2019年東大文系数学(第3問)入試問題の解答(答案例)・解説(確率、多角形グルグル、道順、中学受験で解ける)
2019年 東大数学 文系第3問
では、今日は文系第3問です。復活した確率の問題。
確率の問題は、設定の読み込みに10分かけても良い
東大の確率だなぁっていう問題。 知らない設定が登場し、読み込んでカラクリを解き明かすのに時間がかかる。 複雑な場合分けが登場し、立式までに時間がかかる。でも計算はそれほど面倒ではない、といったところ。 ということで、うちの塾では「確率の問題が出たら、10かけてよいから設定の読み込みをせよ」と教えています。 さて、今回のカラクリやいかに!?
(1)は簡単。
(1)は簡単ですね。10回コインを振って、またAに戻ってくるという問題です。 1周するかどうか、1周するとしたら、右回りなのか、左回りなのか、という場合分けになりますが、これは簡単に理解できるでしょう。 これは受験生ならば解けなければならない問題ですね。解説は割愛。手書きの解答をご覧くださいませ。
(2)は場合分けが複雑
次は(2)の問題なのですが、これはかなり複雑です。 T「Fに少なくとも1回立ち寄る」という条件が加わりますが、これを処理するためには、複雑な場合分けが必要です。 版時計周りだとしたら、5回目にたどり着くか、7回目にたどり着くか。でも7回目にたどり着くとき、5回目にはFに移動してちゃいけないから・・・。 などと考え始めると、混乱してしまいます。 実際は、文系受験者にとって、これはかなり難しかったのではないかと思いますね。恐らく(1)だけ解いて、(2)は0点のような答案が多いのではないだろうかと思います。
ビジュアル化① マス目を作る
予備校の模範解答では、場合分けを駆使して解いているものがありましたが、僕が読んでもあまり意味がわからない解答だったので、分かりやすさを重視して、2つビジュアル化した解答を用意しました。 (といっても、受験生が時間内にこれを思いつくかどうかは、微妙なのですが) 一つ目は、下のようなマス目を作って、道順の移動で考える方法です。 スタートのAの位置から、①~⑤のどこかの点(F)を通り、⑥~⑧の点(A)に辿りつくという場合分けです。 このようにマス目を作ると、一気に見やすくなりますね。今回は正八角体をグルグルする問題でしたが、多角形をグルグルする問題は良く出ますから、他の場合にも使ってみてください。 ※ただし、①~⑤は「初めてFに到達する」という条件の下で場合わけします。 これで場合分けができますので、あとは計算して終わりとなります。
ビジュアル化② 中学受験方式
次は、中学受験で習う方式で計算するものです。 普通、このような道順の問題の場合、コンビネーション(nCr)で計算するのが一般的ですが、パスカルの三角形を利用して、足し算を繰り返す方法もあります。 まずは、通れない道をすべて消して、通れる道だけを残します。 そして、ある点に対し、一つ前タイミングにいる点の数字を2つ足しながら、ゴールにたどり着くのです。 すると、ゴールへの生き方が206通りになります。 あとは、2^10で割って、(1)の答えから引けばOK。 ということで手書きの解答をご覧くださいませ。 場合分けが難しいのですが、工夫をすると簡単になるというのも東大っぽい。 多角形グルグル問題は、このマス目の作り方を覚えておくと使えますよ。
敬天塾作成の解説
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