2024年東大英語(第1問B 文挿入)入試問題の解答(答案例)・解説

東大英語の陣頭を飾る英文要約とともに第1問の双璧をなす1B文挿入は、得意不得意が大きく分かれる大問の一つだと言われています。
その理由には幾つか考えられますが、1Bに対するアプローチが確立できていないことが大きいのではないかと感じています。
この点、「1Bにはセンスがいる」「パズルのように解けばいい」等とアドバイスをされる合格者の方も巷には多くいらっしゃいますが、気にしないでください。

東大教授がなぜ1Bを要約と同じ第1問に配置しているのか、
なぜ文挿入の問題を出題するのかようになったのか、
それらの意図に気付き、正しい訓練を施せば必ず点数は取れるようになります。

人間に解ける問題であれば、あなたにも必ず解けますし、解けるように出来ています。
この際に大切なことは、必ず東大過去問を用いて訓練することです。
模試は設問数と出題形式だけを似せたものに過ぎません。
コピーは決してオリジナルには勝てません。

なお、2022年〜2023年の東大過去問については、世にも珍しい訓練ドリルと復習ドリルをご提供しております。
解説につきましても、日本一詳しく書いたつもりです。
ぜひエッセンスを貪欲に学ばれてください。

  (2023東大1B実況中継解説)https://exam-strategy.jp/archives/14702

  (2022東大1B実況中継解説)https://exam-strategy.jp/archives/17078

本稿で扱う2024年度につきましては、要点解説ということでライバル達に差をつけられるポイントに絞って解説をいたします。
汎用性の高い解法や、東大英語を絶対的得意科目にするための訓練プログラムをお知りになられたい方は、敬天塾の映像授業と過去問実況中継解説をぜひご活用ください。

それでは、2024年度1B文挿入の要点解説を始めたいと思います。

所感

2024年の1Bは例年よりも読みづらい文章が出されました。
1Bでは珍しいエッセイ調の文章で、大量の注釈が付されているように馴染みの薄い表現が多用されている他、抽象的で分かりづらい言い回しが本文のみならず選択肢の中にも散見されました。
今年度の1A英文要約も東大模試とは比べものにならないくらい難しく、そうしたなか1Bまでもが小難しくなっていましたので、第1問で疲弊した受験生は相当数いたはずです。

ただ、過去問探究をしっかりなさった方であれば、抽象度の高い文章が出されたとしても、即答できる空所が2〜3個は必ずあることや、抽象度の高い問題の時ほど紛らわしい選択肢が少ないことが多いことは経験しているはずです。
今年度で言えば、歯ごたえのある長文だからこそ、ダミーの選択肢が例年より少ない1つとなっており、並べ替え問題の難易度もここ数年では比較的マイルドなものに収まっています。
東大教授としては、あまり平均点が下がってもらっても困るということで、随所に「やさしい問題」を盛り込んでくださってもいます。

この1Bの中にもありますし、今年度で言えば第5問が非常に取り組みやすく満点を取りに行くべき問題となっていました。
このように、どの大問で救われるか分からないのが東大英語の特徴ですから、最初から捨て問をつくることなく、各大問の制覇に向けた対策を早期に実施するよう心がけてください。

思考プロセスの概略

2024年度の1Bは11段落構成となっており、新聞と雑誌の編集過程の違いについて述べられています。
空所の数は5つで、選択肢は6つありますのでダミーは1つとなっています。
これは、例年より少ない数です。

まず、どういう内容の文章かを見定める必要がありますから、第1〜第3段落までは少し丁寧に読みました。
ただ、時間がなければ、映像授業の中でご紹介しているスキミング解法で攻め落とすことも上策です。
そうして読み進めていったわけですが、空所(1)と(2)は瞬殺できました。
ですが、(3)で少し悩み一旦飛ばし、空所(4)は難なく解けました。
そのまま空所(5)に進んだわけですが、ここでも少し悩みます。この時点で残っていた選択肢は3つで、未確定の空所は(3)と(5)でした。
ひとまず(5)から消去法で攻めていき、そののち(3)を最後に解く方針でいきました。
このように、私は(1)→(2)→(4)→(5)→(3)の順番で解いたのです。
そして、最後に並べ替え問題に取り組みました。
ここまでで9分は要しました。
正直、例年よりも時間がかかった方です。

その理由は、本稿の冒頭でも申し上げたように文章そのものが抽象的であったことと、選択肢のe)とf)が言わんとしていることをなかなかつかめなかったことにあります。
おそらく受験生の皆さんは試験会場でかなり焦ったことでしょう。
頭に血がのぼってしまうと冷静に解けなくなってしまいますから、パニックを起こした時には、一旦捨てて、後から余った時間で再度吟味検討する勇気も大切です。

思考プロセスの詳細

まず、東大側が作成した選択肢から見ていくとしましょう。

a) by then, though, I had really started caring about my sentence, and I was worried about the limitations of newspapering.

b) I don’t remember if this was the name of the butcher shop or its marketing slogan or simply a statement of fact, but it doesn’t matter.

c) I learned, over time, that the best magazine editors don’t fear complication but run to it

d) I’m no great sentence maker, but I wantedーand still wantーto try to be one, and I hoped to work for people who wanted me to try

e) it’s impossible to describe, except to say that it contains all the mess of life and that it is written like poetry but in pose.

f) self-distancing, of the sort we see to good effect in professional newspaper reporters, has its place

以上、6つの選択肢が与えられ、本文中の空所が5つですから、1つがダミーだということになります。
ちなみに、2022年はダミーが1つ、2023年はダミーが2つでした。
年度によってダミーの数が異なっています。
今年度の選択肢の特徴として、1つ1つが長いということが挙げられるでしょう。
2023よりだいぶ文字数が増えています。
いつもは、まず各選択肢をざっくりと斜め読みすることから始めるのですが、選択肢e)とf)を読んだとき、「え?どういうこと?」と混乱してしまいました。そうした不安を抱えたまま、本文を読み進めたのです。

それでは、各空所に対して、どのようなアプローチをしたのか申し上げたいと思います。

空所(1)これはサービス問題です。何かワナでもあるんではないかと警戒した受験生もいたかもしれません。

空所(1)は第4段落に位置しています。
この一つ前の第3段落では、何やら気になる広告があったと筆者が語っており、雑誌を書いたり編集したりするのに役立つと言っています。
いったい、どんな広告だろうかと疑問に思いながら、この第4段落に視点を移すと、” All Parts of the Cow“(牛のすべてのパーツ)という意味不明な肉屋の広告文句が現れます。
いったい、何を言っているんだろう?と読んでいて思ったのですが、空所直後の文でも、この文句が新聞と雑誌の記事作りの違いを理解するのに繋がる旨、改めて書かれています。
空所の前後には肉屋の話や、この広告が筆者に大いなる気付きを与えたという記述しかありません。
正直、支離滅裂に思えたのですが、まずは6つの選択肢に目を改めて通すこととしました。
すると、選択肢b)でthe butcher shop(肉屋)という名詞が書かれていて、なんだかこれが答えのように思えたのです。
とはいえ、ワナの可能性もありますから、空所に当てはめてみて慎重の正誤の程を見定めました。
すると、矛盾なく文脈に馴染み、他の選択肢を読んでも、いまいち空所(1)の前後とそぐわなかったので、ここでb)を確定しました。

空所(2)こちらもサービス問題です。連続で分かりやすい設問が来たので逆に不安になった方もいたのでは?

次に、第6段落の冒頭にある空所(2)に視点を移します。
段落の冒頭にあるということは、1つ前の第5段落とも関係がある可能性が高いのでチェックです。
すると、第5段落の最後あたりでは新聞に自分の記事が載ったことにご満悦な筆者の様子が書かれています。
そして、第6段落の初っ端で空所(2)が来て、その直後でWhat I’m about to say is not meant to be a criticism of newspaper or newspaper people.(私が言おうとしたことは、新聞や新聞に携わる人々を批判したつもりのものではない)と釈明の一言を述べています。
第5段落では、新聞に対するネガテイブな表現は見当たりませんから、空所(2)で何らか新聞に対する批判と受け取られかねない言葉が述べられていたと推測できます。
そこで、早速に選択肢群に目を向けました。
新聞への批判っぽいことが書かれているのは、選択肢a)だけでした。
newspaperingという見慣れない表現は少し気になりましたが、選択肢a)で言われているlimitations of newspaperingの中身が第7段落〜第9段落にかけて述べられているのだろうなと考えれば、空所(2)にa)を入れることに矛盾はなさそうです。
よって、a)をこの時点で確定させました。

空所(3)今年度の1Bで最も悩んだ空所でした。一旦とばして、後から消去法で攻めるのも上策です!

幸先よく2問解けたこともあって、テンションが上がっていた矢先、この空所(3)で痛い目をみるのです。
空所(3)のある第8段落では、新聞の限界として、決まり文句に制約があるようなことがつらつらと述べられています。
そうした流れの中での空所(3)なのですが、選択肢群のc)〜f)までを読んでも、どれもピンと来ません。
これが、東大英語で散見される「正解の選択肢は光らない」問題なのだなと思い、一旦飛ばすことにしました。

空所(4)こちらは比較的解きやすいです。(3)を飛ばして(4)に移って良かったと思いました。

空所(3)を飛ばして、今度は第10段落にある空所(4)に目を移しました。この第10段落では雑誌について語られています。
前の段落までは延々と新聞について語られていましたので、ここに来て視点が雑誌に切り替わったわけです。
そうした第4段落の末尾に空所(4)があり、その直後では、” Put it in, put it all in,” is an efficient way to describe this style of editing. Another way to describe it: “All parts of the cow.”と来ています。
第4段落の空所(1)の前後でも見かけた表現がここでも再登場しています。
とにかく全部を入れろと言っていますね。
雑誌の特徴です。
雑誌(magazine)について語られた段落であり、なんでもかんでもブチ込めという内容の文が直後に来ていることと矛盾のない選択肢はどれだろうかと吟味すると、c)が良さそうに思えました。
complicationという名詞がわからなくても、似た形の単語でcomplicated(複雑な)は東大受験生なら知らなくてはいけませんから、そこから意味は類推できたことでしょう。
雑誌の編集者はcomplicationを恐れるな、むしろ突っ込んでいけと述べていますから、直後のとにかく全部をブチ込めという文と親和性があると判断しました。よって、c)を確定しました。

空所(5)う〜ん、締めの1問はなかなか悩ましかったです。(3)と合わせて消去法で攻め落としました。

そして、いよいよラストの第11段落に突入です。
やけに長い段落で面食らった方もいらっしゃったかもしれません。
空所は段落の後半に位置しており、直前では、同僚が書いた雑誌が表彰されたことが書かれています。
そして、空所(5)がやってきます。空所の後ろでは、少し分かりづらい文章が来ていますね。
正直、なんだこれ?と思われた方も多いと思います。
ひとまず残る選択肢はd)・e)・f)の3つですから、見比べることとしました。

d) I’m no great sentence maker, but I wantedーand still wantーto try to be one, and I hoped to work for people who wanted me to try

e) it’s impossible to describe, except to say that it contains all the mess of life and that it is written like poetry but in pose.

f) self-distancing, of the sort we see to good effect in professional newspaper reporters, has its place

まずd)ですが、空所では同僚が表彰されたことが書かれているのに、いきなり、筆者に文才はないけれども、頑張りたいなんていう内容のことが書かれています。
ただ、あまりにいきなりすぎますし、空所の後ろで、筆者が何かを努力したことなんて何も書かれていませんから、d)は候補から外しました。
残るは、e)とf)なのですが、非常にわかりにくいです。
中には、f)にnewspaperと書かれていて、空所(5)の後ろでもnewspaperingなんて言葉が書かれているので飛びついた人もいたかもしれませんが、よく読んでみると、別に空所(5)の後ろで書かれているのは新聞の話ではないですよね。
単語の拾い読みだけで答えを紡ぎ出そうとする受験生に戒めを東大教授は与えようとしていますのでご注意ください。

こうなると、選択肢e)が残るわけですが、まず気になったのは、except to以下です。
おそらく、except to say that〜and that・・・という文構造ですから、となるとit’s impossible to describeはここで文が完結していることになります。
なぜなら、describeを他動詞と考え、その目的語が後ろに来ると考えたなら、exceptという前置詞が邪魔になります。

では、describeの目的語はどこにあるかというと、おそらくitなのでしょう。
これは、俗に言うタフ構文なのだと判断しました。
タフ構文とは4Bの映像授業でも述べましたが、He is easy to read(彼はわかりやすい=感情が顔にあらわれやすい)といったように、readの目的語が主語の位置に来るようなパターンの構文のことです。
タフ構文を取れる形容詞には限りがありますが、impossibleは取ることができます。
では、itが指すものはなんなのかというと、直前に何か単数形の名詞がなくてはなりません。
すると、空所(5)の直前で、we published her story and it won〜とありますから、おそらく同僚が編集した雑誌のことを指していると推測できます。
念のため、選択肢e)を残る空所の(3)にも入れてみましたが、単数形の名詞が直前にはないことに加え、文脈的にもしっくりこなかったので、選択肢e)を(5)に入れることを確定させました。

空所(3)再び空所(3)に戻り考察です。残る選択肢はd)とf)だけです。

さあ、先程いったん飛ばした空所(3)に戻って参りました。
残る選択肢はd)とf)なので、究極の二択となります。
ですが、どちらもしっくり来ません。
まさに「正解の選択肢は光らない」の話ですね。
こういう時は、どちらの方がキズが多いか考えてみます。
まず、空所(3)の直前では、決まり文句というものが重宝されるんだけれども、削られもするとあります。
第7段落では、新聞の場合、決まり文句の数がかなり限定的なものになっていることが懸念点として紹介されていますね。
次に、空所(3)のすぐ後ろでは、2つ目の問題点として、新聞では編集段階で様々なことが削り取られると書かれています。
こうした文脈のなかにもぐりこんているのが空所(3)なわけです。
では、残る選択肢を見ていくとしましょう。

d) I’m no great sentence maker, but I wantedーand still wantーto try to be one, and I hoped to work for people who wanted me to try

f) self-distancing, of the sort we see to good effect in professional newspaper reporters, has its place

う〜ん、正直、どっちもどっちではありますが、f)では、self-distancing(自分を客観的に見つめるという意味ですが、この意味を知っていた受験生は少ないと思います)という言葉が来て、good effectやらprofessional newspaper reportersと来ていますね。
ですが、レポーターの話なんて出て来ていませんでしたし、良い効果なんていう➕の言葉をこの文脈のなかにいれるのはイマイチよくわかりません。

では、選択肢d)はどうでしょうか。
うまい文は書きたいんだけど、今は書けない。
だけど、自分のチカラを求めてくれる人のために頑張りたい的なことが書かれています。
正直、第8段落では浮いてしまうような内容に思えましたが、次の第9段落でも新聞の問題点に触れていながら、中盤にいきなり雑誌編集者の話が登場したりもしているので、この第8段落でも雑誌編集を志望する筆者の決意表明が不意に書かれてもいいのかもしれないと思い、自信はないままに選択肢d)を入れました。

以上より、

(1) b) (2) a)  (3) d)  (4) c) (5) e)

が正解となります。

なお、並べ替えについては

asked an editor if I could describe a particular street as tree-lined but trash-scattered

が正解となります。
細かな解説は端折りますが、一点だけ補足をします。
I once(   イ    )という文ですから、空所の冒頭には助動詞や動詞の過去形(文脈上、時制の一致から過去形が来るはず)がくることがわかります。
その点、選択肢をみるとcould, asked, describeあたりが候補になります。
describeが原形になっていることから、could describeというカタマリがつくれることがわかります。
では、残るaskedの語法を考えてみると、通常、ask 人〜の形を作りますから、人にあたる名詞を探します。
すると、目的語になれそうな名詞はan editorしかありません。
よって、asked an editorというカタマリもできます。
このように、無機質に並ぶ語群を、まずはグループ分けすることから始めるのが並べ替えの鉄則です。
その際、文構造や品詞から絞り込む思考は4Aや5でも求められている能力ですので、基礎の復習を徹底しましょう。

いかがでしたでしょうか。
市販されている過去問集とかなり違った切り口に驚かられた方も多いと思います。
なお、冒頭でも申し上げましたが、2022年〜2023年度の過去問に関しては、より詳細な思考プロセスをご案内しておりますので、ぜひ併せてご参照ください。

2023-1B実況中継リンク https://exam-strategy.jp/archives/14702

2022-1B実況中継リンク https://exam-strategy.jp/archives/17078

【さらに深く学びたい方のために】

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映像授業【東大英語 第1問B 文挿入(段落整序)】

東大英語 第1問B(文挿入)制覇の極意(2023年実況中継)

2022年東大英語(第1問B 文挿入(段落整序))入試問題の解答(答案例)・解説

2021年東大英語(第1問B 文挿入(段落整序))入試問題の研究

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