【読解をしよう!⑦】国語の現代文を解く際に、本文を読むより前にチェックすべきポイント
読解をしようシリーズも段々と深い内容に入ってきました。
文章は読んでも、読解力がなかなか身に付かないという方のために、
入り口として「読解とは何か?」を理解してもらうために書いております。
とにかく何度も書いてますが、一歩目は「文字に書いてある事以外の情報を読み取ること」です。
その文章が書いてある意図、何を主張したいのか、文中でどういう意味を持つのかを、頭を使って読み取りましょう。
前回は、リード文からでも情報が読み取れるという事を書きました。
前回の記事はこちら↓
「リード文なんて読み飛ばしちゃう」という生徒もよくいるのですが、リード文はヒントを与えるために書かれているものですから、大いに活用しましょう。
実際に問題を見てみよう
では、今日から実践編として、2017年のセンター国語の現代文の問題を利用して、読解の練習をしていこうと思います。
まずは、問題文(設問を除いた部分)を掲載します。
文字は読まなくても良いので、画像として眺めて下さい。
さて、本文の内容を読まず、さっと目を通しただけで読み取れる情報がたくさんあります。
本文の読解は、いわずもがな大切なのですが、本文を読む前にすべき作業がたくさんあります。こういう細かい作業を怠らず行う事が、非常に大切です。
文章を読む前にわかるもの
まず、本文の長さが分かります。
最近のセンター試験の国語の問題は、本文の長さが4ページちょっと。5ページ目に入ってから半分以内くらいで収まる分量なことが多いです。
見開きで言うと、2回めくって、視線が右の方に向いている時に、本文が読み終わります。
つまり、本文の文字を一文字も読まないうちに、例年と同じ分量だということが分かりますね。
※2016年のリカちゃん人形の問題だけは、4ページ目で終わってます。
そして、注釈の量。
半ページ以上ありますから、本文中に知らない言葉が色々と出てくるだろうと。
何度も注釈のページをめくる事になるわけですから、神経質な人は冊子の端っこを折っておいて、めくり易くしても良いかもしれませんね。
あとは、傍線部の数でもわかります。
漢字問題が(オ)までで、読解問題に絡む傍線部がDまでありますね。
これも例年と同じです。
漢字問題は、ずっと前から5問ずつ出題されてます。僕が現役生の頃も5問でした。
対して、漢字以外の問題は、少しずつ変わってきています。
例えば、近年では傍線部以外に、文章の表現技法に関する問題が登場していますね。これは傍線が引かれずに答える問題です。
ここ数年は、傍線部がDまで引かれていて、最後の1問は傍線が引かれず表現技法などを答える問題が出題されています。
つまり合計5問でした。
しかし、2015年は傍線がCまでしかありません。
つまり、傍線部を答える問題が3問で、代わりに「文章全体を踏まえ、「啓蒙」という行為に対する筆者の考えをまとめたものとして最も適当なものを選べ」という出題がありました。
特に「文章全体を踏まえ」て答える問題は、注意しなければなりませんね。
文章を読んでいる最中に「啓蒙」に関わる部分に注意しながら読まなければなりませんから。
というように、傍線部の数でも、読み取れる情報があります。
文章を読んでみて分かるもの
それでは、やっと文字を読んでみましょう。
まずはリード文を読んで下さい。2002年に刊行された科学論の一節だそうです。
少なくとも3つの情報を読み取って下さいね。
まずは、「2002年に刊行されている」こと。
今から15年ほど前です。最新の文章ではないですね。
まあ、でも大学受験の国語の問題では、2002年だろうが、2010年だろうが、2016年だろうが、あまり違いを意識する必要はないような気もしますが。
次に、最も大切な「科学論」だということ。
これだけで内容が分かるわけではありませんが、少なくとも文学の話とか、民族の話ではない事がわかりますね。
でも、現代文の入試で題材にされる文章では、科学が絶賛されることは、ほとんどありませんね。
科学のせいで環境が破壊されたとか、人間の相互理解が出来なくなったとか、伝統的な文化が失われているとか、悪者にされることが多いです。
今回の文章がどういう内容かは別にして、科学は可哀想です。
最後に「一節」だということ。
つまり、この文章は抜粋です。もっと長い文章があって、一部を切り取っているわけですね。
だからと言って、これも受験生が特に気を付けなければならない点はないと思いますが、もしかしたら注釈なんかで、補足されてるかもしれませんね。
本文のタイトル・著者も確認!
さて、最後に、本文のタイトルと著者を見て下さい。
小林傳司さんの書いた「科学とコミュニケーション」だそうです。
ここで小林さんの事を知っていたら、本文の内容も予想出来ますね。知らなければスルーするしかないですが。
また、「科学コミュニケーション」というのは、文章のタイトルですからね。これは大変重要です。
詳しい内容が一切分からなくても、科学の関する話と、コミュニケーションに関する話は絶対に登場します。
ちょっと想像をすれば、電話やインターネット、SNSの話なんかが出るかもなと予想する事も出来ますしね。
ということで、本文を読む前に、色々な情報が読み取れます。
たくさんあるなぁ、と思うかもしれませんが、何のことはない。ものの10秒くらいのことですよ。
軽~く視線を流しながら、パラパラめくるだけですから、それほど時間がかかるものではありません。
細かくて地味ですが、こういうところから「読解」は始まっています。