2021年東大世界史(総論)入試問題の研究 

(編集部より)世界史を担当しているおかべぇ先生が、以下の世界史の講評を書いております。
ちなみにおかべえ先生は、東大世界史で満点を取得したことがある先生です(東大模試じゃないですよ。東大の本試験です)!

科目全体

【敬天塾オリジナルレーダーチャート】

【各社の難易度比較】

※敬天塾以外の科目全体の分量、難易度は昨年比です。「同程度」「変化なし」は「昨年並」に表現を揃えております。
※敬天塾の科目全体の難易度は昨年比ではありません
※設問別の難易度は全社、昨年比ではありません。

【科目全体の講評】

全体的に易化したと言える。

2020年度に出題された近代東アジアの国際秩序に比べれば、現役生にも有利な内容に落ち着いた。コロナ禍で学習の遅れがあった現役生に配慮したとも言えるし、本年度は追試験を作問する必要性もあり、凝った問題をつくる余裕がなかったことも背景にあるかもしれない。

19世紀以降にヤマを張った受験生には手痛い大論述だったという声もきくが、近年、東大は変則的な出題をしてきていることは過去問研究をしている受験生には周知の事実である。2017年の東西古代帝国の比較史や、2018年の女性史は東大側からの警鐘とも言える。

また、本年の問題は、次の表のように1995年の大論述をベースに、周辺知識を整理していれば、最速で解くこともできたはずである。

過去問研究と事前準備量の「差」が、解答時間の「差」に直結し、それがそのまま日本史や地理に投下できる時間資源の「差」につながったとも言えるだろう。ただし、論述に際しては、「宗教の問題に着目しながら」という指定条件を軽んじないようにする配慮は必要である。

ご参考まで、東京大学は地中海とその周辺地域を舞台に、ビザンツ・西欧・イスラム圏を政治・経済・文化の面から比較させる問題を好んで出す傾向にある。

こうした出題傾向を知らない受験生や、過去問による歴史的思考力やセンスを磨く訓練の少なかった受験生には、本年の問題とて難しく感じたのかもしれない。東大側としてはサービス問題として出したお題であっても、過去問研究をしていない受験生には考察・文章構想が難しく感じられたかもしれない。

それゆえ、本年度の難易度評価は、実質過去問研究の深度によって変わってくるものとも言えるだろう。

【2021年入試で注目したい問題はコレ!】

第1問 地中海世界大論述。 東大の出題伝統を踏襲した問題であり、良問は繰り返し出題されるというセオリー通りの1問であった。過去問研究をしっかりしてきた受験生ならスピーディーな構想・起案ができたはずである。

例年、時間制約の厳しい地歴ではあるが、今年に限って言えば、時間的なゆとりも多くあっただろう。それゆえに、レヴェルの高い答案が例年以上に、採点官の机上に並んでいると推察する。ともなれば、事実上、文章力・答案構成力の勝負になってくるであろう。

【2021年入試の傾向を踏まえると、今後の対策はどうする?】

詳しくは、以下のリンクの記事をご参照いただきたい。

東京大学世界史で満点を取るための戦略シリーズ

ここでは、ざっくりした対策を申し上げる。

① 教科書と資料集は複数の出版社の「最新年度版」を買え。

教科書を執筆しているのは、東大含めた教授陣である。最新の研究成果をコラムなどに投影することも少なくない。予備校の参考書は導入やイメージづくりには良いが、中上級者がネタストックするには教科書と資料集である。資料集は、特集記事を特に念入りに読み込もう。

テーマ史から攻めよ。

2018年に女性史大論述が出題された。本年の第3問のテーマである人の移動も東大頻出であった。特定のテーマから世界史を見つめ直す訓練は、理解を深めることにもつながる。慶應の商学部や法学部や文学部のリード文は良質ゆえぜひ活用されたい。

答案添削はMUST!

→ どんなに素晴らしい答案を書いた「つもり」でも、相手に意図が伝わらなければ零点である。どんなに多くの年号や事柄を答案につめこんでも、問いに答えていなければ零点である。だが、自分の答案を客観視できる受験生は100人に1人もいない。だからこそ、東大対策を熟知した指導者の添削を通じて、自分の答案の問題点を炙り出し、克服するプロセスが必須なのだ。

 

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