2000年 東大国語 第2問(古文)『成尋阿闍梨母集』解答(答案例)

はじめに

かなり難しめの年です。
(鉄緑会の『東大古典問題集』によると難易度「5」)

この前年(1999年)までは、
文科は大問が7つ(現代文3つ、古文2つ、漢文2つ)で、
理科は大問が4つ(現代文2つ、古文1つ、漢文1つ)でしたが、
この年(2000年)からは、
文科は大問が4つ(現代文2つ、古文1つ、漢文1つ)で、
理科は大問が3つ(現代文1つ、古文1つ、漢文1つ)となりました。

ちなみに翌年の2001年だけは、古文の大問が文理異なる出典の作品になっています。
(文科は難易度4の『栄花物語』で、理科は難易度2の『神道集』)
2000年理系受験者の古文の成績が著しく悪かったからかもしれません。

解答例(答案例)とプチアドバイス

(一)傍線部ア・ウ・エ・オを、わかりやすく現代語訳せよ。【各1行】

ア 心もなきやうにて、いづ方(かた)西なども覚えず。

答案例:私は正気も失った様子で、どちらの方角が成尋が行く中国がある西かなどもわからない。

プチアドバイス:「わかりやすく」という条件付き問題なので、突如「西」とあることへの補足が必要。唐土に行く息子のことを気にしているので、「極楽浄土のある西」だと△。

 

ウ 浅からぬ心を汲(く)みて守りやらなむ

(直前の初句・二句目:船出する淀の御神も)

答案例:息子を心配する浅くない親心を汲み取って、中国に行く成尋を守ってやってほしい。

プチアドバイス:補足は2か所。「何が」浅からぬかと、「何を」守って欲しいのか。

 

エ あさましう、見じと思ひ給ひける心かな。

答案例:驚き呆れたことに、私に会うまいと思いなさった成尋の心だなあ。

プチアドバイス:補足は2か所。「何を」見じと、「誰の」心か。

 

オ この人のまことにせんと思ひ給はんことたがへじ

(直後:など思ひしこと)

答案例:この成尋が本当にしようと思いなさるようなことを妨げるまい。

プチアドバイス:引用の助詞「と」「など」の直前にある助動詞「む」や「じ」は意志の可能性が高いです。意志から訳してみましょう。

 

(二)傍線部イを、事情がよくわかるように現代語訳せよ。【各1.5行】

イ:夜中ばかりに詣(ま)で来つれば、返す返す静心(しづこころ)なく

(直前:参らんと思ひ侍れど
(一文後:「やがて八幡と申す所にて船に乗り給ひぬ」と聞く)
〔注〕○八幡——京都府南西部の地名。淀川に面し、石清水(男山)八幡宮がある。

答案例1:私は夜中頃に八幡宮に参詣に来たので、母上のもとに参上できず、本当に気持ちが落ち着きません。
答案例2:私は夜中頃に八幡宮に参詣に来たので、本当に心慌ただしく、母上のもとに参上できません。

プチアドバイス:傍線部直前の逆接(已然形+ど)に注目!また、注記の説明のうち、二文目以降は設問に関わりやすいです。

 

(三)傍線部カはどのような作者の心情を述べたものか、説明せよ。【各1.5行】

カ:かかることもいみじげに泣き妨げずなりにし、この日ごろの過ぐるままにくやしく

答案例:成尋が中国に渡航することに対して、激しく泣いて妨害すればよかったと、日増しに後悔する心情。

プチアドバイス:過去の助動詞「し(「き」の連体形)」がポイント!
また、「ままに」の訳を漏らす方が多いので注意。

「ままに」〈➊~に任せて ➋~とおりに ❸~につれて〉など。
今回はここ数日を過ごすにつれてなので❸。
用例:➊徒然なるままに ➋思いのままに ❸行くままに

 

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