2005年 東大国語 文科第3問(漢文)『庸間斎筆記(ようかんさいひっき)』解答(答案例)

答案例とプチアドバイス

(一)「苟(いや)シクモレバ、簞食豆羹(たんしとうかう)モ(あらは)ルト」(傍線部a)とあるが、どういうことか、わかりやすく説明せよ。【2行】

※実際は書き下し文ではなく、白文に返り点に送り仮名。「苟」と「見」の振り仮名かない。
※[注]〇簞食豆羹—竹の器に盛った飯と木の器に容れた汁。わずかな食物のこと。

答案例:名誉を重視する人でなければ、わずかな食物のような安価な物でさえも譲るのを惜しむ気持ちが顔色に出てしまうということ。

プチアドバイス:「千乗之国」が(普通は譲りたくない)大きなものの象徴で、「簞食豆羹」が(惜しむのが恥ずかしい)小さなものの象徴なので、「名ヲ好ムノ人」と「其ノ人ニ非ザレバ」は対比。

 

(二)「成例」(傍線部b)を、「請」の内容がわかるように、平易な現代語に訳せ。【1行】

※実際は書き下し文ではなく、白文に返り点に送り仮名

答案例:慣例に従って余剰金を受け取るように、桐山に頼んだ。

プチアドバイス:「成例」は「すでに成っている例」なので前例・先例・慣例。古近東西、お役人は前例主義なのでしょうね。

 

(三)「之ラシム」(傍線部c)および「之」(傍線部e)について、「之」はそれぞれ何を指すか、文中の語で答えよ。

※実際は書き下し文ではなく、白文に返り点のみ

答案例:c 一吏  e 三千金

プチアドバイス:この設問で間違った人とはまだ出会っていません。もし間違えたら、大いに反省を。

 

(四)「晩春申故里ルニ、饘粥(せんじゅく)ガズ」(傍線部d)を、「饘粥不継」がどういうありさまかを示すのかがわかるように、平易な現代語に訳せ。【1.5行】

※実際は書き下し文ではなく、白文に返り点と送り仮名
※[注]饘粥―かゆ。

答案例:桐山は晩年には故郷の春申に住んでいたのだが、かゆも毎食は食べられないほどの貧乏な暮らしだった。

プチアドバイス:具体的な状況に線が引かれて「どういうことか〔ありさまか〕」を問われたら、抽象化を求められています。何を象徴しているのかを考えることは東大漢文において大切です。

 

(五)「今レバ、桐山賢ハザルベケンヤ」(傍線部f)とあるが、なぜそう思ったのか、全文の趣旨をふまえて、説明せよ。【2行】

※実際は書き下し文ではなく、白文に返り点と送り仮名。

答案例:桐山の、高額な余剰金を受け取らない清廉さや、卑しさを妻から指摘され素直に認める度量の大きさは、わずかな金品で争う今の時代の人達よりも立派だから。

プチアドバイス:少なくとも公の余剰金を受け取らなかったことは書きたいですね。

 

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