1997年 東大国語 文科第6問(古文)『栄花物語』解答(答案例)
目次
はじめに
主語把握のテクニックをいろいろ学習した後に取り組んでいただきたい過去問です。
特に敬語の有無を意識して、読み解いていきましょう。
解答例(答案例)とプチアドバイス
(一)傍線部アを現代語訳せよ。【1行】
ア 例の人におはしまさば、
答案例:普通の人でいらっしゃるならば
プチアドバイス:「例の人」が「いつもの人」だと、誰?となるので、考えましょう。
《傍線部アの仮定―喜ぶ》
《鍵括弧内―喜んでいない》ことから、
接続助詞「を」が逆接で、対比となっていますね!
つまり、仮定の彰子と実際の彰子の対比です。
(二)「このこといかでさらでありにしかな」(傍線部イ)を「このこと」「さらで」の内容が明らかになるように現代語訳せよ。【1行】
答案例:次の東宮のことは、何としても若宮でないように決めてほしいなあ。
プチアドバイス:「いかで」とあれば、願望・意志の語が無いかを確認しましょう!
願望・意志があれば、「どうして」ではなく「どうにかして・何としても」になります。
(三)傍線部ウで、何が「いとありがたきこと」なのか、わかりやすく説明せよ。【1行】
答案例:彰子が我が子への情よりも兄弟の序列や兄宮の気持ちを優先していること。
プチアドバイス:滅多に無いのは「弟が東宮になること」か「彰子の人格」か、迷った受験生が多いようです。
道長はこの会話文で、彰子を説得しようとしているので後者。
後者だと、冒頭とも、ウの後の「また」とも辻褄が合います。
(四)「さやうならむ御有様」(傍線部エ)とはどういうことか、わかりやすく説明せよ。【1行】
答案例:道長の孫である若宮が東宮になる様子。
プチアドバイス:「道長の孫である若宮が立太子する様子」という答案も見かけましたが、「立太子」の「立」は「冊立(さくりつ)」の立。
これは、〔時の天皇が〕皇子・皇孫などの中から最も適当な人物を選び、公式に皇太子と決めることです。つまり、「立」できるのは天皇。
「立太子の宣明を受ける様子」ならOKでしょう。
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