2009年 東大国語 第3問(漢文)『梅花無尽蔵』解答(答案例)
目次
はじめに
室町時代の禅僧が作った詩とその説明文から出題されました。
詩と説明文とのセットというと、2001年文科第3問『蘇小小墓』『李賀詩解』もそうでした。
共通テストでも詩と説明文はセットで出されるので、ぜひ訓練として解いておきたい問題です。
答案例とプチアドバイス
(一)「掛壁間逾月、坐臥質焉」(傍線部a)とあるが、なぜそうしたのか、説明せよ。【1行】
答案例:友人に詩や言葉の書き添えを頼まれた絵の意図がわからず、解き明かすため。
プチアドバイス:理由説明問題では直接の理由も添えたいです。
なぜ昼も夜も自問自答したのでしょうか?
(二)「豈非一張琴邪」(傍線部b)をわかりやすく現代語訳せよ。【1行】
答案例:まさに松風の音色で一張の琴を象徴しているようではないか。
プチアドバイス:詠嘆の句形が苦手な人は、訳語から覚えると良いですよ。
「なんと~ではないか」は「~ならずや」、
「なんと~であることよ」は「~なるや」です。
(三)「神廟之片言、頗与絵事合符」(傍線部c)とあるが、ここで「絵事」が指しているものを文中から抜き出して三つあげよ。
解答:梅・(長)松・(一)亀
プチアドバイス:「趙汴・琴・亀」と間違えた人もいると思います。
傍線部を訳すと、絵の方の語を抜き出すべきだとわかりやすいですよ。
傍線部の訳:北宋の神宗皇帝が語ったちょっとした言葉は、ものすごく絵の内容と合致している。
(四)空欄□にあてはまる文字を、文中から抜き出せ。
解答:琴
プチアドバイス:押韻の問題でも、東大らしい難しめの問題でした。
みんなが知っている偶数句末ではなく初句を□にしていますね。
しかも「音」はonだと誤解しがちです。
ルールは隅々まで覚えること、冷静にいろんな熟語を思い出して判断する力が求められています。
※inと読む「音」の熟語は「母音・子音・福音」など。
(五)「此心」(傍線部e)とは誰のどのような心か。この詩の趣旨をふまえて簡潔に説明せよ。【1.5行】
答案例:趙汴の、役人として剛直な一方で、松風を琴の音色に感じる風流な心。
プチアドバイス:設問文に「この詩の趣旨をふまえて」とあるので、実際の趙汴がそうだったかは無関係です。
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