2021年東大日本史(総論)入試問題の研究

科目全体

【敬天塾オリジナルレーダーチャート】

【各社の難易度比較】

※敬天塾以外の科目全体の分量、難易度は昨年比です。「同程度」「変化なし」は「昨年並」に表現を揃えております。
※敬天塾の科目全体の難易度は昨年比ではありません。
※設問別の難易度は全社、昨年比ではありません。

【科目全体の講評】

総合難易度 やや易

トピック① 目新しさ、ほぼナシ

過去問を多く演習していると、どこかで見たような内容の問題が多いという印象でした。
第1~3問は、過去問演習を中心に周辺分野を対策していると触れていた内容。強いていうと、第4問の華族令の話は、それほどよく見る話題ではなかったかもしれません。
ということで、傾向の新しさは、最低評価ではないにしろ、2にしておきました(笑)
逆に、「東大らしさ」は4~5だったかもしれません(笑)

トピック② 資料文(史料文)が全ての問題で登場

たまに、資料文が全くなく、問いだけが設定される問題が登場します。
(例えば、2018年第1問の、藤原京の問題など)
最近は、資料文が与えられることが非常に多いのですが、今年も4問とも資料文が与えられました。

余談ですが、共通テストで、複数資料が与えられて比較検討させる傾向が(日本史だけでなく)強まったので、踏襲していると見ることもできます。
(共通テストが東大らしくなったと見ることもできます)


トピック③ 分量や記述量、考察の多さなどは例年通り

正直、今年の日本史の問題では、問題内容は面白かったものの、「新傾向が出た!」など大きなニュースになることがないので(笑)、とりあえず資料の量や記述量、考察量には大きな変化がなかったことを指摘しておきます。
ようするに、いつも通りでした(笑)

当日解いてみた感想

私としては、やや易~標準程度だろうと思います。

難易度 やや易~標準

恐らく難問と言われる問題はないでしょう。
意図が分かりづらい問題は無かったように思います。

全て東大らしい問題でした。
知識よりも、考えること、歴史の流れをちゃんと掴んでおくことが大事なことが、顕著に表れていると思います。

今回は資料文が出る問題だけでしたね。
文字の分量や傾向は例年と同じです。

過去問と似てる問題も多いので、本年の問題からも、「過去問大事!」であることをわかってもらえると思います。

敬天塾ではずっと「過去問が最高の教材」だと教えているので、知恵の館の読者の皆さんは耳タコかもですが。

【2021年入試で注目したい問題はコレ!】

今年の第1問では、嵯峨天皇(上皇)以降の摂関政治確立期についての問題が出ました。
ここ数年の日本において、日本史に関わるような話題で最も大きいのは、どう考えても天皇の譲位(「生前退位」)でしょう。
光格天皇以来、200年振りに天皇の譲位が実現し、大きな話題になりました。

この譲位の歴史は古く、今回の嵯峨天皇以前にも多数の太政天皇が生まれていたのですが、私は嵯峨天皇に注目していました
嵯峨天皇の御事績は多く、例えば今回の問題の資料文(1)で触れられている「薬子の変」では、あわや「二所朝廷」という平安京と平城京の2か所に天皇が存在する状態が、常態化するかもしれなくなります。
これを止めて、「天皇は一か所」の慣習を作ったのが嵯峨天皇と言えるでしょう。
例えると、南北朝時代の動乱を未然に防いだと言えるかもしれません。

大事なのは、上皇の尊号を新帝が宣下するというかたちが確立したのも嵯峨天皇です。
嵯峨天皇は弟の淳和天皇に位を譲りますが、嵯峨天皇は「太政天皇なんて位をもらって、自分のところへ権力が来たら困る」と固辞しますが、淳和新帝が「それでは困ります」と上皇の尊号を宣下したのです。

このように、今も続く伝統が確立したのは嵯峨天皇時代のものが多くあるそうです。
歴史の勉強というと、「昔のことを暗記する」という印象が強いと思いますが、実は今も歴史の一部です。

【2021年入試の傾向を踏まえると、今後の対策はどうする?】

① 過去問演習の重要性はいわずもがなです。

今回の入試でも、過去問に類似したテーマや内容が数多く出題されました。
また、東大では模範解答や採点基準が出題されてないので、各社の模範解答の比較検討などを中心に勉強することが重要かと思います。

② 市販の教材多数仕入れよう。

東大の日本史受験の大家である、野島博之先生の教材がnoteで安価で販売されていました。来年以降も非常に有用だと思いますので、いまのうちに購入しておくのも良いと思います。
また、教学社の『東大日本史27か年』を執筆なさっている、塚原哲也先生の解答も推薦します。こちらも入手しやすい教材ですので、ぜひ購入して余すところなくお使いになると良いかと思います。

③ 添削指導を受けよう

日本史の添削指導は中々難しいのですが、信頼できる先生を見つけて頼むと良いかと思います。
その際、なぜ減点になったか、なぜ加点されたかなどの理由を問いかけられる先生を見つけると、なお良いでしょう。

再現答案と得点開示を分析して気づいたこと

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