1998年 東大国語 文科第7問(漢文)元稹(亡き妻を偲んだ漢詩)解答(答案例)

はじめに

亡き妻をしのんで詠んだ漢詩。

抽象化する力が求められます。

答案例とプチアドバイス

(一)第三・四句「顧我無衣捜藎篋 泥他沽酒抜金釵」を、「我」と「他」がそれぞれだれを指すかを明確にして、平易な現代語に訳せ。【2行】

答案例:妻は私 元稹の衣が無いのを気にかけて、自分の衣装箱から売れる物を探し、私は妻に酒をねだって、金のかんざしを換金させた。

プチアドバイス:亡き妻を偲んで詠んだ詩です。誰かの評価を「上げる」ために、敢えて誰かの評価を「下げる」ことがあります。
補足せずに「衣装箱を探し」と書いたら、「良き妻」のエピソードにならなりません。

 

(二)第五・六句「野蔬充膳甘長藿 落葉添薪仰古槐」には、(ア)だれが、(イ)どのような行為を、(ウ)どのような心持ちで行ったことが描かれているか。 簡潔に述べよ。【ア0.5行】【イウ1行】

答案例:(ア)元稹の妻が、
(イ)貧しい中、食糧や薪にも困って工夫する行為を、
(ウ)少しも嫌がらずに、夫に心配をかけまいという心持ちで行った。

プチアドバイス:(イ)の抽象化が差がつくポイント!
「野菜ばかり食べ、落ち葉拾いをするような行為」だとNG.
「貧乏」という指摘が必要です。

 

(三)第七・八句「今日俸銭過十万 与君営奠復営斎」には、作者の妻に対するどのような感慨がこめられているか。簡潔に説明せよ。【1.5行】

答案例:貧乏な中、支えてくれたことを感謝し、今の豊かさを共有できないことを悔やみ、十分に弔ってあげたいという感慨。

プチアドバイス:第七句と第八句、それぞれが示すことを書きましょう。特に「裕福になった今」という要素が漏れる方が多いです。

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