2024年東大国語 第1問 小川さやか「時間を与えあう」解答(答案例)・解説

東大現代文は、第一問が評論文で、第四問はエッセーが出る

という、通説が覆されました。第一問なのにエッセー調の文章です。
読みやすく、内容も理解しやすいため、意味が分からず苦労した受験生は少ないでしょうが、評論文でないからこその難しさを感じさせる問題でもありました。
※ちなみに、上記の通説は2021年以降、一回も当てはまってないので「何を今さら」という感じでもありますが。

内容としては、タンザニアの行商人について。
我々のような資本主義下の先進国とは違う価値観で商売を行う習性について、分かりやすく丁寧に考察した文章です。
出典としては、東大が一般公開している学術講義で、小川さやか先生が発表した資料に関連しています。

時間をあたえあう―タンザニアの零細商人の贈与論

以下のp24〜32が本年度の第1問で取り上げられた文章の骨子です。
https://ocw.u-tokyo.ac.jp/lecture_files/11463/4/notes/ja/ay23gf_0428_04ogawa.pdf

さて毎回書いていますが、現代文は回答者によって解釈のブレ、答案の表現のブレなどが激しい科目であるため、賛否両論が発生することは承知していますし、闊達な議論を奨励しています。

お気づきの点がありましたら、遠慮なくコメントをお願いします。

敬天塾作成の答案例

敬天塾の答案例だけ見たいという方もいるでしょうから、はじめに掲載しておきます。
受験生の学習はもちろん、先生方の授業にお役に立てるのであれば、どうぞお使いください。
断りなしに授業時にコピペして生徒に配布するなども許可していますが、その際「敬天塾の答案である」ということを必ず明記していただくようお願いします。
ただし、無断で転売することは禁止しております。何卒ご了承ください。

【平井基之のサンプル答案】

設問(一)
行商人は掛け売りをすることで常連客の確保や商品販売の機会増加が見込めるため、仕入れの順番や価格の優遇につながり、さらに資金不足の時の回収先としても利用できるから。

設問(二)
ツケによる売買というのは、客に支払い義務を課すのと同時に、客に金銭の余裕ができるまで支払わなくてよいという猶予を与えるところまで含む取引であるから。

設問(二)別解
ツケで取引する場合には、客に支払い義務を課した上で、客の裁量で支払いのタイミングを決める権利を与えているという認識なので、将来的な資金の回収を疑わないから。

設問(三)
ある相手との商取引で未払いが生じたとしても、返済までの猶予を認める代わりに受け取った返礼によって、長い目で見た人間関係では未払い分が差し引かれたと認識されるということ。

設問(四)
長い目で見ると互いに助け合うような見返りを求めない間柄なのだろうという暗黙の了解が行商人と客の間にあることで、一時的な商取引の損得があっても、ツケを支払うタイミングを交渉し合うことで相殺させるという習慣が成立しているということ。

※多少、字数が多めの答案になっていますが、短くまとめきれない私の力量不足以外の何物でもありません。あくまで、答案サンプルの一つであり、皆さんの考察の材料となることを願って作成したものですので、寛大な心でご覧いただけると幸いです。

【別講師作成の答案】

設問(一)
掛け売りには、得意客の確保や維持、商品追加購入の契機、販売数増加に伴う仕入れ先からの優遇、並びに商売不調時の緊急資金代わりといった商売上の利益を多面的にもたらす側面があるから。

設問(二)
掛け売りに支払い猶予の時間や機会の贈与という性格をも持たせ、返礼の時期を相手に委ねる旨の黙示の合意が買い手との間に形成されているので、ツケ未払いの事実だけで信用の不履行を判断していないから。

設問(三)
代金未払いという商売上の損が外形的に発生したとしても、長い目で見て当該取引以外で有形無形の利益が返礼の形でもたらされれば、差し引きで実質的な損失を被ったとは思えなくなるということ。

設問(四)(案その1)
掛け売り交渉時に相手の窮状に配慮した人間味を互いに示すことで、支払猶予契約とは別に持ちつ持たれつの人間関係が当事者間に醸成され、当該取引代金の支払い不履行があっても、いつか有形無形の返礼をしてくれれば元は取れるという考えに至るということ。(119字)

(案その2)
互いに自身の窮状を訴える掛け売り交渉で、駆け引きに勝った者にも負けた者にも相手に何かをした・してあげたいというビジネスの論理を超えた感情が芽生え、ツケの未払いがあっても長い目で見て自分が危機の時に返礼されれば十分だという考えに至ること。(119字)

(案その3)
掛け売り交渉時に相手の窮状に配慮した人間味を互いに示すなかツケ払いに合意することで持ちつ持たれつの人間関係が築かれ、商取引上の損得勘定に囚われることなく、長い目で見て自分が危機の時に返礼してもらえれば十分だという感情が芽生えるということ。(119字)

設問(一) 行商人たちにとって~~合致していた。

採点は5段階評価で標準を3とし、
難しいポイント1つにつき+1、
簡単なポイント1つにつき-1としています。
「傍線部の構造」は答案骨格の作りにくさです。
「表現力」は自分の言葉に言い換える難しさです。

抽象語=結論、具体的な内容=理由という関係

傍線部があるのは第3段落。この段落全体が譲歩する内容だということに、まず着目しましょう。
第2段落で行商人にとってのデメリットを書き、第3段落では行商人にとってのメリット(=商売戦略上の合理性)を譲歩として説く、という内容です。(その後、第4段落で、再度デメリットが書かれます。)

そして次に設問を確認すると、傍線部に対し「なぜか」を問う問題です。
段落の構成としては、傍線部に「商売戦略上の合理性」という抽象語があり、次の文から具体的な行商人の商売上のメリットが列挙されていく、というものです。
抽象語に傍線が引かれていて、「なぜか」と問う。そして、続きの文章に具体的な内容が書かれている。
これはつまり、続きの文章に書いてある具体的な内容を要約して字数内にまとめるという問題です。
なぜこのような抽象的なことになるのか?具体的なコレコレがあるからだ、という問答ですね。

では「商売戦略上の合理性」という抽象語に対する具体的な内容は何かというと、広くとれば第3段落の残り全部ですが、絞ったとしても「得意客の確保や維持につながる」、「新たな商品を購入してくれる可能性もある」、「仕入れの順番や価格交渉において優遇される」、「商売が不調の時に回収する」などなど。結構たくさん書いてありますね。

こいつらをまとめていけばOKです。

ちなみに、2020年以来、久々の「なぜか」問題です。
「どういうことか」と比べて、傍線部の骨格に注目する必要性は下がる代わりに、文脈を理解することが重要になりますね。

新傾向の問題

一応触れておきますが、この設問、新傾向です。

これまでの東大の問題では、「ただの要約問題じゃん!」と思うようなものが出たとしても、該当箇所に濃淡があったり、抽象/具体の流れがあったりと、ある程度の読解と、ある程度の情報の取捨選択がありました。

しかしこの設問は、まとめる該当箇所にかかれているのが、並列した具体例だけ。その中にキーワードも重要な要素もありません。
250字くらいの中に3つか4つほどある具体例の内容を、単に字数内に収めるだけで解答できます。

正直言って、いつもの設問の方がずっと難しいのですが、なぜこんな問題を出したのでしょう?
受験生があまりに出来ないから、問題を簡単にしたのでしょうか。
私の中の有力説は、「本文の言葉を使うだけでは字数が足りなくなるので、本文の言葉を借りずに自分で言葉を紡ぎだして答案を作らせたかった」というものなんですが、いかがでしょうか?
真相はよくわかりませんが、今後このような問題が出てくる可能性があるので、警戒しましょう。

なお、新傾向の問題なので、このタイプの設問を解いたことがない場合、難しく感じるという可能性もあります。
そのため、当日の所感では「易?難?」と難易度をぼかしていましたが、自分でも答案を作るところまで分析してみて、易問だと思いました。

平井答案の解説

行商人は掛け売りをすることで常連客の確保や商品販売の機会増加が見込めるため、仕入れの順番や価格の優遇につながり、さらに資金不足の時の回収先としても利用できるから。

・基本的には、3段落の残りを簡潔にまとめただけです。
・本文の言葉をそのまま使うと明らかに字数がオーバーするため、「商品販売の機会増加」や「仕入れの順番や価格の優遇」など本文にない言葉を使って短くまとめています。

設問(二) 「まだ返してもらっていないだけだ」

「なぜか」の設問が2連続

設問(一)に続き、「なぜか」の問題。ただし、設問(位置)とは違って、「なぜそう主張できるのか」と問い方に工夫があります。
問い方が工夫されているとき、原則は「ヒントとして捉える」ことになります。つまり、単純に「なぜか」と問うことによる不都合があるのでしょう。

先ほども書きましたが、「なぜか」の問題は傍線部を言い換えてもダメで、「自分の答案」だから「傍線部」となるような因果関係を作るのが方針です。
そのため、傍線部自体ではなく、主に周辺から理由になる部分を探します。つまり文脈を丁寧に追って、因果関係を探すことになりますね。

傍線部付近の内容

ということで、傍線部付近の内容を読んでみると、傍線部を含む段落は、筆者と行商人のやり取りが事実ベースで書いてあるだけです。
こう聞いたら、こう返してくる、など問答の様子が書かれているだけ。「まだ返してもらっていないだけだ」と行商人が発言したことは書かれていますが、その真意は書かれていません。

ではどこに書いてあるかというと、次段落。
行商人の発言は、筆者や私たち一般の日本人にとっては不思議な発言に聞こえますが、タンザニア人たちの考え方について「ある補助線」を引くと、彼らの言動が合理的であると理解できます。その「ある補助線」が書かれているのが、次段落です。

それが「贈与交換」だそう。
私たちは、商売をするとき、お金と商品の交換しかしませんが、タンザニアの人たちは、「ツケ払いをするまでの猶予期間」をも行商人からもらっている、という考え方ですね。
この贈与交換の考え方があるから、客が返したいと思うまで返してもらわなくてよい、というのが行商人の常識的な価値観になっているということです。

表現が難しい

さて、ここからが難しいところ。
東大現代文アルアルですが、表現するのが難しいのです。

「わかる。けど書けない」という状態に陥り、あーでもない、こーでもないと、あれこれ答案を推敲していたら、あっという間に時間が経っちゃった。

という経験、多くの人がしているのではないでしょうか。

「贈与交換」という言葉は、一般的な日本語ではありません。筆者の造語かどうかわかりませんが、筆者の造語だと捉えて解答しても問題ありません。
このような言葉は、誰でもわかるような一般的な日本語に書き換えます。

また、「何を返してもらってないのか」や「何を贈与しているのか」などを分かりやすく表現しようとすると、なかなか難しいと感じることでしょう。
ここからは、皆さんの勝負です。自分の頭の中にある語彙の引き出しから、最適な言葉を探し出して答案を作りましょう。

平井答案の解説

答案例1
ツケによる売買というのは、客に支払い義務を課すのと同時に、客に金銭の余裕ができるまで支払わなくてよいという猶予を与えるところまで含む取引であるから。

答案例2
ツケで取引する場合には、客に支払い義務を課した上で、客の裁量で支払いのタイミングを決める権利を与えているという認識なので、将来的な資金の回収を疑わないから。

・設問(一)と同様、なるべく簡潔にまとめられるよう、自分の言葉で表現しています。「支払い義務」「裁量」「将来的な資金の回収」など。
・答案例1は、取引内容を具体的に表現した答案で、答案例2は問われたことに、もっと直接答えようとして作った答案です。問いは「なぜそう主張できるのか」ですが、この主語は行商人です。つまり行商人が持っている常識や価値観、取引に対する捉え方を表現しようとしました。それが「将来的な資金回収を疑わない」です。

設問(三) 生活全般の上では帳尻があっている

骨格はシンプル・・・と思いきや

(一)(二)と違って、「どういうことか」の問題。こちらは、傍線部をしっかり見ていきます。
そして、まず注目するのは骨格。「AではBしている」というもので、シンプルですね。

と思いきや、ここで注意したいのは「では」という表現。これは傍線部の直前の「商売」と、傍線部の「生活全般の上」を比較させています。つまり、「商売では帳尻が合わない」「生活全般の上では帳尻があっている」という対比が生まれているのです。

つまり、傍線部を説明するには「商売では帳尻があっていない」ということまで説明する必要が出てきます。

「生活全般とは・・・?

そして、「商売」はわかりやすい日本語ですし、「商取引」とか「ツケの支払い」とか似たような言葉も登場しているので簡単なのですが、問題は「生活全般」です。

以下、「せいかつぜんぱん」について、一般的な日本語の意味の方はカギカッコなしで表現し、本文で特有の意味を示す方はカギカッコを付けて表現します。
生活全般という言葉は日本語に存在しますが、この本文の「生活全般」はその中身が分かりません。つまり抽象語です。
今回は、行商人と客(場合によっては、立場が入れ替わる)の人間関係においての話です。行商人が風呂に入っているときや寝ているときも、生活全般の一部ではありますが、客は関係ありません。つまり文脈上の「生活全般」と、一般的な生活全般は違うことばであると私は認識しました。

そこで、次は「生活全般」とは何かを考えていくことになります。
と言っても、本文中に明確に書かれているわけではなくて、「文脈を追っていけば、何となくわかるでしょ?」という曖昧(←書けるように)な定義のまま使われた言葉です。
余談ですが、このように、「明確に定義しなくても、みんな文脈を追えばなんとなくわかるよね?」という言葉に対して、説明させる問題が、最近の東大では多いような気がします。一種のパターンになっているので、練習しましょうね。

もひとつ、「帳尻を合わせる」とは?

そして、もう一つ難しいのが「帳尻を合わせる」ですね。
「生活全般」よりは、分かりやすい言葉ではありますが、いざ自分の言葉で表現しようとすると難しいです。

特に、商売の帳尻なら「損得が相殺すること」「利益と負債が差し引かれてなくなること」など表現しやすいですが、「生活全般」の「帳尻があう」とは、何がどうなることやら。

これを表現するのに一苦労することでしょう。

設問(一)と設問(二)とは、難易度が飛躍して高くなりました。

平井答案の解説

ある相手との商取引で未払いが生じたとしても、返済までの猶予を認める代わりに受け取った返礼によって、長い目で見た人間関係では未払い分が差し引かれたと認識されるということ。

・まず「客」とか「行商人」という言葉を使わず「ある相手」にしました。これは、場合によって、行商人が客になるなど、立場が入れ替わることを踏まえて、決めつけた言い方を避けています。また、答案の最後で「人間関係」という言葉を使ったので、「相手」とすると相性が良いと思いました。

・何が何によって帳尻があったかを読み取るのに苦労しました。私は、商売上の未払い(損失)と、返済を待ってあげたことによる返礼(利益)が相殺していると捉えました。

・「生活全般」については、最後の1行に登場する「二者間の基盤的コミュニズム」を参考に、平易な言い方として「人間関係」としました。また、ツケ払いや、ツケの回収、返礼のやり取りなど、二人に人間関係が継続的に帳尻を合わせながら成立していくことを踏まえて、「長い目で見た」としました。

設問(四) 個の余韻が・・・回収させるステップ

厳密には「どういうことか」の問題ではない

基本的には「どういうことか」の問題ですが、厳密には「どのようなことを言っているのか」です(ちなみに、去年と同じ)。設問(二)と同様、意味を見出して解答しましょう。(難しいけど)

とはいっても、解答の方針としては「どういうことか」の問題と同じで、傍線部の内容を丁寧に言い換えていくという方針で良いでしょう。

傍線部の分析

では、傍線部の分析ですが、まあややこしい。すみませんが、今でもよくわかってないかもしれません。

例のごとく、骨格から見ていきますが、「AがBをCに回収させるDになる」です。複雑すぎる。
Aに相当するのが「この余韻」なので、無生物主語です。英語でも習うとおり、無生物主語の場合は、「Aによって」など手段として言い換え、骨格を変えてしまうというのがセオリーなのですが、そうするとBCDの部分がどうなるのか、よくわかりません。

その原因は「回収させる」です。「BをCに回収させる」というのは、BとCがどうなるのでしょうか。
実は、スタッフに相談したところ、彼と意見が食い違ってちょっとした議論になり、二人とも挫折しました(笑)。やはり、入試当日のバタバタと、大量の分析材料をさばいている中では、限界がありますね。

後日もう一度考え直して、今のところは「BがCに吸収される」くらいの意味だと解釈しています。
これだと「Aによって、BがCに吸収させるというDになる」となって、だいぶ考えやすくなりました。骨格が複雑な時には適宜カンタンに直してください。

余韻とは?

では、各部分を考えていきましょう。
まずAの「この余韻」が最高に難しいです。そもそも「余韻」自体が比喩表現なので、そのまま使うわけにはいきませんから、似たような表現を考えなくてはなりません。

では、どのような内容なのか探ろうと本文を見ると、何度か登場しています。でも残念。全て「~という余韻」という形です。
これは、「余韻」自体が抽象語として使われていて、直前部分が具体的な内容になっている構造です。しかし具体的な部分が具体的すぎますし、何度も登場していてまとめられません。

これを的確な日本語で表現するのは、かなり難しいでしょう。
下の方に載せた私の答案では「暗黙の了解」としています。「双方向に気遣いあうことで」とか「自分の生が相手によって成立していると想像することで」など色々考えましたが、いかがでしょうか?

BCDはカンタン

続いて、BCDと行きますが、Bは「商交渉の帳尻を合わせる失敗」、Cは「時間や機会の贈与交換」、Dは「ステップ」です。

このうち最も簡単なのはDの「ステップ」ですね。これは言葉遊びみたいに、手段とか手順とか段階とかそういう言葉に変えれば良いでしょう。

BとCもそこまで難しくないでしょうね。
どちらも、これまでの設問で答えてきた内容です。

オマケ:「二者間の基盤的コミュニズム」について

最後の一行に「二者間の基盤的コミュニズム」という意味深な言葉があります。しかし突然登場した上に、何の説明もありません。
これはどういうことかというと、珍しく種明かしがありました。

なんと、本文の筆者の小川さんが、東大入試の直後にこのようなツイートをしていました。

つまり、この部分は「はじめに」で引用した、グレーバーの基盤的コミュニズムから受けた内容だということです。
グレーバーの基盤的コミュニズムは有名な内容ですが、ググれば意味が出てきますので調べてみてください。私が答案に入れられるレベルで簡潔にまとめたものが「見返りを求めない人間関係」です。

ただし、受験生がこのような内容を知っているとは考えづらいので、この部分は触れなくても良いでしょう。

ということで、答案です。

平井答案の解説

長い目で見ると互いに助け合うような見返りを求めない間柄なのだろうという暗黙の了解が行商人と客の間にあることで、一時的な商取引の損得があっても、ツケを支払うタイミングを交渉し合うことで相殺させるという習慣が成立しているということ。

・とにかく骨格が難しいです。はじめ骨格を正確に読み取れないまま答案を作っていたため、文末が「見返りを求めない人間関係が成立している」となっていました。しかし傍線部をよく読むと、「見返りを求めない人間関係によって、BがCに吸収される」という内容になっていて、因果関係が逆になってしまいました。
なんとなく、「最後の行に書いてあることは最後にかく」みたいなことをやっていると、間違えてしまいますね。

・骨格さえ決まってしまえば、あとは上で解説したようなことを言葉にして、割とすぐ作れました。

・グレーバーの基盤的コミュニズムについては、上述の通り「見返りを求めない人間関係」として入れました。

・D「ステップ」については、少し工夫というか意訳して「習慣」としました。

まとめ・講評

今年も難しかったですね。特に設問(三)~(四)はかなり苦労しました。
設問(四)については、普通の答案を作るくらい時間をかけて仕上げた後、やっぱり骨格が納得いかないと思って、もう一度作り直しましたから、倍以上時間がかかっています。
受験会場で解いた受験生は、かなり因果関係を間違えてしまったのではないでしょうか。

一方、設問(一)がものすごく簡単だったので、総合難易度が下がってしまいました。東大現代文は、どんどん分量が減っていましたが、さらに減った印象です。
最近のトレンドとして、現代文の勉強は片手間にする人が多いように思いますが、問題が簡単になればなるほど、差が付きます。
気を付けた方が良いでしょう。

 

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