国語5月②古文2004年度『庚子道の記』
こんにちは、スタッフBです。
今回の国語は古文を扱いました。2004年度の『庚子道の記』の問題を事前に解き、答案を共有して授業中に指摘しました。
ジャンル別読解のポイント
説話は、章末に作者の説きたいことが書かれている。
評論文、随筆も章末に主張がある。
日記、随筆、物語で主語がない場合の謙譲語は作者。
出典の傾向
東大入試は随筆なし。
センター試験は物語がほとんど。
目だけで読まない。作業する。
登場人物を囲む。セリフや和歌は話者をメモ。
セリフ・心情に「」をつける。
を、に、ば、が、ど にスラッシュ。主語が変わりやすい(鬼がドバ!はスラッシュ)。
リード文は本文より重要。
傍線部は当然品詞分解する。
主語把握のコツ
古文常識、鬼がドバ、敬語、出典のジャンル、前後関係との矛盾。
詠嘆の終助詞
かな、な、は、も(もは万葉集など上代の作品のみ、出題されない)
記述で差がつくポイント
傍線部を品詞分解し、品詞は基本的に変えない。
単語の語釈が複数あれば、文脈に適したものを選ぶ。
本文のままではなく、言い換える。
理由を問う問題では「なぜ?」を繰り返して解答を導く。
不確かな情報は無難な言い回しで表現する。
とある生徒の答案、それに対するコメント、問題全体へのコメントをまとめました。
ア
仰々しいほどに瓶に差し
瓶は、アピールのために「花瓶」とすると良い。
オ
昔よりだいぶ成長して
「まさり」の訳出は難しい。美しく育ったことを表現する予備校が多いが、「だいぶ」など度合い表現しても良いのではないか。
「いつか」は「いつしか」とは異なる。
「いつしか」は「早くも」の意。
「いつか」は「いつのまにか」の意
カ
妹の方から出てこようとするも遠慮していたのだろうか
「こよう」で「ん」を意思で訳しているが、文中なので婉曲。
「遠慮していた」では完了である。「けむ」は過去推量であるから「遠慮した」が良い。
ク
亡くなった母の面影があって、驚くほど似ていらっしゃるようだ
「侍り」が訳せていない。「面影」は「容貌」と訳すべき。「に」は断定で訳しており、誤り。
最後の「は」詠嘆が訳せていない。
イ
7年前に親兄弟と別れたことを思い出して悲しいが、数日後には会えると思うと嬉しかったから。
悲しいと嬉しいを並列させたことは良くない。
そもそも書くならば「悲しかった」ではないか。
「親はらから」は「家族」「親族」と書くのが良いのではないか。母は死んだし、父親は出てこない。
ウ
道を様々な身分の者や馬、牛車が行き交っており、賑わっている。
2行問題だが、短い。
「袖をつらね」を訳していない。「大勢」と入れるべき。
リード文に書かれていることは重要である。それを踏まえると、「江戸」と表記するべきである。
エ
人々で賑わっている様子を見て、ずっと離れていた江戸に近づいていることを実感したから。
何が賑わっているのか?
「ずっと離れていた」は「7年」と具体的にすべきではないか。
「江戸に近づいていることを」は、すでに江戸に帰ってきているので減点されるのではないか。
「昔と変わらない」様子を示すべき。
キ
尾張からやってきた女性の妹が、姉と会う心の準備を心得なかった
事実誤認があるため点数はない。
「やってきた」は不適切。「帰ってきた」とすべき。