2018年東大理系数学 入試問題 得点の作戦(戦略とは?各設問で考えること)
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戦略と作戦と戦術と大戦略
「戦略」という言葉が流行ってまして、濫用されています。
狙って目標を達成するような思考法のことを「戦略」と表現しているような気がしますが、決してそれだけではありません。
例えば、世間で言われている、目標を立て、計画を立案し、実行して結果を出すようなタイプのものは、戦略学では「順次戦略」と言われるものであって、それ以外の戦略もある。(累積戦略)
年末に発売されました『論理アタマのつくり方』(ダイヤモンド社)のメインテーマである「論理」なんかは定義のない用語ですから、誰でも好きなように語って良いのですけど、「戦略」はそうではありません。
「戦略」「戦術」「作戦」はそれぞれ違う概念ですし、「大戦略」なんて言葉もあります。それぞれ違いを説明出来ますでしょうか?
一見受験から遠いようで、実は受験に直結するのが戦略の考え方です。
東大入試では、一語一語の持つ意味合いに非常にこだわって考える必要があります。何となく文章を読んでいる人は、まず「読解力」を鍛えることをオススメします。
戦略も、読解力も、成績の上げ方も分からない!!
と言う方は、幣塾の門をたたくことをオススメします。
2018年東大文系数学の攻略作戦
では、2018年の東大理系数学の作戦に行きましょう。
拙ブログでは、各科目の攻略する道筋のことを「作戦」と呼んでいます。(戦術だと小さすぎて、戦略だと大げさでしょう。)
100分の試験時間で、どのような時間を使い、どのような頭を使い、どこまで攻めていくのか。
そういう事を考えなければ、攻略が遠くなります。
極端なことを言えば、試験開始5分は1文字も書かず、解答用紙は白紙のままにするくらいで丁度よいです。
では、6問を改めて、眺めて下さい。
1分も勉強しなくても、成績が上がる方法がある
入試の攻略作戦に関して、最も大切な考え方は「どの問題に手を出し、どの問題に手を出さないか」です。
普段、授業では一つ一つの問題に対して、満点解答を作る訓練ばかり受けると思いますが、入試の受験中には逆の考え方、すなわち「どの問題を解かないか」が必要になります。
この時、最も警戒すべき問題は「時間をかければ解けそうな問題」。
取り組み始めて「あっ解けそうだ」となったら、そのまま解き進める人がほとんどでしょうが、ワナです。解けば解くほど時間が経つ。
このとき、あなたの頭の中には「もっと優先すべき問題がある」とは思わなくなっています。
時間をかけずに解ける問題を全て置き終えてから、時間がかかる問題に取り組む、という意識だけでもかなり得点が違います。
1分も勉強しなくても、成績が上がる方法があるのです。
第1問を初見で考えること
そんなことを考えながら、6問全体を見てみましょう。
まず第1問
この問題は、解説記事にも書きましたが、カンタンなのであまり書く事はないんですが、一応。
「増減表を書いて、極限を二つ調べれば良いって、何コレ!?
えっ、こんなに簡単で良いの?
与えられた関数は、sinとcosとxが混ざってるな。と言う事は、f’(x)=0が必ず解けるとは限らない。もしかしたら2回微分もあり得るだろう。でも、増減表を書くなら、何度か微分すれば出来るだろう。よほど変な計算が出ない限り、20点もらう問題だろう。」
実際は、導関数で、xとsinxの大小比較をする必要が出てきます。知ってれば簡単、知らなければ(不勉強だけど)微分して証明が必要です。しかし、いずれにしろ、難しくはない。
東大理系に関しては、異例な簡単さなので、初っ端から手を出して良い問題でしょう。
第2問を初見で考えること
次に第2問です。
「数列があるけど、コンビネーションと階乗の比か。あまり見た事はないな。
(1)では、anとan-1を既約分数で表すときの分母と分子か。分母も分子も、たくさん約分すれば、出来そうだ。
既約分数ってことは
分母と分子が互いに素になるんだけど、これはどうだろう。簡単か、難しいか、計算してみないと難しいな。」
(1)はこんなところでしょうか。
実際は、分母と分子を互いに素である証明をするのが、やや難しいのですが、既約分数の条件にご注意を。
(2)では、
「整数となるnを全て求めよか。(1)をどう使ったものだろう。分母が消える時を考えるんだろうか・・・?」
既約分数の条件から、分母と分子は互いに素です。ということは、分母が消えるには分母が1にならなければならないような気がしますが、こんな路線で考えても答えが出ます。
解説記事では、文系の問題のように解いていますが、解答を思いつくのはヤヤ難しいような気がします。
初見で、パット見で解法を思いつく人は多くないでしょうから、一旦飛ばして良いでしょう。
第3問を初見で考えること
では第3問
図形が絡む問題ですから、(キレイでなくて良いので)図示。
点Pや点Qをパラメータで表すと、文字定数が3個も登場することに気付きます。
ここで、一旦手が止まるでしょう。
「???えーと、点Pが動いて、点Qも動く。そしてkも動かさなきゃいけない。どうやって領域を書けば良いんだ??」
ここで他の問題に移る人も正解ですし、もう少し方針を考えてから飛ばすのでも正解。
求める面積がS(k)ですから、kを固定して、他のパラメータを動かすことに気付ければ筆が進むのですが、難しければ
ストップで。
第4問を初見で考えること
第4問
これは、筆を薦めたくなる問題。何せ、条件がシンプルです。
「条件1では、3次関数があって、y=bと3点で交われば良いのね。これは、bが極大値と極小値の間にあれば良いな。
条件2は、真ん中の解が1より大きいのね。ということは、bの場所を上手く調節すれば良いから・・・。」
と、早い人は問題文を見てるだけで、答案の最後までイメージ出来るでしょう。
もちろん、そうなったら第1問と同様、即20点を取りにいく問題。
第5問を初見で考えること
第5問
第5問は複素数。
複素数平面という時点で、難しくて敬遠する人も多いでしょう。
解説記事にも書きましたが、複素数平面は便利すぎて解法が分岐し過ぎます。
「点Pが円の上にあって、接線を引くと。そして点Aを対象移動か。式はすぐに分からなくても、zを色々変換していけば、何とか出来そうかな。」
というくらいに思えれば及第点。
実際は、円の接線の方程式を複素数平面で表すと言うより、図示しながら柔軟に考えて複素数表示する問題。
間違えなければキレイな答えが出るというのも嬉しい設定。
(2)でも、基本を積み重ねる姿勢は踏襲。
「zの実部が1/2以下だから、cosθ≦1/2で、θの範囲が出るな。
求めるのはwの軌跡だから、(1)の最後の結果を使いながら、wを表現するんだろう。」
w=x+yiとおくと解ける問題でしたが、置かなくても軌跡が求められるパターンもあるので、複素数平面は厄介。
いずれにしろ、優先順位は低めで、余った時間で考えるのが得策ではないでしょうか?
第6問を初見で考えること
第6問
東大が大好きな空間図形。
これも図形の問題なので、適当に図示しながら頭を使う。
「球が3部分を転がる問題ね。共通部分の体積を求めるってことは、平面で切断し、切断面のカタチを考えるだろうな。
(1)は交わるtの範囲を求めて図示ね。これはy=tを代入しながら、図を描く問題だろう。方針は分かるから後は丁寧に図を描けば出来る!?
(2)は、V2がV1かつV3を含む問題か。(1)の最後に描いた図を使ってV2を登場させれば出来そうだ。
(3)は、なんだこりゃ。V1がSで、V1かつV2がTで、それしか定義されてないのか。うーん、これは見た事ないな。
(4)は、明らかに(3)の誘導問題か。これはやってみないと解けないかなぁ。
あと、小問が多いから、時間をかけて解いた割に、点数のバックが少ないな。(1)は多く見ても配点は5点だろうから、あまり深入りしても得点は伸びないし、適当な所で切り上げるかなぁ。」
と言った感じ。
ここまで冷静に読めれば、すごいものです
問題としてはすごく面白いんですが、入試として出てきたらイヤな問題ですね。
優先順位は低めで良いのではないでしょうか?
難易度や作戦の案
こんなことを考えながら、6問に手を付けていきましょう。
作戦の概念を持たずに取り組むと、
「東大模試でずっと1位を取り続けても、本番で第1問から解き始めて不合格になる」
なんてことが起きても不思議ではありません。
私の主観ではありますが、各問題の難易度と、希望得点コース別のお勧め配分です。
とにかく、第1問と第4問でどれだけ得点を稼げるかがポイント。
50点コースでも得点を散らしてみましたが、第1問と第4問でほとんど得点を取り、他は0点近くでも50点になりますからね。これもアリ。
受験数学の業界では、一問ずつの解説はするけど、一年分の問題を並べて解説することがほとんどありません。だから、まだまだ未熟な業界だと思っています。
確かに、1問ずつ解説して、難しい問題が解けるようになったら、先生も教えた気になりますし、生徒も出来るようになった気がします。しかし、本番で通用するかどうかは別問題。
一問ずつしっかり解説を聞いた上で、取捨選択する力も同時に養うことを強くオススメします。
明日は合格発表
明日は合格発表ですね。
僕も、ドキドキしながら発表を待ったことを思い出します。
ネットで見る方と、掲示板で見る方、両方いるかと思いますが、どうぞ良い結果が待ってますように。
僕も正午前くらいを目安に本郷キャンパスに行きますので、見かけたら「お、いるな」と思って下さい(笑)
声かけてくれても大丈夫です。
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第1回:同じ、違う、順番の3つだけで論理思考がマスター出来る
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