2012年 東大英語 1-A要約 【段落の要約をまとめる、フリ→ボケ、筆者の心理、コロン】

東大英語 要約1-A 2012年の解説

要約の練習に持ってこいの問題

この文章をなぜ選んだかと言うと、要約の練習にピッタリだからです。世間でよく言われる、要約の解法として「各段落を要約して、つなぎ合わせる」という方法がありますが、これがほぼバッチリ当てはまる、分かりやすい文章です。

2013年に比べると、抽象と具体の場所が分かり辛く感じるかもしれませんが、それでも分かりやすい方。

前回と同様、色分けした画像を貼り付けましょう。よっこいしょ

前回と同様、
赤い所は、比較的重要度が高いポイント
青い所は、注目すべき表現
緑の所は、具体例

のルールで色分けしてあります。

第一段落:フリに反応しよう。

早速脱線しますが、昨日はキングオブコントの決勝戦でしたね。優勝した「かまいたち」より、「にゃんこスター」の方が話題になってました。M-1なんかでも、優勝コンビよりインパクトを残したコンビが売れる現象がありますが、これは戦略でいうところの「戦術で負けて戦略で勝っている」状態ですね。

さて、僕も少しだけお笑いに関わっている人間なのですが、笑いではフリが大事だと言われます。ボケが登場する前に、ボケを引き立たせる一言があるわけです。
いきなり熱湯風呂の中に突き落とされるのではなく、「押すなよ、押すなよ、絶対に押すなよ」という一言があるから余計に面白いのです。

これと同じで、文章にもフリがあります。今回は冒頭に登場。

As many developed countries become the destination for immigrants –
(多くの先進国が移民の目的地になるにつれて-)

というのがフリ(冒頭の青色の部分です。)この後に、筆者が問題だと思っている事が来るのは、予想に難くありません。

このフリに対しての回答が、次の赤い部分。赤い部分全体として回答になっていますが、特に青く囲んだ the fear がポイントでしょう。

ちなみに、すぐ次の文で、Anxiety に言い換えられて、補足説明が続きます。ここが抽象部分。
そして、さらに説得力を高めるために、直後に緑色の具体例が登場しています。
※抽象と具体の説明は、こちらの記事をご覧ください。

具体例は、要約に含めないのが基本なので、結局、第一段落の要約としては「先進国に移民が来ると、国家としての一体感が失われる恐さがある」というような感じになります。

第二段落:筆者の心理、another

次に第二段落。まず冒頭が大事です。(英文は冒頭が大事なことが多いですね)However があります。これに反応しなければならないと「受験テクニック」で教わることでしょう。逆説の後ろは大切です。

表論文と言うのは、通説を否定して、自分の説を訴えるために書かれるので、通説→逆説→自分の主張という流れになり易いのです。

しかも、another があります。
another というのは、「別の~」と言う意味ですから、文字通り読み取るなら「他の側面が一つある」という意味でしょう。
しかし、文章というのは、文字通り読み取っていてはいけません。

文字に書かれていない事を読み取らなければならない。

僕は文章の読み方を、精読と読解という言葉で使い分けて、よく説明しています。これに関しては、こちらの記事で説明してあります。

「別の側面もあるんだよ」と書いてありますが、筆者の心理としては、「これこそ正しいんだ!!」くらいに言いたいんだろうな~と読み取っても構わないでしょう。要するに謙虚な表現なのです。

では、その別の側面とは何なのかと見ていくと、次の文の赤い枠の部分、do not have to break connections が見当たります。
つまり、絆を切らなくても良いと。これが筆者の主張の部分だろうと読み取っても構わないと思います。

実際に、第一段落では、「移民が国家の一体感を失わせる」という通説を展開し、第二段落では「絆は切れない」という筆者の自説を展開すると言う事で、通説→逆接→自説の主張という、キレイな流れも見えてきます。

さらに、その直後に not onle but also の表現が見えます。
これは、教科書通りの読み方で、not only の直後は不要、but also の後は重要と読み替えても良い。と言う事で、but also の後を赤く囲んであります。

抽象化をしよう!

しかし、but also の後の赤い枠の中に、抽象的な表現が見当たりません。代わりに、same 〇〇 という具体例が3つ連続して登場します。(緑色)

英文では具体例を示すときに、3つ並列させることが多いですね。A、B and C という並び方が典型的ですが、別に決まりがあるわけではありません。

具体と抽象の比較では、具体は重要度が低く、抽象は重要な部分だというのが基本。すると、この部分は、but also の後で重要なのに、具体例ばかりで重要ではない、という矛盾が生じます。

こういう場合はどうするかと言うと、抽象化が効果的です。この部分は、移民が本国の人と、同じ新聞を読み、同じテレビを見て、同じDVDを見る、と言っています。これを抽象化すると、「移民が本国の人と同じ娯楽で楽しめる」ということ。

つまり、この段落の前半部分でしていた do not have to break connections (絆は切れない)という話と同じ内容です。

移民と本国の人との絆が切れないのです。

同じ娯楽を楽しめるというのは、流通の発達や、技術の発達などでしょうね。ここでは広く「技術の発達」にしておきますが、別に「最近のメディア」なんかでも良いと思います。

と言う事で、第二段落の要約としては「技術の発達により、移民は本国との絆を切らずにいる」としました。

第三段落:a とanother

最後の第三段落です。
この段落の構成としては、

social network ties と Families and communitiesの二つの具体例

ties are being reconnectedの抽象

となっています。(抽象)→(具体)→(抽象)の基本の流れの、始めの抽象が省略された形ですね。
要するに筆者の主張としてはties are being reconnected(絆が再びつながっている)

また、その後には、a differet type というanother と同じフリが入ってます。(青字)

a だけでも、「ある〇〇」という意味になりますから、another と同様の意味があると思って下さい。「ある異なるタイプがある」との事なので、要するに謙虚表現。筆者としては「これこそ正しいんだ~」という気持ちでもおかしくないでしょう。
しかも、文章末ですからね。これは主張が強そうです。

コロンに注目しよう

では、これに対する回答は何かというと、コロンの後に続いています。(青字)

コロンの扱いって、苦手にする受験生も多いと思いますが、「つまり」とか「すなわち」のように、前後が同じ内容になる記号で使われることがあります。

特に今回のコロン、面白い使われ方をしていますね。
a dirrerent type of society : one which is …
と続いていますが、コロンとone を省略しても、意味が通ります。

では、何のためのコロンかと言うと、強調のためのものでしょう。コロンがあると、読者は注目しますし、呼吸を一度整えます。僕も、ブログの書き手になって初めて分かりましたが、書き手はどうやって強調したい部分を、読者に伝えるか、苦心するものです。「〇〇」とカギカッコで囲んでみたり、―(ダッシュ)を使ってみたり、改行してみたり。実は様々な工夫を凝らしているのです。

コロンもその一連のモノ。読者の意識を集中させるために使います。と言う事で、コロンのあとの部分も赤い枠で囲んでおきます。

文末の新情報

最後に、文末に新情報が登場している事にも注目しましょう。

最後の赤い枠の中には、今まで全く触れられてなかった新情報があります。geographic closeness (地理的な近さ)です。こういうのも、読者の本音が登場しやすいと思います。

a dirrernt type でフリを入れて、コロンの後に強調。そしてその回答として、geographic closeness と新情報を放り込む。厳密な根拠や議論はしていませんが、最後に上手くまとめるために、持ち出したフレーズです。

ということで、以上の事をまとめ、第三段落の要約としては、「絆が再構築される社会が広まっており、地理的な近さによらなくなっている」とでもしておきましょう。

全体の要約

では、最後に全体を要約しましょう。

第一段落の要約「先進国に移民が来ると、国家としての一体感が失われる恐さがある」

第二段落の要約「技術の発達により、移民は本国との絆を切らずにいる」

第三段落の要約「絆が再構築される社会が広まっており、地理的な近さによらなくなっている」

としました。以上の3つは、わざと直訳にしたり、赤くチェックした部分を切り貼りしただけになっているので、いささか不自然ですが、ご了承下さい。

そして、この3つを、滑らかにつないで

「先進国への移民の移住が進み国家の一体感が失われる懸念があるが、技術の発達により本国との絆が保てるため、地理的距離によらない、絆が再構築される社会が広がっている。」
のような感じでしょうか。

模範解答というより、制限時間内に即興で作り易い解答にしたつもりです。

ちなみに、字数制限が少し厳しめのような気もします。80字以内でまとめるのは、やや難しいかもしれませんね。

各社の解答比較

K塾

「移民の増加で国民の一体感が失われるという危惧がある一方、現代のメディアを通じて再構築される移民と同郷者の絆が、地理的近接性に依拠しない新たな社会を創出している。」

T予備校

「移民により国民の同一性が失われ異民族間の分裂が懸念されるが、現在では移民が出身地との繋がりを切る必要はなく、地理的距離に左右されない新たな社会が生まれつつある。」

T予備校別解

「移民の増加とともに社会の一体感が失われる反面、技術の発達により移民は元の共同体や文化とつながりを保っている。地理に制約されない社会が生まれつつある。」

K社

「先進国への移民が、現地社会に同化しなくなる一方で、新しい通信手段を使って母国社会とのつながりを深めている。地理的制約のない、新しい共同体が発展しているのだ。」

各社とも、上手なまとめ方をしていると思います。受験生が本番の10分足らずで、なかなか作れるものではないと思いますが、お手本にするには良いのではないでしょうか。

第二段落の抽象化の所も、「現代のメディア」「技術の発達」「新しい通信手段」と、ウマくまとめて個性を出しています。

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