2022年(令和4年)東大日本史を当日解いたので、所感を書いてみた。

敬天塾の塾長と講師が東大の二次試験当日(2022年の2月25日・26日)に入試問題を解いて、所感を記した記事です。他の科目については、こちらのページにリンクがございます。

【科目全体の所感】

総合難易度 標準

今年は、第一問・第二問・第四問のように史料をしっかり読み込めば解答に含める内容が分かりやすい問題と、第三問のように史料を読み込んだ上でその背景に何があるかを想像させるような問題とがあり、例年に比べ「資料をきっちりと読むこと」の重要性が際立っていたように思いました。

特に、第一問のように資料の要約さえうまく出来れば答えられるような問題は、知識を問うような問題に比べて内容の差がつきにくいため、確実に点を取れるように普段から資料の内容をうまくまとめる練習(記述力の訓練)をしておくことが重要だと思います。

第一問

難易度 やや易

第一問は、古代の律令制のもとでの文書伝達についての問題でした。中央の指示がどのように地方に伝達されたか、という具体的な手続きを問う問題で、答えのほとんどが資料文に書いてあるタイプの問題でした。

その背景にどういう狙いがあるかなどを答えさせず、方法を答えさせるだけなので、資料を要約すればよく易しいな問題だったと言えるのではないでしょうか。

第二問

難易度 標準

第二問は、室町時代に天皇の攘夷がなぜ行われなかったのかを問う問題でした。今上天皇の即位に伴う新元号・令和への切り替えや、男系・女系の議論のような天皇家の存続の問題など、最近の天皇に関わる出来事の影響を受けているものと思われます。

中世に皇室祭祀が途絶えていたのは経済の問題が大きいことがメインテーマで、幕府の経済状態や課税の仕組み、朝廷の収入源などをストーリーに答えさせるような問題です。

また余談ですが、織田信長は足利将軍、神社仏閣などの宗教勢力への対応など、反権威の象徴のように語られることが多いのですが、資料(5)から大嘗祭を復活させた張本人であることが分かるように、実は天皇家の権威に従い利用するという側面もあったことがうかがえます。

第三問

難易度 やや難

第三問の設問Aは、豊臣秀吉の刀狩以降、人々は武器を持つことが許されなかったにも関わらず、江戸では一部持たせた事実があり、それがなぜかを問うような問題でした。

帯刀に関する資料が複数提示されている中、突然のように死んだ乞食の話が登場し、ストーリーの組み立てが難しく感じた受験生が多いのではないでしょうか。この意味で、第一問、第二問に比べ読解力や背景を読み取る力が必要な難しい問題であったと言えるのではないでしょうか。

設問Bは、資料(4)にあるような、文治政治期に乞食を守るような政策がとられた背景として、江戸時代の経済状況や、幕府の人々に対する態度の変遷などについても触れる必要があり、やはり難しい問題であったと考えられます。

第四問

難易度 やや難

「労働生産性」という地理選択者に馴染みのある内容が出題されたこと、棒グラフと資料文の2つが提示されていること、最近頻出であった戦後史が出ていないことなどがトピックでしょうか。

読み飛ばしがちになるリード文を丁寧に読み取って設問に答えようとするとヒントが多く書かれている問題であったと思います。すなわち、労働生産性の定義や計算方法などを丁寧に読み取り、設問の要求と他の資料の内容を総合的に考えるという、地理のような問題でした。
棒グラフは労働生産性に関する資料であるのは分かりますが、突然、福沢諭吉の「学問のすゝめ」が資料として登場するのが驚きでした。

去年の第四問でも、複数の資料が与えられ、一見すると断片的で無関係に思える資料から、設問の要求に従うようにストーリーを組み立てる問題が出題されましたが、今年の第四問と仕組みが似ている部分があります。

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