2024年東大英語(第4問A 英文法正誤)入試問題の解答(答案例)・解説
東京大学英語4A正誤問題というと、多くの東大受験生が「捨て問」にされています。
ですが、高得点合格者の多くは、この4Aに割り当てられている10点をきっちり取りに行っています。
苦手意識を持たれる方が多いのは、きちんとした対策を取っていないからです。
4Aは文法問題だと称されることが多いと思いますが、私は英作文+読解問題だと考えています。
英作文の解説記事でも申し上げるつもりですが、短時間で「正確な」英文を書くためには、英文の「点検項目」を明確化し、日頃から自分が書いた英文をチェックしているかが合格ポイントになります。
実のところ、4A正誤問題は、そうした英作文における「点検項目」の延長線上に位置しています。
また、1B文挿入で大意をスピーディーに把握する訓練を積んでいる方にとって、4Aの長文量は3〜4分で処理できるものであり、さほど労することなく得点できるサービス問題になっています。
4Aに極度の苦手意識を持たれている方は、1Bや2といった他の設問でも苦戦されている可能性もあるのです。
とはいえ、ただ単に「分布力を上げてくださいね、総合力を上げてくださいね」というアドバイスでは、ただでさえ時間が足りない受験生には酷でしょうから、本解説では、高得点合格者の目の付け所について詳述したいと思います。
目次
【東大正誤の鉄則】4Aを捨て問にしようか悩んでいる、そこのあなた!実はコツがありますよ!
【2024-4A所感】2022〜2023に比べれば、なんとも読みやすい文章です・・
一昨年の2022年度入試は、多くの大問で東大側が本気を出した年でありました。
共通テスト数学の超難化にはじまり、二次試験でも全教科えげつない問題が出題されましたので合格最低点が数十点落ちた伝説の年だとも言われています。
4Aも例外ではありません。
2022年以降、抽象度の高い長文が出されるようになった4Aにあって、今回扱う2024年度は読みやすい文章が題材に選ばれたように思われます。
おそらく、今年度は文法のミスを炙り出すのみならず、「内容上の誤り」をも炙り出せと条件指定しているため、読解負担の少ない題材を東大教授が意図的に選んだのだと拝察しています。
とはいえ、このレベルの文章でも意外に点数を取れていない受験生が多くいます。
高得点を取れる受験生がいる一方で、4Aで全く点数を取れない受験生がいるのはなぜでしょうか。
それは、目の付け所が違うからです。
本稿を通じて、ぜひ、その極意をマスターしてください。
併せて、2019年度〜2023年度4A実況中継解説も参照すると学びが大きいことでしょう。
(編集部注)実況中継解説は映像授業【東大英語 第4問A 英文法正誤】に含まれています。
それでは、設問(21)〜(25)の5つの問題を前にして、高得点合格者達はどのような思考プロセスで解いていったのか実況中継風に解説していきたいと思います!
【設問別実況中継】設問の解説だけに終わらない! しっかり学んで4Aを得意にしよう!
設問(21)今年は初っ端にサービス問題が登場しました!東大頻出の相関接続詞です!<並列/比較関係>
誤った選択肢は(b)
Two new studies suggest our heartbeat can cause passing moments (b)to feel either slower and or faster.
東大頻出の並列・比較パターンの登場です。
本年度は(25)でもこのパターンが出題されました。
2問も出題されたのは、2021年にもありました。
2021年(2)と(4)・2014年(1)・2010年(3)・2009年(5)・2008年(1)・2005年(3)といった具合に、東大教授は繰り返し繰り返し、あの手この手と形を変えて比較や並列関係を問うています。
この手の問題は、慣れてくると「秒」で正誤判定することもできるようになるので、ぜひ過去問探究を通じて切り口を学びましょう!
【よく出る切り口】
① 相関接続詞を用いて、品詞の不一致を判別させるパターン
相関接続詞とはなんとも仰々しい響きの文法用語ですが、
either A or B
neither A nor B
both A and B
between A and B
not only A but also B
not A but B
のような対をなす語句を繋ぎ合わせる構文のことです。
andやorなどに絡んだ構文解釈でも学ばれたと思いますが、andやorで結びつけるものは同品詞や文法上の機能が同じであるもの同士であることが大原則です。
たとえば、both English and Japaneseや、neither drink nor smokeや、not only beautiful but also smartといった具合に、
名詞と名詞、動詞と動詞、形容詞と形容詞といった具合に、
同種のものを結びつけるのが大原則なのです。
品詞について問うてきたのが2021年(22)でした。
敬天塾の過去問解説で詳述しておりますので、併せてご参照ください。
本問では品詞の比較までは要求されておらず、単純にeither〜orというフレーズ知識が求められているだけなので容易です。
② 比較級がらみの知識を問うパターン
as〜asや〜thanといった比較級は中学で学ぶこともあり、私達には馴染み深い文法項目です。
ですが、thanや2番目のasが接続詞だということ、比較対象も同種でなければならないという基本事項を英作文でも意外にド忘れする人が多く、しばしば減点の憂き目をみることになっています。
本年の設問(25)がまさにここを突いてきています。
接続詞という点についていえば、I am smarter than Tom.とあった場合、元々の文が、I am smarter than Tom is smartだったことをきちんと理解しているでしょうか。
重複しているis smartを省略しているに過ぎないわけです。
You are as old as Ken.という文章も同様です。
元々は、You are as old as Ken is old.を省略した形に過ぎません。
比較対象が同種という点については、The population of Tokyo is larger than that of Sapporo.という類の例文を文法問題集で見かけたことがあると思います。
「東京の人口」と比べられるのは、「札幌の人口」なので、that of Sapporoとしなくてはいけないわけです。
体重を比べたければ、互いの体重が比較対象になるのであって、「私の体重はあなたの年齢よりも重い」というのは、同種のものを比較する原則から外れてしまっているわけですね。
では、以上をもとに、本問についてみていくとしましょう。まずは、いつものように下線部を含む一文をチェックすると、eitherが目にとまります。
英文読解の時もそうですが、eitherを見かけたら反射的にorが来るはずと構えなければなりません。
neitherが来たらnorが、bothが来たらandが来るはずと予測立てしながら読み進めていくわけです。
そうすることで構文の取り違えミスを減らすこともできるわけです。
こうした目の付け所が、高得点合格者に備わる「王者の視点」です。
本問の下線部では、orが見当たりませんね。
この時点で、(b)が不正解だと即答できるわけです。
設問(22)出ました!近年の東大で最頻出の動詞の語法パターン!取りこぼしたくない1問!<動詞(語法)>
誤った選択肢は(e)
One item or sound from each pair (e)presented for 200 milliseconds, and the other lasted for 400milliseconds.
※wasをpresentedの前に挿入
英文の主役は動詞です。
動詞を制する者、英語を制すると言っても過言ではありません。
詳細はこちらのページでは省略しております。映像授業【東大英語第4問A 英文法正誤】に入れております。
設問(23)紛らわしい選択肢もあって、苦戦した受験生も多かったと思われます。<並列/比較関係>
誤った選択肢は(a)
Next, people saw a new cueーanother tone or shapeーand had to estimate (a)how whether the presentation felt shorter or longer, using the previous pair for reference.
詳細はこちらのページでは省略しております。映像授業【東大英語第4問A 英文法正誤】に入れております。
設問(24)これはサービス問題! 内容面から攻める問題ではありますが対比構造が明確です!<文脈(対比関係)>
誤った選択肢は(e)
What that span is longer, they discovered, time feels slower. (e)When there is more less time between two beats, time seems to move faster.
今年度は、久々に「内容上の誤り」についての指摘も要求されています。
2014年以来でしょうか。
その時は、1語取り除けという指定ですから、4Aの現行方式では初めてかもしれません。
詳細はこちらのページでは省略しております。映像授業【東大英語第4問A 英文法正誤】に入れております。
設問(25)(22)に引き続き、またまた比較・並列パターンの登場!正解したいところ!<並列/比較関係>
誤った選択肢は(e)
“Your brain,” he adds, “might be listening to patterns in your heart to shape something (e)similarly as fundamental as the passage of time.”
設問(22)に引き続き、並列・比較パターンが出題されました!
詳細はこちらのページでは省略しております。映像授業【東大英語第4問A 英文法正誤】に入れております。
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映像授業【東大英語 第4問A 英文法正誤】
他年度の過去問に対して、これでもかと噛み砕いて説明した《実況中継》の解説もございます。
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