2024年東大英語(第4問B 英文和訳)入試問題の解答(答案例)・解説

【2024年東京大学 英語4B 英文和訳総括】おや?模試の時のように下線部だけ読んでも上手く訳せないぞ?

2024年度入試の4B英文和訳で、手こずった受験生は多くいたことでしょう。
少し前までは、下線部だけを読めば答えがわかる和訳問題が出されることも多かったので、面食らった受験生が続出したようです。
では、なぜに手こずったのかというと、問題と向き合う姿勢を東大側に強く咎められたためです。

皆さんがもしも、「東大英語は1Aや4Bが簡単だからサクッと終わらせよう」という指導を受けているのだとしたら、それは平成時代の話ですので、そうした考えは今すぐ捨ててください
今年の1Aもそうでしたが、ここ数年、東大側は出題傾向を変えてきています
問題形式はこれまでと変わっていないように見えて、設問のつくり(中身)が変わってきているのです。
それは、今年度の4Bでもあらわれています。
ripという単語がわからなければ下線部(ア)は解けなかったのでしょうか。
いいえ。こんな単語を知らずとも、本問は解けました。
下線部(イ)で主人公が自分の胸を叩いたのはなぜでしょうか。
下線部だけ拾い読みした人は、「え?どういうこと?」と動揺したのではありませんか。
そうした状況に受験生を追い込むことを東大教授は計算づくで作問しているのです。

ご存知のように東大英語は日本一時間制約の厳しい英語試験と言ってもよく、受験生は少しでも短時間で問題処理をしようと試みます。
その結果、4B英文和訳であれば、本文をたいして読まずに下線部だけ読んでも、ちゃちゃっと和訳しようとします。
読解総語数を減らすことで、時間を節約し、省エネしようとしているわけですね。
ですが、ここ数年、東大英語試験問題作成部会は、そうした受験生の態度を咎め、本文全体をちゃんと読め!と強いメッセージを送り続けています
本年度の4Bで手こずった方は、ぜひ本解説を通じて、東大教授の想いを汲み取ってください。

なお、4B英文和訳を解くに際しての諸原則や出題傾向につきましては、2023年度4B実況中継で詳述しておりますので、併せてご参照いただけると幸いです。

(編集部注)2023年度4B実況中継は映像授業【東大英語 第4問B 英文和訳】に入っています。

東大英語4B英文和訳 2020〜2024分析シート

いかがでしょうか。これを見る限り、長文語数はここ20年で増加傾向にありますが、下線部語数自体はそれほど大きく変わっていないようにも思えます。
ただ、見かけ上の語数からだけでは、正確な難易度比較はできませんので、必ず過去問で問題文と実際に対峙して、東大教授がどのようなチカラを受験生に求めているのか感じ取るようにしましょう。
それでは、早速、2024東大4B英文和訳について解説をしていきたいと思います。

【下線部(ア)の和訳ポイントと和訳の工夫】ripってなんだ?stuffに動詞なんてあったの?knewの後ろのofって何なの?動揺する受験生が続出!

構文レベル★☆☆
語彙レベル★★☆
訳出工夫度★★★

(ア)Sometimes, I’d rip handfuls out and stuff them in my mouth, which wasn’t much like the way any animal I knew of ate.

今年度の問題では、エッセイ調の文章が出されました。
1Bでも5でもエッセイが出されましたので、かなりの出題比率となっています。
さて、この4Bの最初の設問が本問となります。
まず受験生を驚かせたのが、見慣れぬripという単語ではないでしょうか。
こんな単語を知っている受験生はほとんどいないものと思われます。

では、東大側が語彙力が豊富な人にだけ得点を与えようとしているのかというと、そんなことはありません。
2022年度の下線部(イ)のnoble callingの訳出の時もそうでしたが、東大側は前後の文脈から合理的に推測してもらいたがっているわけです。
まず、下線部(ア)を含む第1段落では、筆者がベジタリアンとして育てられたこと、そして、スイカをガブガブとしゃぶりつくすように食べている様子が下線部(ア)の直前で書かれています。
sweet red fruit-meatwatermelonを指すと読み解くことは必須となります。
顔をスイカにうずめて(bury my face in the sweet red fruit meat)、bite into it(スイカに噛み付く)と言っています。
なぜbiteを使っているのかというと、第1段落の第1文最後あたりで、a fresh dead animalの話をしているように、あたかもスイカを動物の死体のように筆者は捉えて、それをむさぼり食うようなイメージを持っているからでしょう。
はたから見たら、ヤバいやつですよね(笑)ちなみに、それが次の下線部(イ)の話につながっているわけです。

エッセイやら小説の場合、論説文のようにディスコースマーカー(howeverthereforeなど論理関係を示す指標のこと)を追えば全体骨子がつかめるわけではありません。
つまり、否が応でも、本文全体を読まなくては「情景」が浮かび上がってきませんので、出題者としては、受験生に全文を読ませたければ真っ先にエッセイや小説を題材に選びたくなるわけです。
本問で言えば、第1段落を「しっかりと」読み込んだ人であれば、筆者がどういう人物で、どのような状況に置かれているのかがビジュアルイメージとして浮かび上がってくるはずです。
そうした情景を具体的に想起することができたなら、なぜstuff them in my mouthのような表現を用いているのかが見えてくるわけです。
ちなみに、下線部(ア)の直後の文では、筆者が自分自身の中にwildness(野生的なもの)を見出していることが明示されています。

以上を踏まえると、rip handfuls outの意味を考察してみましょう。
まず、handfulは読んで字のごとく、手にいっぱいというようなイメージの単語です。
それをripするわけです。
次に、そのhandfuls(=them)rip〜outして自分の口の中にstuffすると言っています。
stuffは英単語帳で「もの」と訳されることが多い単語で、あまり動詞の語法を見たことがない方も多いのではないでしょうか。
この時点で思考をやめてしまう人が続出するのですが、この下線(ア)は第1段落に位置しており、この第1段落では、スイカを貪り食っている話、自分の中に野生的なものを筆者が見出している話をしていることに改めて意識を向けるべきです。

自分の口の中にstuff(もの)を何するのかというと、モノを入れると考えるのが自然な流れではないでしょうか。
では、何を入れたのかというと、それは直前に書かれていたスイカだと考えるのが自然です。
では、そのスイカをどうしたのかというと、下線部の直前では、スイカにbury my faceしていたわけですね。
顔をスイカの中に突っ込んで貪り食っていたわけです。
で、下線部に至っては、Sometimes(=時折)と来て、口にスイカを詰め込んだと言っているわけですから、食べ方が少し変わったのだと推測できます。
では、スイカを口に詰め込む前に何をするのか考えてみましょう。
さすがに、スイカを丸ごと口に突っ込むことは、カバでもない限り物理的に不可能なはずです(笑)。
野生的なものを筆者は自分に見出しているわけですから、手でスイカの果肉をつかみとって(outというのは、スイカの中から果肉を外へ引っ張りだすようなイメージを与えてくれます)、口に押し込むような情景をイメージできれば、この設問は制覇できます。
ちなみに、rip〜outで、「もぎとる」という意味になります。

次に、「which wasn’t much like the way any animal I knew of ate」の部分については、どうでしょうか。
構文自体はシンプルです。要は、I’d rip handfuls out and stuff them in my mouthという私の食べ方は、似ていない(not much like)と言っているわけです。
では、何と似ていないのかというと、比較対象は同種のものでなくてはいけませんから、「私の食べ方」と比較できるのは「動物の食べ方」のはずですね。
でも、ここで厄介なのはofの存在です。
knowは他動詞のはずだから、ofなんて不要なはず。
でも、このofを前置詞と捉えると直後に動詞の過去形ateが来るのはおかしい・・いったい、どういう構文なんだろう・・と悩まれた方も多いことでしょう。
こうした時に構文力がモノを言います。
the way S Vという基本構文をご存知なら、主語がany animalである以上、それを受ける動詞がなくてはいけません。
候補はknewateなわけですが、Iの存在からして、the way any animalI knew ofateとしなくては文が成り立たなくなってしまいます。
このように構文力から詰めていったなら、きっとknow of という熟語でもあるんだろうなと合理的に推測することができるのです。
ふわっと訳そうものなら、東大教授にすぐさま見破られてしまいますから、くれぐれもご注意ください。
話を戻すと、このことから、「私が知っているどの動物の食べ方とも異なっている」と訳すことになるわけです。

最後に、wouldの訳出です。
wouldというと反射的に「〜だろう」と訳す方がいます。
通常はそれでも良いのですが、英文和訳に際しては細心の注意を払うべきでしょう。
本問で言えば、Sometimesと言っているのに、「時折〜だろう」と訳すのはおかしいです。
下線部の直前でもwould bury my face〜wouldを用いていますが、これだって、顔を埋める「だろう」では意味不明な文章になってしまいます。
文脈的に、このwouldは過去の習慣をあらわす「〜だったものだ」と訳すべきですね。

以上の内容をもとに和訳作業に取りかかります。
その際に注意すべきことは、2023年度4B実況中継解説でも詳述した通り、英文和訳は逐語訳が鉄則であり、訳していくなかで日本語として不明瞭な箇所を文構造を崩さずに部分的に意訳していくことが合格ポイントです。
雰囲気で訳そうとすると、構文がわかっていないから誤魔化したんじゃないかと採点官に疑われます。
こなれた日本語にするにしても、構文をわかっていますよアピールはしなければいけません。

それでは、解答例をご紹介いたします。

下線部(ア)の解答例

(ア)Sometimes, I’d rip handfuls out and stuff them in my mouth, which wasn’t much like the way any animal I knew of ate.

敬天塾解答例

時折、私は(スイカの果肉を)手でつかめるだけちぎりとって口の中に押し込んだ(詰め込んだ)ものだった。それは(こうした食べ方は)、私が知るどの動物の食べ方とも、それほど似ていなかった。

2024年度4B(ア)を解くために下線部以外も読んでおくべきだったか

ripの意味や、handfulsの正体、口の中にstuffする情景を正確に捉えるためには、下線部の直前直後の文を読む必要がありました。
そうした意味で、少なくとも第1段落は丁寧に読み込まねば、この下線部(ア)での正解は見込めなかったと言えましょう。

【下線部(イ)の和訳ポイントと和訳の工夫】それほど難しい構文や単語は使われていないのだけれども、うまく訳せない。これぞ、まさに東大4B!

構文レベル★★☆  
語彙レベル★★☆
訳出工夫度★★☆

  (イ)Alone in the woods behind our house I had beaten my chest, acted out my own invented stories without a thought to how another’s gaze might see me.

本問も先の下線部(ア)に引き続き、下線部だけ読んで訳そうとすると「え、なにこの主人公? 頭がおかしいんじゃないの? いや、もしかしたら、自分が読み間違えているのかも」と不安に駆られたのではないでしょうか。
もし、訳出に際して、そうした違和感を覚えたなら、あなたは正しく文を読めていることになります(笑)。

まず、ざっくりとした文構造からみていくと、Alone in the woods behind our houseという前置詞句が冒頭に来ていますが、あくまでメインは、I had beaten my chest, acted out my own invented storiesの部分です。
そして、ラストで、whithout a thought to how another’s gaze might see meが来るわけですが、without a thought toの目的語がhow以下となっています。
以上のように、文構造自体は高1でもつかみ取れるものなわけですが、本問を難しくしているのは模試の時のように下線部だけを一読しても、なにを言っているのか分からない恐怖心にあります。

仮に、下線部(イ)の直前の一文だけを読んでも、さっぱりわかりません。
やはり、主人公について描写された第1段落を読み込むことが重要だと思います。
第1段落の最後の方で、主人公は自分の中に野生的なものを感じていると述べ、下線部(ア)の直前では、あたかも獣のごとくスイカを貪り食っているシーンが描写されています。
そして、下線部(イ)の後ろでは、フォークやナイフを使うことを恥じていることや、動物たちの気持ちがわかるような記述がなされています。
こうした「文脈」をもとに、改めて下線部(イ)を分析してみると、自分の胸を叩くというのは、まるでゴリラの真似でもしていたのかもしれませんね。

次のact out my own invented storiesが、下線部(イ)で最も差がついた部分かもしれません。
act outの意味がわかれば良いですが、仮にわからずともactの原義から、なんらか「行動」したことが推測できます。
そして、目的語がmy own invented storiesで直訳すると「私自身の発明したストーリー?」となりそうですが、ストーリーは発明するものではありませんから、ナチュラルな日本語にするために、「考えたストーリー」くらいに言い換えられると良かったでしょう。
このあたりは日本語能力の問題です。
では、自分が考えたストーリーを「行動」とはどういうことでしょうか。
actorで俳優と言ったりしますから、ここでは、「演じる」と訳せたら満点だったと思います。

そして、最後にwithout a thought to how another’s gaze might see meの部分をみていくとしましょう。
まず、without a thought toなんていう熟語を知っている人は滅多にいませんから、こんなの見たことがないよと思っても焦る必要はありません。thoughtaが付いていることから名詞であることは明らかであり、「考え」「思考」あたりの訳語が候補となりそうです。
そこにwithoutがついていますから、「考えもせずに」くらいの訳語がちょうど良さそうです。
では、なにを考えないのかというと、その対象がto以下だと考えるのが自然です。
則ち、how another’s gaze might see meなわけですが、単語をあまり覚えていない人はgazeの意味がわからなかったかもしれませんが、知っておきたい基礎単語ではあります。
ただ、仮にわからなかったとしても、anotherが他人と判断できれば、「他人がどう私を見るのか」と訳すことはできたでしょう。

いかがでしたでしょうか。
仮に一見して上手く訳せなくても、本文をちゃんと読み込んで、合理的に推察することで解答の方向性が見えてくることを実感していただけたかと思います。
それに加えて、東大教授はこの4Bで日本語能力も高く問うていることがよくお分りいただけたことでしょう。
なお、2023年1A解説記事でも詳述しておりますので、是非ご参照ください。

東大英語 第1問A(英文要約)制覇の極意(2023年実況中継)【総論前半】

下線部(イ)の解答例

(イ)Alone in the woods behind our house I had beaten my chest, acted out my own invented stories without a thought to how another’s gaze might see me.

敬天塾解答例

我が家の裏手にある森の中でひとり、私は他の人が自分のことをどう見ているのかを考えもせずに、自分の胸を叩き、自分で考えた物語を演じていたのだ。

2024年度4B(イ)を解くために下線部以外も読んでおくべきだったか

下線部だけでも容易に訳出できたとは思いますが、意味不明な内容を前にして不安に駆られ、結局は第1段落や第2段落を読むハメになったと思われます。
小手先のテクニックが使えない設問を出したい、そして、受験生になんとしても本文全体を読んでほしいという、東大教授の強い想いを感じ取れました。

【下線部(ウ)の和訳ポイントと和訳の工夫】本問については下線部だけでも容易に解くことができました。確実に満点を狙いたい一問です!

構文レベル★☆☆  
語彙レベル★☆☆
訳出工夫度★☆☆

  (ウ)I learned in elementary school that we were animals, but unlike other animals we did not seem driven by the instinct for physical survival.

いよいよ、4Bのラストです。
文章構造はいたってシンプルで、learnedの目的語がthat we were animalsで、in elementary schoolthat節の前に挿入されています。
but以下ではunlike other animalsという前置詞句が冒頭に来てはいますが、メインはwe did not seemdriven by the instinct for physical survival)の部分となります。
drivenの意味の悩まれた方はいらっしゃいますか?
driveには運転するのほかに、自分自身をあたかも自動車のように「突き動かす(かき立てる)」という意味もあります。
多義語は4Bや5で頻出ですので、ぜひ貪欲に習得しましょう。
その際に、複数の日本語訳を機械的に丸覚えするのではなく、核となる意味を抑えることが大切です。
英語圏のネイティヴは、日本語訳をたくさん覚えているわけではないのに多義語を使いこなせていますよね。
それはcore meaningと呼ばれる「核」をしっかりとイメージできているからです。

さて、話を本問に戻すとしましょう。
この下線部(ウ)は、下線部(ア)や(イ)に比べれば小難しい単語もなく、内容面でもいたってシンプルですので、下線部だけを読んでも答えを紡ぎ出すことのできた本年度の4Bで唯一の設問と言っても良いでしょう。
東大受験生は、ここでキッチリと取りに行かなくてはいけません。
ただ、受験生心理的に下線部(ア)や(イ)で心折れてしまい、この4Bを解くのを諦めた方も多いと聞きます。
東大入試は、難易度順に設問が並んでいるわけではないので、取れる問題をキッチリ取りに行く姿勢が合格を引き寄せます。

訳出するときに注意すべき点は、逐語訳が原則だということです。
たとえば、we did not seem driven by the instinct for physical survivalの部分を、seemを無視して「私達は肉体的生存を追い求める本能によって突き動かされていなかった」といった具合に断定的に書いたり、driven byという受動態部分を無視して「私達は肉体的生存を本能的に持っているようではなかった」と書いてしまおうものなら、
採点官は「この子は雰囲気だけで訳したのかな」と感じてしまい、容赦なく減点を食らわせます。

仮に、受験生が頭の中では構文をわかっていたとしても、採点官は書かれているものからしか皆さんの理解度や実力を評価できませんから、構文はちゃんとわかっていますよアピールをする必要があるのです。
そうしたアピールをした上で、よりナチュラルな日本語に微修正して行く二段構えでの和訳実践が本番では求められます。
くれぐれも、ふわっとした感じの訳で4Bを済まそうとはなさらないでください。
映像授業でも詳述したように、1Aや1Bで要求される読み方と、4Aや4Bで要求される読み方は異なります

その他、instinctを本番の焦りのなかで、instantやらinstructやらinstanceと見間違えた受験生もいたそうです。
意外に笑い話にできない話でして、4B英文和訳に限らず長文読解においても単語の見間違いで誤読してしまう方は、そこそこいます。

代表的なものを幾つかあげると、
cooperationとcorporation、
confirmとconform、
brakeとbreak、
farmとfirm、
desertとdessert、
purseとpursue、
peaceとpiece、
loseとloose、
moralとmorale、
lackとluck、
adaptとadopt、
properとprosper、
wanderとwonder、
weatherとwhether、
conservationとconversation、
religionとregion、
expectとexcept、
besideとbesides、
natureとnurture、
collectとcorrect、
glassとgrass、
industrialとindustrious、
deriveとdeprive
あたりが誤読することの多い単語群だと思われます。
いかがでしたか?
なんだか、ゲシュタルト崩壊でも起きそうな気持ちになりますよね(笑)
自宅など、自分にとって居心地の良いところで、ゆったりと英文を読んでいるときにポカミスを犯すことは少ないものです。

ですが、試験会場は基本的に居心地の悪い場所ですから、落ち着いて取り組むことを阻害するものがわんさかあります。
そうした状況や環境を想定した演習を積むように心がけましょう。
詳しくは、知恵の館の連載記事『合格の呼吸』や『勇者に贈ることば』シリーズでも詳述しておりますので、ぜひお役立てください。

話を戻すとしましょう。
本問の特徴としては、それほど訳出で窮する語彙がないことが挙げられます。
それゆえ、下線部だけ読んで訳そうとされた方も多いと思います。
ただ、簡単に思える設問ほど、差がつくとも言われていますので、きちんと、文構造を意識した訳を心がけましょう。
だいたい、こんなことを言おうとしているんじゃないかとふわっと訳すと、この子は構文をわからずに誤魔化して書いたんじゃないかと採点官に誤認される恐れがあります。
詳しくは、2023年実況中継の解説も熟読願います。

それでは、解答例をご紹介いたします。

下線部(ウ)の解答例

(ウ)I learned in elementary school that we were animals, but unlike other animals we did not seem driven by the instinct for physical survival.

敬天塾解答例

私達は動物なのだと私は小学校で学んだが、他の動物と違って我々(人間)は肉体的な生存を求める本能によって突き動かされているようには思わなかった。

私は小学校で、私達は動物なのだと学んだ。しかし、他の動物とは違って、私達は肉体的に生存しようとする本能に突き動かされているようには思わなかった。

2024年度4B(ウ)を解くために下線部以外も読んでおくべきだったか

本問に関しては、上述した通り、下線部だけでも十分に訳出できました。下線部に書かれているinstinctが第3段落の最後にも登場しますが、下線部(ウ)を解くのに必要はなかったように思われます。
survivalについては、下線部(ウ)の少し前(第3段落の第1文)でit was still always clear that survival was the priority that assigned value to everything in the animal worldとあり、生きることが動物の世界では最優先事項と述べられています。
この部分を意識すれば、下線部のunlike other animals we did not seem driven by the instinct for physical survivalの部分で人間と動物とを対比していることが、より明瞭に理解できたことでしょう。
動物と違って、人間は生きるために本能的に必死になろうとはしていないと述べているわけです。
下線部の意味がよりクリアになるという意味では、下線部(ウ)を解くためにも下線部以外のゾーンを読む価値はあったと思います。

なお、下線部を先読みしてから本文を熟読するのか、本文を熟読してから下線部和訳に挑戦するのか、下線部を含んだ段落ごとに区分けして分析検討するのか、下線部だけ読んで不明瞭な時には本文を拾い読みしていくのかは、残された時間や読解速度や設問文章との相性によっても変わってくると思いますので、一概にこれをやれとは言いづらいところがあります。
この4Bをリスニングの前と後のいずれでやるのか、何分で解くつもりなのか。
その時の精神状態などによっても変わってきます。
敬天塾の教材を活用しながら大問別対策が終わった段階で、年度別にフルセット演習を実施し、時間に追われるなかで頭をうまく切り替えられるかを分析してみるのも学びが大きいと思います。
一度解いたことのある問題でもです。
以下の記事もぜひご参照ください。

過去問はいつやるべきか?

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映像授業【東大英語 第4問B 英文和訳】
他年度の過去問に対して、これでもかと噛み砕いて説明した《実況中継》の解説もございます。
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