【読解をしよう!⑥】リード文「次の文章を読んで、後の設問に答えよ」から、何を読み取るか?

 
読解をしようシリーズの続きです。 
 

読解力には3つの段階がある

 
「読解力」という言葉をよく聞きますが、ちゃんと定義されていないし、どうやったら身に付くのかも不明という意見をよく聞きますので、せめてこれくらいは理解してほしいと、書き進めております。
 
僕が普段、授業で使っている用語ではありますが、文章を読むうえではレベルが3段階あるのです。
すなわち、
レベル1、和訳や現代語訳
レベル2、精読
レベル3、読解
の3レベルです。
 
この3つには、明確に境界線があって、全く異なる作業です。
和訳や現代語訳というのは、現代日本語の言葉に置き換える作業のことです。
国語の現代文は、既に現代日本語で書かれているので、問題になることはありませんね。
 
精読は書かれている内容の意味を正確に掴む作業のことです。文構造を掴み、文法的に解析して、単語の意味を正確に掴み取る作業ですね。
 
そして、普通はここまでしか授業で教わりません。だから、読解の授業と呼ばれているのは、僕からしてみると精読の授業です。
 
では、僕が使っている「読解」という言葉には、どのような意味かと言うと、文章に書かれていない内容を読み取ることです。
 

問題を見てみよう!

 
と言っても良くわからないでしょうから、今日は練習問題を用意しました。
下の画像は、2016年の東大入試の第一問の、リード文です。
 
 
まあ、何の変哲もないリード文ですね。
「次の文章を読んで、後の設問に答えよ。」と書かれています。
 
レベル1の和訳は、既に現代日本語になってるから、行う必要はナシ。
 
レベル2の精読は、簡単。この後に続いている文章を読んで、さらにその後に書かれているだろう設問に答えれば良いんだな、と理解出来ればOKです。
 
では、レベル3の読解をしてみましょう。
さあ、このリード文から、書かれていない事を読み取って下さい!!
 
~thinking time~
 
 
どうでしょう?読み取れたでしょうか?
 
本文が書かれてないんだから、何も読み取れないじゃないか?と思ってはいけません。ちゃんと出題者の意図が隠れています。
 
わかり易くするために、同じ年の東大入試の、第二問のリード文を見てみましょう。
 
 
 
さあ、どうでしょう。
第二問の方が長いですね。そして、精読も可能です。出典や、書かれた時代、登場人物の呼ばれ方などが書かれています。
これは何故かというと、本文だけ読んでも登場人物が掴めなかったり、人物関係が掴めなかったりするから、ヒントとして受験生に伝える必要があるからです。
要するに、このリード文の情報がないと、本文が正確に読めなかったり、設問に答えられないということ。
 
と言う事は、今日のクイズの第一問のリード文は情報が少ない、というか「情報が一切ない」と言い換えても良いでしょう。
つまり、「本文をしっかり読めば、特に補足のヒントなしで解けるように作られているんだな」という情報が読み取れます。
これが、読解。
 

読解は、書かれていないことを読み取る作業

 
多くの受験生が、リード文なんて読み飛ばしちゃいますが、出題者は細かいところまで気にして問題を作ってますから、こういう所から意図を読み取っていくのは、かなり大事なことです。
文章に書かれていないことから、情報を読み取っていく作業は、受験の読解だけでなく、社会に出てからも非常に大切な力です。
 
読解力がない方は、文章に書かれていないことを、いかに読み取るかという視点で文章に触れていくと、徐々に出来るようになりますよ。
 
 

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