共通テスト国語 試行調査の分析結果

共通テストの試行調査2回分について、分析しましたので皆様の参考にまとめておきます。

第1問(記述問題)

第1回の共通テストでは記述問題が出題されないことが決まっていますので、最も分析の優先順位が低い設問です。

記述させたい内容、字数制限、文章量など分析しましたが、

・スタンダードな記述問題
・東大の現代文の対策をしていれば、概ね対策が効く
・論理的な思考をして、順序良く記述する

などの特徴があると考えられます。

第2問(評論文)

センター試験時代から、少し毛色が違う問題になっています。

大きな変更点は以下の通りです。

①図や写真、表と共に読解しなければならない
文章の読解だけでなく、表や図が直接設問の根拠になっています。表を登場させると、どうしても二項対立的な概念の整理が必要になります。つまり、対比構造を掴むことが重要です。

簡単な対策として、段落ごとに(文章ごとに)どちらの内容なのかを明示しておく、などすると読解速度と正確さが上がります。

②無駄な情報が多い
センター試験の第1問(評論文)では、文章のみを読解して、傍線部の解釈を問う形式が主でした。
そのため、文章の最後の段落や最後の文章までが、設問の解答の根拠として使用されているという特徴がありました。

しかし、例えば平成30年の試行調査で出題された著作権の問題では、ポスターや、条文の一部が資料として提示されていますが、ポスターや条文の全ての部分に目を通さなくても解答が出来ます。
つまり、無駄な情報がたくさん登場しているのです。

真面目に、片端から全て読み、理解し、設問に答えようとすると、出題者の想定よりも多くの時間がかかってしまう可能性があるため、いかに無駄な文章を「無駄だから読まない」と判断するかが問われています。

この対策としては、本文や資料よりも先に、設問を読み、どのような内容が問われているかを把握しておき、解答に必要な部分のみに目を通すような作業をすることが、最も簡単で効果的でしょう。

③「どういうことか」「なぜ」の問題が少ない
センター試験では、傍線部に対しての設問が主でしたので、必然的に「傍線部の部分はどういうことか」や「傍線部の理由は何か」という設問が多くなります。

しかし、試行調査では傍線部の問題そのものが減っており、かつ傍線部が引かれていても「例として最も適当なものを選べ」という設問が設置されています。
つまり、センター試験の時の解答法が通用しない可能性があります。

④表現についての設問が(引き続き)登場している
センター試験でも登場していた表現に関する設問が登場しています。
「〇〇という表現は、筆者の主張に注釈を加える働きを持っている」などです。

対策しづらいということで、多くの受験生を悩ませていたと思いますが、引き続き出題される可能性が高いでしょう。

一方で、センター試験を踏襲しているため、センター試験の過去問を用いた対策が直接的に可能です。この形式の設問のみを過去問から抽出して、分析・対策しておくことができます。

⑤新書のような文章になっている
固い評論文から、一般書や新書のようなタッチの文章になっています。平成29年の路地に関する文章は、やや抽象度が高く読みづらかったかもしれませんが、平成30年の著作権は読み易く変更されています。
内容も受験生に馴染みやすいテーマが選ばれていると言えるでしょう。

第3問(小説、エッセイ、詩など) 

平成29年では小説、平成30年ではエッセイと詩のドッキングが出題されました。出題される文章の種類が統一されておらず、あたかも「評論文以外なんでも」出題すると言わんばかりです。
そのため、最も対策しづらい問題と言えるでしょう。

①複数の文章の比較が出題されている
平成29年では、オスカーワイルドの文章と光原百合の小説の2種類が登場しています。それぞれ同じ内容のストーリーを、違う主人公の視点を用い、違う主張含ませながら書いているものです。
平成30年は、同一作者による詩とエッセイを読ませますが、通底するテーマは近似しているという作問でした。
(このように、複数資料を比較検討させるというのは、国語に限らない共通テストの一貫した態度と言えます。)

そのため、やはり傍線部の解釈の問題が少なくなり、2作品の対応関係に関する設問出題されることが予想されます。

特徴としては、2つの文学作品の対応関係に関するヒントは全くなく、設問でいきなり対応関係を問われるという点です。(リード文にヒントはありません)

一文ずつ解釈するようなミクロな読解ではなく、文章全体から主張を掴むようなマクロな読解力が問われています。

②文章表現に関する設問が出題
第1問(評論文)でも話題にしましたが、文章表現に関する設問があります。対策法は同様に、センター試験の過去問が手ごろでしょう。

また、倒置法、擬人法、反語など、表現技法の内容については、必ず押さえておくべきでしょう。
例えば、平成30年では「反語的」が解答の選択肢に含まれていました。反語と言うと「~だろうか、いや〇〇ではない。」というのを思い浮かべると思いますが、いわゆる皮肉も反語的な表現に含まれるということをご存じでしょうか。

このように、センター試験よりも、知識の補充で対策が効くというのも、一つ特徴として挙げられるでしょう。

③詩の読解が難しいか
エッセイや小説ならばセンター試験でも登場していましたが、詩の解釈は不慣れな受験生が非常に多いでしょう。

東大受験に限れば、国語の第4問にいくつか詩が登場しています。(但し、文中に詩が挿入されている形式です)
2014年第4問(蜂飼耳『馬の歯』)
2003年第4問(篠原資明『言の葉の交通論』)
1997年第5問(長田弘『自分の時間へ』)

他に、手持ちの教材で詩の解釈を問うものがあれば、目を通しておくと良いでしょう。

第4問(古文)

大雑把に言うと、センター試験の古文の問題と比べ、問われている能力に違いはないと言えるでしょう。すなわち、古文の文章を正確に解釈し、スピーディに読めば、設問に答えられるということです。

①両方とも源氏物語が出典
複数の出典から比較させたい気持ちが先行したからか、平成29年も平成30年も源氏物語が出典になっています。
これは非常に珍しい現象ですし、恐らく「わざと」こうしたのでしょう。

正答率を見てみると、平成29年ではあまり高くありません。そのため源氏物語のような有名出典でも内容を知っている受験生は少なく、問題形式を変更すればちょうど良い正答率になるだろうと考えたのかもしれません。(あくまで推測です)

この推測を積極的に支持する事実として、平成30年では文章自体は(センターと同じように)一つしか出題されていません。
最後の設問で、先生と生徒の会話の中で、遍昭の和歌と、和歌が詠まれた状況についての短い古文が登場しています。この遍昭の和歌が「引き歌」になっているため、本文の和歌の内容と対応関係が生まれています。
よって、ここをもって、2つの別作品との対応関係を問いたかったのだろうと推察されますが、難易度はやや下がっていますし、1つの設問にしか絡んでいません。

本番でも源氏物語になる可能性は低いと(個人的には)思いますが、一応、源氏物語の内容は知っておくと良いでしょう。
また、有名出典についても内容を知っておくことが重要かもしれません。

②複数文章の比較に関しては、小難しいことを問うのを諦めたのか?
上述のように、平成29年の正答率が低かったのですが、この原因を「3文章の比較が受験生には難しかった」と見ている可能性が高いと考えられます。
また、比較する内容も、源氏物語の一部の表現が、編者によって違う理由を問うものであり、受験生に馴染みのない話題であることと、「誰が、どのような理由で、どのような編集をしたか」という事実把握が面倒な内容を問うものでした。
そのため、もっと単純な比較でないと受験生は点数が取れないと判断し、平成30年では、平成29年と比べて稚拙な比較に留まっているという仮説が立てられます。

本番の共通テストでも、あまり込み入った比較は出題されないのではないかと考えられます。

第5問(漢文)

古文と同様、概ね、漢文が一文ずつ正確に解釈できれば、解答するのに困らないと思われます。

①複雑な形式は出題されないか?
古文と同様、平成29年では、漢文の文章と、生徒がまとめたレポートを比較検討させる問題が出題されましたが、
平成30年では、複数資料の比較という形式になっているものの、片方は現代文で2行だけの資料でした。そのため、事実上、漢文の文章が1つ出題されたとて考えられます。
このように、問われる形式が稚拙になっており、大学入試センターが難しい設定を諦めたのかもしれません。
センター試験時代と同様、漢文が解釈できる能力を高めることが、主な対策となるでしょう。

②知識重視の設問が多い

漢詩の形式に関する設問(五言絶句、七言律詩や、押韻など)や、日本史における漢詩の位置づけに関する設問が出題されています。
朝三暮四、朝令暮改などの四字熟語(故事成語)に関する知識も問われています。
またセンター試験時代と同様、漢字の意味に関する設問もあります。

このように、知識で対処できる設問が増えているのも特徴の一つでしょう。
但し、問われている知識が細かいわけでなく、普通の日本の教育を受けていると、常識的に登場することと言えるものばかりです。

不安な方は、中学受験の参考書などを一読してみても良いかもしれません。(但し、時間をかけすぎるのは、リスクが大きいかもしれません。)

総合的分析

以上、設問ごとの分析をまとめました。
全体を俯瞰した分析を最後に記しておきます。

①時間配分の対策は、試行調査ではできない。
試行調査は記述式の設問を含む形式の下で作られたものです。つまり第1問が設置されています。
そのため、第2~5問の分量を減らさざるを得ません。

しかし、本番の共通テストでは記述式の設問が出題されませんから、第1問がまるごと消えることが考えられます。
するとセンター試験と同様、第1問が評論文、第2問が小説など、第3問が古文、第4問が漢文、という形式になるでしょう。
このように、設問数が変化するため、時間配分の練習にはなりません。

時間配分の練習は、市販の予想問題集のようなものを利用するほうがよいでしょう。

②選択肢の作り方は、大きく変化していない。
また、出題者の作る選択肢の作り方に関しては、大きな変化は見られません。センター試験の頃と同様、明らかな矛盾やウソ、過剰な表現、本文中に見られない内容などを含む選択肢を丁寧に消去していけば、正答が見いだせるように作成されています。

表面的な設問の形式が変わっていても、選択肢から選ぶという形式は保存されているので、全く異なる問題というわけでもありません。

③文章量、文章の難しさは易化する可能性がある
センター試験の国語を何年も見ていると、概ね、文章量が増えている傾向があるのが分かるでしょう。昔の文章より、最近の文章の方が長いことがおおいです。

しかし、共通テストになり、ただの文章の読解だけでなく、複数資料の比較、図や表の考察をさせなければならなくなったため、その分の時間を受験生に与える必要があり、文章量自体は減ることが考えられます。

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