2022年東大英語(第4問B 英文和訳)入試問題の解答(答案例)・解説

東大の英文和訳(他大学との比較)

多くの学校や塾では、この4B英文和訳の授業を得意としています。
理由は教えやすいからです。
低学年のうちから学んできた英文法の授業との接続が容易で、学生にとっても構文の取り違えなどのミスを把握するのが容易で、かつ、指導するのにも労力がかからず莫大な時間もかからないので50分授業にはちょうど良い量だからというのが理由として挙げられます。
それゆえ、4Bには自信のある東大受験生はかなり多い印象です。

そうした受験生に良い気持ちで問題を解いて欲しくない予備校は、東大模試の4Bを東大入試以上に難解なものにしがちです。
そこでタイムロスさせることで、焦って問題を解かせることが一つの狙いになっています。
このような性質の英文和訳ではありますが、大学教授の出題意図はどこにあるのでしょうか。

英文和訳の問題を作成するにあたって、出題者は主に4つの切り口を考えます。

1つ目は、受験生の構文解析能力(文法力)。

2つ目に、語彙力(多義語力・熟語力)。

3つ目は、前後の文脈把握能力(傍線前後の文章をしっかり読み解いた上で、複雑な下線部で言わんとすることを合理的に推定する力)。

そして、4つ目は、日本語能力です。

この4つの要素のいずれに力点を置くかを問題作成者は吟味検討します。そうして、問題がつくられていくわけですが、大学ごとに比重を置く項目が異なり、それに合わせて問題のクオリティも変わってきます。

たとえば、一橋大学では

Instead of accepting each other as equals on the basis of our common humanity as we might in more equal settings, measuring each other’s worth becomes more important as status differences widen.

といったように、構文解析能力や文脈把握能力を高く要求する問題を出題するわけです。複雑な構文ゆえに、日本語にも訳しづらく、試験時間内にうまく表現する能力が高度に求められるわけです。

大阪大学であれば、

the sound of “blue” will likely have no relationship to the properties of light we experience as blue nor to the visual written form “blue,” will sound different across languages, and have no sound at all in signed languages. No equivalent of “blue” will even exist in many languages that might make fewer or more or different color distinctions.

といったように、文章量も多く、こなれた日本語に直すのも一苦労です。
当然、この手の問題には多くの時間を割かねばなりませんので、出題問題数もあまり多くはなく、英文和訳の全体に占める配点も大きくなるわけです。
大学側としては、英文和訳の問題を通じて、受験生の英語と日本語の言語能力を試そうとしているわけです。

その一方、東京大学はどうでしょうか。

Now this government that had punished them in the past for speaking their own language was asking them to use it to help win the war. (2015)

The only concession she’d made to her age was a pair of hearing aids.(2009)

I am not inclined to talk her out of it(2003)

ざっと挙げてみましたが、正直、構文レベルは高校の中間期末テスト程度でしょう(もちろん、文法を疎かにして良いわけではありません。仮定法などは東大でも頻出ですし、そのあたり最低限の知識はインプットすることが求められます)。

では、東大が主に要求していることはなんでしょうか。
大別して3つあると思いますので過去問探究を通じて分析をしてみましょう。

2022年の4B英文和訳

さて、2022年の4B英文和訳の話に戻りますが、基本的には読みやすく、特段難しい構文解釈を求められる設問はありませんでした

ただし、平易な単語を使っているからといって、容易に訳せるわけではありません
ここが東大4Bの難しさであり、文法や単語を機械的に覚えているだけでは突破できない壁でもあります。

また、処理量の多い東大英語にあって、ゆったりと解いている時間はありません。
スピーディーに4Bを仕上げることは必須であり、できれば10分以内に、可能であれば7分程度で解き終わりたいところです。
15分以上かけている受験生がそこそこいますが、他の大問に影響が出ますので、なるべく早くに解けるよう、過去問を用いて訓練をしていきましょう。

構文が弱いのであれば、構文解釈系の本をサクッと仕上げるのも良いでしょう。
ただし、あまり難解なものを投じる必要はないと思います。

なお、演習に際しては、できましたら模試の問題ではなく、過去問をお使いください。
東大模試が役立つのは、3と(4A)と5くらいだと思います。

もちろん、どんな問題でもすらすら解ける真の実力が身につけば良いでしょうが、限られた時間で他科目もやらねばならないなか、あれもこれもと手を出すのはリスキーです。
東大に受かりたいわけですから、まずは東大の先生がご作成された過去問を重視しましょう!

せっかくですから、合格者の答案例をご紹介いたします。

設問(ア)の答案例

設問(ア) 下線部を和訳せよ。ただし、”so”が指す内容を明らかにして訳すこと。

One year, as the school library supervisor, I was in an elementary school library that had begun circulating books on the first day of school. I was helping at the circulation desk. One fourth grader asked if he could have a specific book. “Of course!” I said. He didn’t think so, as his teacher had told him to check out a book with a yellow label.

Aさん 彼は自分で選んだ本を借りられるとは思っていなかった。というのも、先生が黄色い札のついている本を借りるよう彼に言っていたからだ。

Bさん 彼は特定の本を借りられるとは考えなかった、なぜなら教師が彼に黄色のラベルがついた本を借りるよう命じていたからだ。

いかがでしょうか。
お二人ともポイントをしっかり示せていますね!
Bさんの「特定の本」よりは、Aさんの「自分で選んだ本」や「自分が借りたい本」の方が個人的には好きですが、Bさんの書き方でも問題はないと思います。

設問(イ)の答案例

では、設問(イ)を見ていくとしましょう。

設問(イ) 下線部を和訳せよ。

I imagine this scenario ー in which children must choose between books based on instructional priorities and those they want to read for pleasure ー plays out frequently in school libraries or classrooms. There is a divide between the noble calling to teach children how to read and the equally noble calling to inspire a love of reading. We school librarians dance across this divide daily.

それでは、合格者の答案を採点してみてください。

Aさん 子どもたちに本の読み方を教える高貴な仕事と、読書への愛を触発して引き起こさせる、同様に高貴な仕事の間には違いがある。

Bさん 子供達に読み方を教えるという気高い使命と、読書への愛を奮起させるという、それと等しく気高い使命との間には分断がある。

いかがでしたか。御二方ともシンプルにまとめ上げられていると思います。
日本語の違和感もなく、誤字脱字もありませんでした。
divideの訳出は「違い」より「分断」の方が優れているとは思いますが、いずれも許容解ですので満点をいただけると思います。

設問(ウ)の答案例

では、ラストの設問(ウ)に参りましょう。

設問(ウ) 下線部を和訳せよ。

We need to consider how our policies, procedures, and routines inspire children and encourage their

engagement with text, as well as how they guarantee all learners’ rights to intellectual freedom. Reducing choice, whether through labeling, age-related rules, or restrictive policies, is not a strategy that makes children fall in love with books and reading. If our goal is to help learners self-identify as readers, then we must help them make connections with text through practices that celebrate the reading life.

それでは、御二方の答案を見ていくとしましょう。

Aさん 札を貼ったり、年齢に合わせた制限や貸し出し制限を設けることで、選択肢を狭めることは、子どもたちを読書好きにさせる戦略とはならない。

Bさん ラベル付けを通じてであれ、年齢に関係する規則を通じてであれ、制限的な方針を通じてであれ、選択肢を減らすことは、子供達に、本と読書を大好きにさせる戦略ではない。

まず、Aさん。labelingの訳で「札」としていますが、問題ありません。
ラベルを貼るの方が今の日本語にはフィットしていますが、「札を貼る」でも全く問題はありません。
文章中盤以降もしっかり訳出されており、採点官も安心して花丸を与えられたと思います。

一方、Bさんも要素は良いのですが、「子供達、本と読書を大好きにさせる戦略ではない。」の「に」が、日本語として違和感を覚えました。
「を」の方がナチュラルなのかなと思いましたがいかがでしょうか。
その他はパーフェクトに近いと思います。

なお、AさんとBさんは英語で点数を荒稼ぎして合格を勝ち取られた方です。
英語力もさることながら、端的にまとめられる日本語能力が高いと思いました。

東大英語で高得点を取るために英語の勉強を一生懸命にするのは当然なのですが、日本語で記述させる設問が1A英文要約、4B英文和訳、5物語文の3つのパートで平均して7〜8問出題されるわけですから、当然日本語能力も重要になってきます。

特に、この4Bでは、一読して何を言いたいのか分かるんだけど、こなれた日本語で言い表せないことが多くあります
東大文系受験では、全教科で現代文の力が問われていることを先ず認識すべきでしょう。
ちなみに、理系の化学や生物も、もはや現代文と言って良いと思います。
長文を読ませ、記述をさせるところは国語そのものです。
記述である以上、日本語として不自然な箇所や誤字脱字は容赦なく咎められます。
その意味では、東京大学の合格を掴み取りたい人は、まず国語力を磨くべきようにも私は思います。

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皆様の東京大学合格を心からお祈りしております。

(東大第4問B英文和訳対策授業)https://exam-strategy.jp/archives/8131

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