にある解説記事もご参照ください。

2025年東大文系数学(第1問)入試問題の解答(答案例)・解説

 

文系第2問 三角形と領域

2025文数 問題 入力_page-0002

難易度 (1)易、(2)標準、(3)難

問題文の意味が分かれば(1)は簡単ですね。
(2)は鈍角になって、sやtを求めるときの条件が複雑化します。丁寧に考えれば突き止めることができるかもしれませんが、図形の考察に慣れていない人は厳しかったかもしれませんね。
(3)は一般化するので、なお苦労するでしょう。

東大文系では、この問題みたいに、平面図形がメインテーマになる問題はあまり登場しないので、新傾向と言えるかもしれませんね。

恐らくかなり多くの受験生が(1)を解いて5点分くらいもらって終わっているでしょう。

文系第3問 確率漸化式

2025文数 問題 入力_page-0003

難易度 (1)やや易、(2)標準、(3)標準

久しぶりの確率漸化式でした。
うちの塾は、過去問をメチャクチャ分析しているので、とうの昔に「確率漸化式の時代は終わった」ということで、あまり厚く扱わなくなったのですが、復活しちゃいましたね。
といっても、確率漸化式の基本的な解法や、有名パターンを紹介した上で、過去問は全部といて解説もしていますが(あまり厚く扱わないテーマでこれくらいはやってます)
来年からは、もっと厚くなることでしょう。

確率漸化式としては、やや難しめの問題。一番右の3個でオセロが発生するという問題ですね。
確率漸化式では、①何項間の漸化式を立てるのか(何項の漸化式の間で関係式が成立する構造をしているのか)、②状態がいくつ存在するのか、という2点を調べるのが最も大切です。
①はこの問題に関していうと、右から何個分までさかのぼって場合分けをすれば良いのか、ということです。最低2個は見なきゃいけませんが、3個や4個調べないといけない可能性もあるので、ここの考察が難しい。
続いて②は、①が決まらないと分からない。ということで、初手の考察に時間がかかる問題でした。

ここを突破すると、各状態について確率を自分でおいて、遷移図を作って・・・といつもの作業で解けるのですが。難しかったでしょうか。
恐らく、最後まで解けている人はほとんどいないでしょうね。

これも(1)だけ当たって、3点とか5点とかで終わっている人がかなり多いでしょうね。

文系第4問 確率

2025文数 問題 入力_page-0004

難易度 やや難

これまた珍しい問題。領域を書いて、面積の最大値を求める問題です。
似ている問題としては、2007年第1問ですね。これも領域描いて面積を求めるだけの問題でした。

今年の第4問は、真ん中のグラフに文字定数aが入っていて、aの範囲によってグラフが上下します。いや、上下しながら、絶対値によって折れ曲がります。これが複雑。
加えて、3つ目のxの定義域みたいな範囲があって、2つの放物線の端点が含まれるのか含まれないのかで場合分けが必要となり、なかなか大変です。

まあでも、場合分けを丁寧にして、グラフを丁寧に描いて、面積を丁寧に求めて・・・と、正確に地道に進めていけば、いつか答えにたどり着く問題でもあります。
5~10点程度がボリュームゾーンかなというところでしょう。

【個人的なつぶやき】

今年は、なんだか懐かしい雰囲気の問題が多かった気がします。
第1問の法線の問題は何度も見たことがあるような問題ですし、確率漸化式も領域図示も解いたことがある問題に近い。つまり「既視感」のある問題が多かったんです。
既視感がある問題が多いということは「あ!これは、こうして、ああして、こうやって変形すれば解けるな」と初見で分かってしまう問題ということなんですが、
流石東大、ヒネリが加わっていて一筋縄ではいかない問題でした。

今年も、東大の先生方の高い作問能力に脱帽した一日でした。

他の科目については、こちらのページにリンクがございます。

 

最後に

上記の記事は、敬天塾の塾長が執筆しています。
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映像授業コース(旧オープン授業)【東大文系数学】

 

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