2026年東大地理(第1問A)入試問題の解答(答案例)・解説

(編集部注1)難易度の評価など、当日解いた所感はこちらをご覧ください。

(編集部注2)実際の入試問題入手先
本解説記事を読むにあたって、事前に入試問題を入手なさることを推奨します。
※入試直後は新聞社のページから入手できます。
 しばらくすると、新聞社からは入手できず、東大HPからは入手できるようになります。

・産経新聞解答速報 https://www.sankei.com/article/20260226-7GXVJBPYIBC6TDSA7ZNXH27TQQ/?outputType=theme_nyushi
・東京大学HP https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/admissions/undergraduate/e01_04.html

はじめに

太平洋におけるサンゴ礁と海山にフォーカスをあてた問題です。

ここ最近の東大地理では、冒頭を飾る第1問Aで話題性のあるテーマをどどーーんと出題してくる傾向にあります。

2025年度であれば、高緯度地域における地球温暖化の影響(雪氷圏の縮小)、
2024年度であれば「世界の乳糖耐性」について考察させ、
2023年度には「人新世」なる見慣れぬ言葉を挙げて受験生を動揺させ、
2022年度においてはコロナ禍を意識してか「人獣共通感染症」なる何ともゴツイ専門用語を冒頭で投げかけてきました。

このように申し上げると、1Aだけマークすれば良いのかと思われるやもしれませんが、所感記事でも申し上げた通り、2026年度入試では、話題性のあるテーマが1A・1B・1C・3Bに登場しましたので、受験生は度肝を抜かれたことでしょう。

昨年度も、1Aに限らず、2Aや3Aでも見慣れない図や問題が多く出されましたが、今年度はそれ以上です。

とはいえ、見慣れない話題を出して受験生の冷静な思考を妨げようとする手口(笑)は、東大地理作問担当者の常ですから、見知らぬ概念がドドーンと冒頭で提示され面食らった時には、

  • これは、本文全体を通じてヒントを探しあてる現代文の問題なんだと思え!
  • 見たことがない問題が出されたらチャンスだと思え!必ず解けるようにできている!
  • 頭が真っ白になったら、一旦とばして、後から戻って考え直せ!

の3点を瞬時に実践できるように日頃からシミュレーションをしていきましょう。

処理量の多い東大地理においては、1つの問題に執着するあまり、時間を大幅にロスして、冷静さを失うことは絶対に避けなくてはなりません。

取れる問題を見極めるのではなく、捨てるべき問題を見極めることが合格の極意です。

同じことではないかと思われるかもしれませんが、試験会場では後者の視点をもって試験に臨んだ方が安心感を大いに得られる傾向にあります。
ぜひ、模試などでも実践なさってみてください。

なお、所感記事でも申し上げた通り、本問と類似したテーマが2017年1Aで問われています。
過去問探究をしっかり行ってきた受験生の方には既視感のあるサービス問題だったことでしょう。

2017年東大地理(第1問)入試問題の解答(答案例)・解説

さて、今年度の1Aを含む第1問は、海洋国家である日本にとって極めて視座に富む良問だと言えましょう。
学習効果が極めて高い問題ですので、解答例を丸覚えして終わりではなく、しっかりと周辺知識も身につけるようにしてください。

たとえば、本稿で取り上げる1Aは一見すると単なるサンゴ礁関連の問題ではありますが、実は深みのある問題でもあります。
2026年はじめに南鳥島沖のレアアース泥採掘に成功したニュースが大々的に報道されました。
レアアースは日本の基幹産業に不可欠な鉱物資源ではあるのですが、中国に偏在していることが世界的に問題となっています。
中国による恣意的な価格操作や輸出制限によって、日本はたびたび損害を被ってきたのです(この論点は、所感記事でもご紹介したチャイナリスクの一例です)。
それゆえに、資源の自給率を底上げすることは、経済安全保障の観点から極めて重要だと言えます。

この話とサンゴ礁とが何の関係があるのかといいますと、南鳥島はサンゴで出来た島なのです。
島が水没してしまっては、広大な排他的経済水域を失い、レアアース泥の採掘ができなくなってしまいますから、東京大学や国土交通省が技術研究を協働して何年も前から進めています。
南鳥島に限らず、沖ノ鳥島もサンゴ礁から成り立っています。
両島が日本に与えている恩恵は言うまでもありません。
つまり、サンゴが日本の経済水域を守っているのです。

  公益財団法人 日本離島センター/海上保安庁海洋情報部など作成
https://www.nijinet.or.jp/Portals/0/pdf/publishing/SHIMANAVI.pdf

いかがですか。東京大学が2024年入試で、

深海底が将来の世界の経済に大きな影響を与えると考えられている理由を2行以内で述べよ。

(東京大学2024年2A(1)改題)

なる問題を出題したのは、至極当然な流れだと言えましょう。

2024年東大地理(第2問A)入試問題の解答(答案例)・解説

さて、これ程までに日本経済の生命線とも言えるサンゴ礁が、いま世界的に絶滅の危機に瀕しています。
地球温暖化による海水温上昇や(2025年1Aの解説もご参照願います)、赤土の流入による水質悪化などにより白化しているのです。
こうした事態を受け、共通テストや国公立大学入試でもサンゴ礁関連の出題が近年増加傾向にあります。

せっかくですから、学習効果の高い問題を敬天塾オリジナル論述集から何題かご紹介するとしましょう。

いかがでしょうか。有孔虫の話は少し細かい知識ではありますが、その他については教科書や資料集でも紹介されている基本事項です。

地球温暖化がらみの出題が増加傾向にある東大地理において、地球温暖化による悪影響を受けているサンゴ礁関連の出題が今後増えてくる可能性は高いと思います。

なお、今年度の1Aや1Bにみられるように地学に関する知識を東京大学はよく問うてきています。
かと言って、いきなり地学基礎の教科書や資料集に入ることに抵抗感のある方は、一般向けの新書から試されるのも良いでしょう。

たとえば、

  • 地学ノススメ(講談社ブルーバックス)
  • やりなおし高校地学(ちくま新書)
  • 大人のための地学の教室(ダイヤモンド社)
  • いちばんやさしい地学の授業(大和出版)

あたりはオススメです。

敬天塾の鉄則集でも詳述しましたが、系統地理がすべての議論の端緒になります。

地形や地層や天気といった地学知識を非常に毛嫌いする受験生がかなり多くいますが、東大教授陣はそうした受験生の傾向を熟知した上で作問していますので、なるべく早い段階から苦手を払拭できるようにしてください。

最近では、Google EarthやYoutube、国土交通省の「重ねるハザードマップ」、国土地理院のGSI MAPなど、有益なコンテンツが多数あります。
教科書で用語だけみてもわからないと思ったなら、すぐさまネット検索をかけてみましょう。
3次元で捉えられるソフトも今はたくさんあります。
二次元の本だけが学習ツールではありません。
文明の叡智を存分に活用しましょう。

前置きが長くなりましたので、各設問にうつって考察を深めたいと思います。

設問(1)

問題

図1ー2は、ハワイ諸島と天皇海山列における島の標高の最大値もしくは海山の頂部の水深を示したものである。横軸はハワイ島からの距離をハワイ諸島と天皇海山列の連続する方向に沿って示している。ハワイ島から約1000kmの範囲で標高が大きく低下している理由を1行で述べよ。

解説

地学を学ばれた方にとっては驚くくらいのサービス問題でしたが、地学を未修の方にとっては「天皇海山列」やら「海山の頂部の水深」というワードを見ただけで、アレルギー反応を示されるかもしれません。

ですが、東大教授陣はそのことを見越して、リード文にも多くのヒントをちりばめてくださっています。
則ち、

  • サンゴ礁をともなうハワイ島は現在ホットスポット上にある活火山の島
  • その北西にはプレートとともに移動した形成年代の古い火山島群であるハワイ諸島
  • XとYの間にはハワイ諸島より古い形成年代の火山島が海面下に没して天皇海山列を形成

いかがですか。
ちゃんと定義を明示してくださっていますし、「ホットスポット」や「プレート」という超重要なキーワードまで盛り込んでくれています。

本稿の冒頭で、見慣れぬ論点が出されたら「本文全体を通じてヒントを探しあてる現代文の問題なんだと思え!」と申し上げましたが、まさしく本問のためにあるアドバイスと言えましょう。

こうした流れを図式化したものが図1ー2となります。

さて、本問では、黄色いで囲ったゾーンにおいて、ハワイ島から離れれば離れるほど島の標高が下がっていることがわかります。

その理由が問われているわけですが、リード文で示されている「ハワイ島は現在ホットスポット上にある活火山の島」「その北西にはプレートとともに移動した形成年代の古い火山島群であるハワイ諸島」をベースに考えれば、答案骨格はすぐに出来上がります。

ホットスポットではマグマの供給を受けますから、島が隆起し標高が高くなっていきます。

しかし、プレート(ベルトコンベアーのようなものだと考えてください)と共に(ホットスポットから)移動した「古い」火山島群は、マグマの供給源から離れていくわけですから、隆起する力を失っていきます。

では、それがなぜ沈降していくのかについては、地学の知識が絡んできます。
ホットスポット上では超高温のマグマが噴出しますので、ハワイ島を支えている海洋プレートもあたためられ密度が低くなります。

しかし、ホットスポットから離れますと、プレートは冷やされて密度が高くなります。
要するに重くなるわけです。
お風呂にお湯を沸かしたとき、お風呂の下の方が冷たいことはありませんか。
また、冬の寒い時期に暖房をきかせているのに、なぜか足元が寒いことはありませんか。
これは密度で説明がつきます。

寒いと分子運動が鈍ってきてしまい、おしくらまんじゅうのようにギュウギュウになって重くなるとでもイメージしましょう。

中学の頃に物質の三態について学ばれたと思いますが、その話です。

もちろん、プレートは液体や気体にはなりませんが(地球が消えてしまうような温度を加えればなるのかもしれませんが)、密度は変化しますので、重くなったり軽くなったりはします。
重くなれば沈み込みますから、それに伴いプレートの上に乗っかっている島は沈んでいきます。

ただ、このあたりの知識をガッツリ答えさせるのは酷だと東大側は判断したのでしょう。
それゆえに、本問では解答行数が1行となっているのです。
つまり、あっさり書いていいですよと仰っているわけですね。
ですので、あっさり書くなら「プレートの移動でホットスポットから離れて沈降したから。」となりましょう。

ちなみに、教科書では、

ホットスポットとして有名なハワイ諸島は、プレートは動いているが、マグマが噴出する場所が変わらないため、火山島が北西から南東の方向に列状に並んで位置している。

(旧二宮2024地理探究p13)

と書かれています。

さらに、もう少し詳しく書くなら、雨風の侵食作用でも当然標高は低くなっていることにも言及したいものです。
外的営力の論点ですね。

これとの絡みでは、東大2020年1A(1)も併せて復習するようにしてください。

なお、標高を引き上げるファクターは原則的に内的営力です。

ただ、山がギザギザと起伏に富む急峻な地形をつくるためには、さらに風雨などによる侵食が必要ですから外的営力も関係しています。
このあたり、教科書や参考書にはハッキリ書かれていませんから、多くの受験生が混乱しています。
せっかくですから、これを機会にご説明することとしました。

少し脱線してしまいましたが、それでは、解答例を示したいと思います。

 

それでは、解答例を示したいと思います。

解答例

風雨に侵食されたほか、マグマの供給途絶により沈降したから。(29文字)

風雨による侵食に加え、マグマの供給が途絶えて沈降したから。(29文字)

プレート移動でマグマの供給が途絶え沈降し、侵食も受けたから。(30文字)

プレートの移動に伴い、マグマの供給が途絶えて沈降したから。(29文字)

ホットスポットから離れ隆起せず沈降し、侵食作用も受けたから。(30文字)

 

設問(2)

問題

図1ー2の1000kmから2500km(X点)の範囲の標高は海面付近でほぼ一定であり、その北西ではサンゴ礁は島とともに海面下に没して分布しない。1500kmにわたって標高が海面付近でほぼ一定となる理由とX点より北西にサンゴ礁が存在しない理由をあわせて2行以内で述べよ。

解説

本問では、サンゴの話が登場します。
問われていることは2点です。

①(ハワイ島から)1000km〜2500km地点におけるサンゴ礁島の標高が海面付近でほぼ一定な理由

② X地点より北西にサンゴ礁が存在しない理由

の2点です。

2025年度入試でもそうでしたが、このような細かな設問条件が増えてきています
時間制約の厳しい東大地理では、どうしても焦って解こうとしてしまいますから、こういった設問条件を読み飛ばしてしまう可能性があります。

条件見落としによる失点は、悔いが一生残りますから、設問条件をマルで囲むなり、指差し点検するなり、しっかりと点検手順を確立するようにしましょう。

さて、本稿の冒頭でもご案内したように、サンゴ礁に関係する設問が近年多くの大学で問われるようになってきています。
しかしながら、「サンゴ礁はきれいで好きだけど、裾礁やら堡礁やら環礁やら訳がわからない」と嘆かれる受験生が非常に多いのが実態です。

せっかくですから、ヴィジュアルな解説を試みたいと思います。

いかがでしょうか。画力のなさは申し訳ないところですが(笑)、要するに沈みゆく島と運命を共にしたくないと考えたサンゴ礁は、とにかく海面に顔を出そうと一生懸命に背を伸ばしていったイメージです。

こうした様を空の上から撮影してみると、島の縁(ふち)を囲んで生育しているサンゴ礁のことを裾礁(きょしょう)と名付け(お洋服とかの縁のことをスソといいますね。

スソを漢字にすると裾です)、山のてっぺんを取り囲みまるで守っているように見えるサンゴ礁のことを堡礁(ほしょう)と名付け、山のてっぺんが海没してしまい上空からではサンゴ礁の輪っかしか見えない場合を環礁(かんしょう)と名付けたのです。

なお、隠れキーワードとして光合成を思い浮かべたいものです。
東大地理では、光合成や微生物分解、バイオームなど生物基礎に絡む知識もよく問われます。
東大教授陣からすれば、基礎教養として知ってて当然だよねとお考えなのだと思います。

文系受験生のなかには極度に理科に苦手意識のある方がいらっしゃいますが、複雑なPH計算をするわけでも原始物理を扱っているわけでもありませんから、東大過去問で問われている事項くらいは知識の確認をしておきましょう。

日本財団図書館より
https://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2003/00128/contents/0006.htm

さて、以上の前提知識をもとに、改めて図1ー2をご覧いただくとしましょう。

ハワイ島、X地点、Y地点の山のてっぺんを黄色い丸で示してみました。
設問(1)でご説明したようにプレートの移動に伴い、確かに島が沈降していますね。
その上でですが、本問では問われている1つ目は、ハワイ島から1000km〜2500kmの距離にある島の標高がほぼ0mになっている理由についてです。

受験生のなかには設問(1)と同じ理由を書いた方もいたようですが、それでは1000km〜2500km区間で、ハワイ島から遠ざかるほどに、比例して緑の点が左下方向に下降線をたどらなければならないはずです。

なぜに、赤で囲ったゾーンでは、標高に変化がなく均一に海面すれすれで島が続いているのかという問題です。
そんなの知ったことじゃないと思われたかもしれませんが、まだ使っていない条件があるはずです。

則ち、図1ー1です。

アメリカ海洋大気庁ホームページ画像を編集
https://oceanservice.noaa.gov/facts/coralwaters.html

ハワイ島からX地点に至るまで、サンゴ礁が横並びで続いています。

つまり、海面にまで背を伸ばしたサンゴ礁島が点在しているわけです。
本来なら沈降して島の標高が0m未満になるべきところ、サンゴ礁が海水面付近まで成長することで、なんとか低平ながら標高を海面付近に保っているわけです。
このあたりを端的に表現すれば良いでしょう。

次に2つ目の理由について考えてみるとしましょう。
則ち、なぜX地点より北西にサンゴ礁が存在しないのかについてです。

これは、図1ー1をご覧いただければわかると思いますが、XーY間は高緯度地域に突入しています。
サンゴというのは暖かい海に生息する生き物ですから、寒いところでは生きてはいけないはずです。
海水温とサンゴ礁の関係については、先程ご案内した学芸大学2024年の問題も要チェックです。

 

少し解説が長くなりましたが、以上をふまえ解答例を示したいと思います。

解答例

島の沈降を受けサンゴ礁は日光を求めて海面近くまで発達し標高は維持されるが、X以北は海水温が低くサンゴが生育できないから。(60文字)

島の沈降に反しサンゴ礁は日光を求め成長し海面付近で標高は維持されるが、X以北では海水温が低くサンゴは生育できないから。(59文字)

サンゴ礁は島の沈降に反し海面付近まで発達し標高は低平ながら維持されるが、X以北では海水温が低くサンゴは生育できないから。(60文字)

設問(3)

問題

日本で産出する石灰石の多くは、かつて島にともなわれたサンゴ礁がプレートの沈み込みによって取り込まれたものである。この石灰石は砂泥粒子の混入が少なく、炭酸カルシウム濃度の高い高純度の資源とされている。図1ー1を参考に、大陸の縁と海洋島のサンゴ礁の形成環境を比較し、日本の石灰石の純度が高い理由を2行以内で述べよ。

解説

本問を目にされた方の多くは、「え?」と驚かれたことでしょう。

その驚きには2種類あり、
1つは「炭酸カルシウムとか石灰石とか、そういう理科の話は大嫌いだから、この問題は飛ばしてしまおう」という意味の驚きであり、
もう一つは「これって、設問文に全ての答えが書いてあるじゃん!何かのひっかけかな。簡単すぎるぞ」という意味の驚きです。
皆様は、どちらの驚きがありましたでしょうか。

「見たことがない問題=難問」ではない、と口を酸っぱくして授業ではお伝えしております。
本問は知識問題ではなく、単なる国語の読解問題です。

ここで論点整理です。日本の石灰石は

  • 島にともなわれたサンゴ礁由来
  • 砂泥粒子の混入が少ない
  • 炭酸カルシウム濃度が高純度

とありますね。

その上で、「大陸の縁(のサンゴ礁)」と「海洋島のサンゴ礁」の形成環境を比較したうえで、日本の石灰石がなぜ高純度なのかを説明するわけです。

まず、日本の石灰石は海洋島由来のサンゴ礁だと理解できなければいけません。
プレートの移動に伴ってやってきたと言っているわけですから、大陸由来でないことは明らかです。

つぎに、まだ使っていない設問条件を探してみると「砂泥の混入が少ない」とあります。
つまり、海洋島の場合、砂や泥の混入が少ないわけです。
ということは、大陸の縁由来の石灰石の純度が低い理由は、砂や泥の混入が「多い」ことが推測できそうです。

それがなぜなのか触れられると加点事由にはなると思いますが、わからなければ、大陸の縁だと砂泥の混入が多いが、日本の石灰石は砂泥の混入が少ない海洋島由来であるため純度が高いと書けば良いでしょう。

「え?そんな雑な解答でいいの?」と思われたかもしれませんが、時間制約の厳しい東大地理では、ベストよりベターを目指す姿勢も重要です。

もちろん、ベストを目指すなら、砂や泥を海にもたらすのは河川ですから、大陸の場合、河川からの土砂流入が多い点に言及できると良かったと思います。

ちなみに、この論点は、帝国書院2024地理探究の特集ページにばっちり書かれていました。

抜粋いたしますと、

日本近海は、大陸の河川からの淡水と土砂の流入の影響を受けにくいため、気候変動による海水温の上昇と海洋生物の関わりを調査するのに適している。

(帝国書院2024地理探究p26)

とあります。この部分の記述をしっかり押さえられた方は、本問が言わんとしていることを理解しやすかったのではないでしょうか。

ここで、石炭石鉱業協会のホームページで紹介されている図と解説文をご覧いただくとしましょう。

 海洋プレートは年間数cmの速度で移動しているため、その上にある海山と石灰岩も移動して行きます。海洋プレートは海溝に達すると大陸プレートの下に沈み込みますが、このとき、海洋プレート上にある石灰岩をはじめ、海洋底表層の珪質堆積物や海溝充填堆積物(砂や泥)の一部が大陸プレート側に付加されます。このようにして出来た地質体を「付加体」といいます。

 現在日本に存在している石灰岩の多くは、今から3~2億年前頃に熱帯域で生物礁として堆積し、2億5千~1億5千万年前頃に沈み込み帯で付加体として大陸側に付加されたものであることが分かっています(当時、日本列島はまだ島弧ではなく、大陸の一部でした)。

 このような形成史から、日本の石灰岩の特徴としては「広い海洋の海山上に堆積したため大陸から土砂の流入が無く、炭酸カルシウムの純度(品位)が高い」という特徴があります。石灰岩は世界中に広く分布している岩石ですが、世界の石灰岩の多くは大陸プレート上の浅い海に堆積したものであり、陸から土砂の流入を受けているため一般的に日本の石灰岩と比較すると品位が低く、また層準ごとの品位変動が大きいことが特徴であると言えます。

  石炭石鉱業協会ホームページより
https://www.limestone.gr.jp/introduction/

いかがでしょうか。このような解説を読んだあとに、改めて東大が用意した設問文を読んでみますと、相当多くのヒントを散りばめてくれていることがわかりますね。

今年度の東大地理では、指定語句を付した問題が激減しましたが、その分、設問文やリード文に多くのヒントを散りばめていることに気付かされます。

たとえ見知らぬ論点が出されたとしても、最後の最後まで諦めることなく1点でも多くもぎ取ろうと奔走する姿勢が合格を引き寄せるのです。

 

それでは解答例です。

解答例

陸域から河川で運搬される砂泥の混入が多い大陸の縁に対して、砂泥流入が少ない海洋島のサンゴ礁に日本の石灰石は由来するから。(60文字)

 

いかがでしたでしょうか。サンゴ礁は、地球温暖化に代表されるグローバルな要因と、土砂流入といったローカルな要因の両面の影響を受けて衰退しています。
南鳥島や沖ノ鳥島がサンゴ礁であることに鑑みますと、日本の経済水域はサンゴによって守られているとも言えます。

そのほかにも、サンゴと共生する褐虫藻は光合成を通じて、サンゴのみならず他の生物にも栄養を与え、豊かな海洋生態系の維持における一役をも担っています。

日本貿易会ホームページより
https://www.jftc.or.jp/kids/eco-hint/natural_symbiosis/approach03.html

 沖縄科学技術大学院大学ホームページより
https://www.oist.jp/ja/oist-coral-project

これほどまでに重要な役割を果たすサンゴが、世界中の海から消えつつあるのです。

遠い世界の話だとは思わずに、自分たちのこととして、真剣に取り組んでほしいと東大教授陣は入試問題を通じて受験生、そして入試問題を目にした人全てに訴えているように私は思いました。
ぜひ、これを機会に周辺知識を固めていってください。

参考となる資料のリンクをいくつかご案内したいと思います。

① 国立環境研究所『サンゴ礁の過去・現在・未来』https://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/53/53.pdf

② 環境省『特集 サンゴ礁のこと』https://www.env.go.jp/guide/info/ecojin_backnumber/issues/08-09/pdf/02.pdf

③ 環境省『国際サンゴ礁年2018』https://www.env.go.jp/content/900489089.pdf

④ 水産庁 『サンゴ礁の機能と現状』https://www.jfa.maff.go.jp/j/seibi/attach/pdf/sango_tebiki_h21_03-1.pdf

なお、サンゴ関連の問題は、共通テスト(旧センター)でも頻出です。
ざっと挙げますと、共テ2023本試験2番、H30試行調査20番と21番、2011年センター本試験11番あたりは良い試行訓練となるでしょう。

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上記の地理の記事は敬天塾の塾長とおかべぇ先生が執筆しています。
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東大対策問題集 地理 思考編①

映像授業【東大地理】日本地理 総論と各論第一講〜災害編〜

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