2015年東大文系数学(第3問)入試問題の解答(答案例)・解説(円と直線が接する条件、角度を設定、相加相乗平均)
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2015年 東大文系数学 第3問(円と直線が接する条件、角度を設定、相加相乗平均)
東大で大好き♪図形と座標の問題
問題文が長いような気がしますが、ほとんど図の説明です。 問題自体は非常にシンプルです。 こんな風に平面図形が与えられて、最小値を求めよだの、面積を求めよだのっていう問題は、路線は非常に単純。 平面図形を見ながら何本か立式して、連立しながら、求める値を計算していくだけです。 こういうの東大好きですね~。
円の接線が登場すると、パターン化しづらい
ただ、この問題の難しいところは、円の接線がたくさんあることですね。 xy座標に円と接線が登場する分野といえば、数Ⅱの「図形と方程式」ですが、この分野って先生でも解法を整理して教えるのが結構難しいんですよね。 特に、円と接線が絡む問題は、パターンが分岐しまくってて、受験生も混乱しがちな所です。本当はこの辺りを整理して書きたい所ですが、そこまですると大変なので、別に機会に任せます。
セオリーが通用しない
そして、さらに難しいところは、セオリー通りに解いても通用しないところでしょう。図形と方程式の分野で登場する条件を駆使すると、計算が複雑になりすぎて途中で挫折します。 僕も、何とか解法を提案出来ないかと、あれこれ計算してみましたが、どうにもこうにも、解説するに値する解法が見つかりませんでした。 なので、ちゃんと勉強してきた受験生ならば、一度セオリー通りに解いて挫折して、方針転換してから正答に辿り着く問題です。一応、セオリー通り解いたらどうなるかというのを、書いてみましたので、読んでみて下さい。。
2015年東大数学 文系第3問 補足_000176文字でまとめると、 ①円と直線の接する条件は、「判別式が0になる」か、「直線から中心までの距離が、半径に一致する」のどちらか。 ②2円の接する条件は「r1+r2=中心間の距離」 これに加えて、直線と中心を結んだ線分が直交する条件を組み合わせることによって、「同一点で同一直線に接する2円の条件」を作っています。 このまま計算すると、複雑な式が出てきて困って終わります。 しかし、セオリー通り勉強してきた受験生ほど、正解を導くために必要な挫折であって、壁にぶつかったからこそ方針転換を考えられるわけです。
発想を広げて、平面図形を思い出そう
さて、少し発想を広げて、セオリー以外に何か条件がないかと探すと、円と接線が登場する分野として、数Aの「平面図形」が思い出せますね。 良く見ると、x軸とy軸と直線lという、3直線の間に2つの円がスッポリ入っている形です。 2本の接線に挟まれる円の条件をここで習うはずです。具体的には、同じ長さの線分と、同じ角度が登場するという条件ですね。 この角度に注目して、さらに求めるものが直線の方程式、つまり直線の傾きだという事に注目すると、座標中に角度を設定するという発想になります。 といっても、恐らく一瞬で思いつける方はほとんどいないのではないでしょうか?もちろん、たまたま思いつく事はあるかもしれませんが、結構難しいと思いますね しかし、この発想に辿り着ければ、あまり難しくありません。では、手書きの解答をどうぞ。
2015(3)文数 解説
相加相乗平均は思いつかないとダメ
途中で「相加相乗平均の関係」を、応用的に使う場面が出てきますが、これは思いつかないといけません。 というのも、なぜなら求めるのが、8r1+9r2の最小値です。 最小値を求めには、大きく二つの方法しかありません。 ①グラフを書く ②特殊不等式の利用(相加相乗、コーシーシュワルツなど) このうち、グラフを書くという説はあまり有力ではありません。 r1とr2という、変数が二つ登場しますし、傾きも登場するので微分が通用しないし、通用するように一文字に統一するのが大変そうです。 角度を設定して、三角関数を利用すると、数Ⅲの範囲になりますから、相加相乗が有力候補になります。 なので、東大受験生なら、どこで相加相乗を使うんだ??と思いながら解けるようになってほしいですね。最大最小問題なら、相加相乗は自然な発想です。 ということで、今回の解説は終わりです。