全集中 「合格の呼吸」参ノ型〜 禁 言〜
「ペンは剣より強し」という諺がある。東大合格者数日本一の開成学園の校章ともなっていることは、有名である。
ペンが剣より強きものであるのなら、ペンは剣より深く相手を傷つけられることを意味する。
ペンが表す言葉は、刃物よりも鋭利になりえ、その傷の治療法は確立されていない。
剣が刺せるものは、手で触れることのできる部位だが、 言葉がえぐる場所は、触れることのできない心なのだ。
だから、言葉には魂が宿るほどの重さがあり、だから、言葉は慎重に使わねばならない。
厄介なことに、言の葉は無意識に発せられることが多い。それゆえに、相手のこころを傷つけていることにも気付きにくい。気付いた時には手遅れになっていることが、おうおうにしてある。
親や恋人など心を許した相手から投げかけられる言葉の暴力が深刻な傷を生み出すことはよく知られている。人を殴れば自分の拳にも痛みを感じるだろう。だが、口から軽々しく発せられた言葉は、相手にしか痛みを与えない。つまりは、自省する機会すら与えられないから厄介なのだ。
そして、その「刃」は、時として、己の心を無意識に蝕むことさえある。
たとえば、「苦手です」「部活で忙しい」「時間が足りない」「自分はバカだ、能力が足りないんだ」「ねむいな〜」「家だとやる気が出ない」・・と口にしたことはないだろうか。
こうした無意識に発せられた言葉が、知らず識らずのうちに積もり積もって、意欲や自己肯定感、さらには自尊心に毒牙を向けるのである。
それゆえ、志望校合格のために先ず為すべきは、負の言葉を駆逐することである。以下、代表的な禁言を十句ご紹介したい。まさしく十戒である。