2017年 東大理系数学 第5問の解説(二次関数・二次曲線・放物線・接線・判別式)

 

2017年 東大理系数学 第5問の解説(二次関数・二次曲線・放物線・接線・判別式)

まずは、問題から。

数学を体系的に教えるべき

東大の数学は確率や整数が難しく、関数の問題が比較的簡単になりがち。 そういう意味で、この問題は受験生が得意そうな問題。 特に接線関連の問題はたくさん問題集にも載ってますし、それほど複雑にならないことが多いので、見た瞬間に手を付けた受験生が多いでしょうね。 実際に解いてみても、あまり深いことを考えず、なんだかゴチャゴチャ計算していたら解けちゃった、みたいな問題です。 僕は今の数学教育は、計算訓練にすぎないと思っているのですが、接線関連に関しても同様で、割とその場しのぎで解いている人が多い印象です。理論的、体系的に教え、考えるべきだと思っているのですが。 とそんな愚痴はどうでもよいとして、解答の方針に行きましょう。

(1)接線の解法

まず(1)は共通接線の条件を立式するわけですが、今回はy=ax+bの式と、2つの放物線が接しているとのこと。 接する条件には色々ありますが、今回は素直に判別式で良さそうですね。 もう少し細かく言うと、例えば3次関数とか、指数や三角関数が含まれている関数であれば、微分を用いるのでしょうけど、そういうわけでもないし、 接点が分かっていれば、接点から接線を引く事も出来るんですが、ちょっと使える形ではない。 まあ、接するのが放物線(二次曲線)ですからね。あれこれ考えず、判別式を創っちゃえば良い、ということでしょう。 という事で、(判別式)=0の等式を2本立てると、(1)は解けてしまいます。 不明量がaとbとkで3文字。 それに対して、(判別式)=0の等式が2本です。 そして、問題文の要求が、bとkをaを用いて表せという事ですから、1文字分余ってOK という事で、方針の目途も簡単に立ちます。 あまり深く考えず判別式というのが、良いでしょう。

丁寧に問題文を読もう

次に(2)。 まず何も考えず、a=2を代入するところから始めます。 すると(1)の結果を使ってbとkの値が出ますね。 これで部分点は確保です。 ここまでは簡単だから良いとして、問題文の意味を理解しているでしょうか? 丁寧に読み解きましょう。 問題文には 「傾きが2の共通接線が存在するようにkの値を定める。」 とあります。 傾きが2とあるので、a=2を代入したわけで、このaに対してkの値が定まります。 その次に 「このとき」 とありますが、これは 「a=2に対応するkの値のとき」 という意味です。 続いて 「共通接線が3本存在することを示し、それらの傾きとy切片を求めよ。」 とあります。 つまり、今求めたkの値の時に共通接線が3本あって、そのうちの1本がa=2かつ求めたbであるということです。 ということは、kはこれ以上いじらなくて良くて、aとbはあと2組求める必要があるのです。 という事で、今度は求めたkの値を元の式に代入して、aとbの値を探していく作業に移ります。 この辺りがややこしてくて、少し混乱するかもしれませんが、東大入試にしては簡単でしょう。 もし「共通接線を全て求めよ」だと、難易度が上がるのですが、今回は3本と言われてますから、悩みません。

逆関数の扱い

気付かないと解けないわけではないですが、補足説明として逆関数に触れましょう。 冒頭に与えられた2つの放物線が、逆関数になってますよね。 だから、a=‐1は、kやbに関係なく、常に解になっています。 あと、最後に求めたaの値も、2と1/2ですから、これもy=xに関して対称になってますね。 この辺りに注目できると、計算ミスも防げそうです。 では、最後に手書きの解答をご覧くださいませ。

2017年東大数学 理系第5問_000129

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