1995年 東大国語 文科第6問(古文)『源氏物語』(玉鬘)解答(答案例)

はじめに

東大古文では1990年代以降に4度、『源氏物語』が出題されています。

その中で、もっとも難易度が低い標準レベルの問題なので、『源氏物語』の挑戦1つ目としてどうぞ。

解答例(答案例)とプチアドバイス

(一)傍線部ア・ウを、内容が明らかになるように現代語訳せよ。【1行】

ア 負けじ魂にて追ひて来なむ

答案例:土地の豪族が姫君を逃すまいという精神できっと追いかけてくるだろう。

プチアドバイス:「負けじ魂」が訳しづらかったと思います。
文脈に合わせて多少の意訳が必要です。

 

ウ いかがなりぬらむ

答案例:九州に残してきた最愛の妻子は、今ごろどうなってしまっているだろうか。

プチアドバイス:条件付き現代語訳問題は「誰は」という主語の補足を一番に考えましょう。今回は少なくとも「残してきた妻子は」という要素は入れておきたいです。

 

(二)「ひびきの灘もさはらざりけり」(傍線部イ)にはどのような気持ちがこめられているか、説明せよ。【1行】

答案例:航行の難所よりも、追いかけて来る豪族を恐れ、動揺する気持ち。

プチアドバイス:注記を活かして「航行の難所」であることを入れたいですね。
注記の2文目以降は特に、設問に絡みがちなので要注意!

 

(三)「あさましきこと」(傍線部エ)とはどういうことか、具体的に説明せよ。【1.5行】

答案例:頼りになる従者は全て連れてきて、捨て残した妻子の危険を顧みなかった、豊後介自身の未熟で驚き呆れる行動。

プチアドバイス傍線部直後に「思ひつづくるに」とあるので、心内文を訳すことになります。心内文には、①自分の驚き呆れる行動(ABC)と②心配事(追ひまどはして~)があります。
「あさましきこと」なので①です。
ABCは以下の通り。
(A)なうち捨ててける。いかがなりぬらむ。
(B)はかばかしく身の助けと思ふ郎等どもは、みな率て来にけり。(中略)
(C)かへりみせで出でにけるかな

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