国語5月① 2013年現代文

こんにちは、スタッフBです。

2013年現代文を解いて、互いの答案の検討会を行いました。

 

1名分の再現答案とそれについてのコメント、問題全体へのコメントをまとめています。

 

作家の志向は表現形態などと一体化しており、作者以外の者が、作品から意味内容や概念のみを抽出すると作家の正確な主張とならないから。

 

志向を主語にしていいのか。

作者以外のものは「翻訳者」にしたほうがいいのでは。

「伝わる」「伝達する」という要素は必要では

「作家の志向」ではなく「作品の志向」がよい

「正確な主張とならない」は具体的になんのか。もう一つ先まで聞きたくなる。

 

翻訳者が作品の表現形態を軽視して、読み取った意味内容を読者のために変換すると、原文の独自性や繊細さは損なわれ、原作と乖離した翻訳者の作品となる。

 

「軽視」は良い。

読者のためには「翻訳者が」でいいのではないか

「読者のために」は必要なのか。翻訳と原作の話なので、読み手のことは不要ではないか。

「変換」は言葉が足らない。無機質な印象を受ける。「翻訳」で良いのでは。

「翻訳者の作品」は傍線部そのままではないか。

 

「翻訳者による」「日本語」「作品」3つの皮肉が入った傍線部である。

 

多言語間に存在する障害を超えて調和させるため、分の意味志向を読み取り、表現を尊重した上で、時には変更を厭わずに母語での表現を探求すること。

 

何を「調和」させるのか?

文末は良い。

「多言語間」に違和感がある。

何の「変更」なのか?

「言語間」でいいのでは。

「障害」でもいいが「齟齬」でもいいのでは

「時には」ではなく程度の問題では

対話は矢印が両方に向くが、翻訳は一方通行の矢印。「母語での表現を探究する」は一方通行だけど、いいか。

目に止まる答案。

文章を理解すること、表現することができないと書けない。その分、具体化して欲しい部分が多い。

みなさんにも練習としてこのような答案を作ってほしい。

教材としての価値が高い。

「障害」とはなにか。おそらく表現形態が一致しないという障害か。

 

「対話」の双方向性について

あえて双方向性について言及しない答案もあり得る。なぜかというと、第9段落では双方向性についてまだ書かれていない。10段落で初めて触れられている。

 

規範を破る話は、(エ)に登場する。(三)でどこまで言及するかは難しいが、主題にすべきではない。

 

出題者は傍線部を短くして難度を上げる。傍線を短くすることにより、他の部分が視野から外れる。そもそも傍線部のある文全体に注目すべきだし、その段落全体にも注目すべきである。

 

翻訳という翻訳者の賢明な努力を要する作業には、言語と母語との調和が求められる。その調和へと続く無限の道程には、母語の新たな可能性が存在している。

 

「新たな可能性が存在している」は「可能性が生まれる」がいいのではないか。

「〜〜要する作業には〜〜の調和が求められる」は因果関係が逆ではないか。

理由が見当たらない。

句点が多い。理由に軽く違和感がある。「新たな可能性が存在している」理由は何なのか書くべき。傍線部エの後半を抽象化しているだけで理由を書いていない。

 

作家は表現形態と不可分の意味内容を作品に込めるが、翻訳者は原語を母語へ変換する過程で読者を優先し作品を創り変えてしまう。翻訳が試行錯誤される中で母語は新たな一面を生み出す。原語と母語の間にある障壁を乗り越え、相互理解を促すことが翻訳である。

 

「不可分の」ではなく「不可分な」

「作品に込める」わけではない。作者が伝えたいメッセージを作品に込めている。

「読者を優先し」は文字数の制限がある中では不要ではないか

(一)〜(四)をまとめた答案になってしまっている。そういうことが求められているのだが、今回はそれだと足りない。

 傍線の「可能な限り」の要素がない。

 

現代文の最後の問いは全体の要約問題ではない。まず、その傍線部について答える。それでは短いので補足として、それまでの傍線部の内容を付加する。

 

翻訳は、原語と翻訳者の母語を用いる。

原作者は原作の表現形態と意味内容に気を配る。なるべく、母語に調和させようとする。相手の言語を知らなければならないから、文化も知らなければならない。母語の言語と文化についても知らなければならない。

言語や文化の差異の間を横断する。

 

問題文にいろいろ書いてあるのでブレやすいが、基本的には傍線部について答える。

 

次回は古文になります。

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