2006年 東大国語 第2問(古文)『堤中納言物語』解答(答案例)

はじめに

『堤中納言物語』の中の「はいずみ」からの出典。
なんと、東大古文1993年に出題された箇所の続きにあたります。

「やや難」なので、易しめの年の過去問が解けるようになってから、チャレンジしましょう。

解答例(答案例)とプチアドバイス

(一)傍線部イ・ウ・キを現代語訳せよ。【各1行】

イ うちそばむきてゐたり。

答案例:少し横を向いて座っている。

プチアドバイス:「さばむく(側向く)」は難易度が高い単語なので、知らなかったらこの機会に覚えましょう。
本文の3行目に「女、待つとて端にゐたり」があるので、「たり」は継続で訳しましょう。

 

ウ 車は、牛たがひて、馬なむはべる」

答案例:車は、牛は予定が合わなくて、馬はあります。

プチアドバイス:「馬車」と書いてしまう受験生がたまにいます。
日本で馬車が普及したのは幕末からです。

 

キ 「ただここもとなる所なれば、あへなむ

答案例:ほんのこの近くにある場所なので、送っていただかなくて構わない。

プチアドバイス男の「送るよ」という提案を拒否する文脈に合うように、言い換えたり補足したりする必要があります。

 

(二) 「泣くことかぎりなし」 (傍線部ア) とあるが、「女」 の気持ちについて、和歌を参考にして簡潔に説明せよ。【2行】

答案例:月でさえ、明るく澄み続けるのに自分が夫の家に住み続けられないとは、予想外だったと暗く悲しむ気持ち。

プチアドバイス:【反語】や【類推】は特に強い心情が出るので、意識したいです。
特に「思ひきや」の部分はしっかり入れましょう。

 

(三)「心ぐるしう思ひ思ひ」(傍線部エ)について、だれの、どのような気持ちを言うのか、簡潔に説明せよ。【1行】

答案例:男の、女を追い出すことを気の毒に思いつつ、避けられない状況をつらく思う気持ち。

プチアドバイス:傍線部前に「いとあはれと思へど」と同情しているので、「心苦し」は自分のことを考えた「つらい」だけだと不足しているでしょう。
「気の毒」あるいは、「気の毒+つらい」の心情ではないでしょうか。

 

(四)「いみじく心憂けれど、念じてものも言はず」(傍線部オ)を、必要なことばを補って現代語訳せよ。【1行】

答案例:女は男の優しさがとてもつらいけれども、我慢して何も言わない。

プチアドバイス:女心を理解できるかを問われているかのような設問です。
別れの直前に男は女に優しくしてしまうことがあるのですが、それは逆に女をつらくさせてしまうんです。

 

(五)「送りに我も参らむ」(傍線部カ)には、「男」のどういう気持ちがこめられているか、説明せよ。【1行】

答案例:女の可愛さに惚れ直し、別れがたく、今後の居場所を知りたいという気持ち。

プチアドバイス:説明問題は直前を意識したいものです。《「あはれ」と思ひて》の心情も大事です。

 

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