【読解をしよう!④】和訳は、不自然な日本語で書こう!

読解の基礎中の基礎を解説している、この読解をしようシリーズ
今日は、これまで雰囲気で伝えてきた読解と和訳(現代語訳)の違いを明確にしようと思います。
 

「読解とは何か」を学ぶ機会が少ない

 
まあ、正直言ってですね、先生をやっていれば常識なんですけど、生徒にとっては非常識。そして、生徒は何となくそういうことなんだろうな~と、勘を働かせないと気づけない領域です。
そもそも読解とは何か、和訳(現代語訳)とは何かという事を、ちゃんと教えてくれる環境はとても少ないみたいですね。
僕の生徒も、きちんと教えると、目を丸くしてます。
 
では、今日のお話は、日本中の中学生が感じたことがあるであろう、モヤモヤっとした部分から入ってみましょう。
 
 

実際の文章を見てみよう

 
下の英文を和訳してください。
I often play baseball.
 
はい。簡単ですね。
私はしばしば野球をします。
と訳せば、満点がもらえます。
 
しかしですね、「しばしば」なんていう日本語を使う中学生はいません。中学生はおろか、誰も使わないといってよいレベルで、ほとんど耳にする日本語です。
今の日本で使われてる言葉でいえば、「よく」とか、「しょっちゅう」とか、「頻繁に」とかでしょうか。もちろんこういう言葉を使って書いても満点がもらえるでしょうけど、「しばしば」も残っている。
 
僕が中学生の頃は、意味を知らずに(疑問も持たずに)「しばしば」と書いて丸をもらってましたね。ある日突然、先生に質問して、初めて意味を知ったような気がします。
 
 

では、自然な日本語に直してみると…?

 
先ほどの英文を
私はよく野球をします。と改めたとしましょう。
 
だいぶ、自然になりましたけど、まだこの通りしゃべる中学生はいませんね。
シチュエーションを限定したらあり得るかもしれませんけど、不自然。
 
今の中学生用語に直したら「よく野球やるよ」とか、「けっこう野球やるよね」とか、砕けた感じになりますね。
 
でも、「よく野球やるよ」と書くと、満点はもらえなくなります。
なぜなら、「I」を訳出せず省略しており、訳出忘れの判定になるからですね。
 
このようにですね、和訳というのは、普段使っている日本語かどうかとか、自然な日本語かどうかとか、そういうのはどうでもよいのです。
 
 

和訳問題には何が求められているのか

 
では、和訳問題というのは何かというと、
和訳問題というのは、中学が高校で教科書の指導要領に書いてある、英単語の用法とか、英文法の用法、英文の構造の用法などの教えるべき項目が、しっかり理解できているか判定する問題です。
 
そこに、自分なりの表現は不要ですし、自然な日本語でなくてもよい。
「私はちゃんと英文の構造を理解できてますよ、単語の意味を知ってますよ、文法も見抜いてますよ」、と回答用紙にアピールするのが、正しい作業です。
 
だから、often を「しょっちゅう」と和訳するよりも、「しばしば」と訳出したほうが、「あ、こいつ、often の訳をしっかり勉強してきたな」とはっきりわかります。
だから、和訳としては正しいのです。
「しばしば」なんていう日本語、もはや「often」の訳語としてしか存在してませんからね。
 
しかしこれと読解とは、まったく別問題です。
「I often play baseball.」という英文を見て、「私はしばしば野球をします。」という意味かととらえるのは、和訳であって読解ではありません。
 
では読解とは何か?
次回以降に書きましょう。
 
 
 

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