2025年(令和7年) 共通テスト追試 国語第4問 古文『とりかえばや物語』現代語訳

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『とりかえばや物語』

本文と現代語訳の併記(JPEG)

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本文と現代語訳の併記(PDF)

R7(2025)年追試 古文『とりかえばや物語』現代語訳

現代語訳

1⃣ 宇治においては、若君の乳母が、夜が明けるまで(女君が)部屋にお戻りにならないので不思議だと思うが、格子などを上げ申し上げる時間になっても現れなさらない。人々が捜して不審に思い申し上げると、(乳母は)言い表しようが無いほど驚いて、(他の人が)思いあたるはずのない所のすみずみなどまで捜し求め申し上げるけれども、どこにいらっしゃるだろうか、どこにもいらっしゃらない。どうしようもなく途方に暮れているうちに、権中納言がいらっしゃったので、(乳母が)「このように(女君が行方不明になりました)」と申し上げると、(権中納言は)少し聞きなさるとすぐに悲しみにくれて思い悩みなさり、正気を失いなさる。「それにしても、どんな事情があったのだ。ここ数日間、どのような様子が見えなさっていたのか。(女君の)実家や縁者から訪ね寄る人はいたのか。」と問いなさるけれども、(女君とその兄弟が会うために協力したことを、権中納言に知らせていなかったため)自分までも責め立てられそうなので、乳母も申し出ることができず、「そのような〔=出奔する〕ご様子もお見受けできません(でした)。(女君は権中納言と)お会い申し上げなさるときは何気ない風で(したが)、お一人でいらっしゃるときは、若君を目も離さないで拝見なさりつつも、こっそりと泣いて夜を明かして暮らしていらっしゃったのを(見て)、世の中に不満に(思いつつ)も気がかりにも思い申し上げなさる人がいらっしゃるのだろうかなど(思って)気の毒に拝見しておりました。このように(出奔しようと)お思いになるようなご様子だとは全く気づき申し上げませんでした」と申し上げるので、なんとも言いようがない。

2⃣ (かつて男性として宮中に出仕していた頃に女君は)この上なく大切に世話をされているばかりだった身なのに、このようにたいそう人目を忍んで隠れている状態で、(権中納言は)あちらの方〔=権中納言との子を出産したばかりの都にいる別の女性〕のことを熱心に世話しながらも、ここには居つかず都にばかり出かけていたので、本当にどのようにも馴染むことはなく、不都合で筋が通らない(暮らしだ)とお思いになっていただろうに、(権中納言と)ちょっと会うときには、まったく何気なく穏やかだった表情や態度が、繰り返し何度見ても見飽きることはないほど素晴らしかった(女君への)恋しさが、晴らしようがなく、すぐに気持ちも乱れ、過去のことも未来のことも考えられず、悲しくて我慢できないので、(いつか)巡り会ったり捜して(再び)会ったりするようなことも考えられず、「どうしようか、いや、どうしようもない」と悲しいのに、若君のこのようなこと〔=母の出奔〕があるようなこともわかっていない顔で、無邪気な笑顔を見ると、「(若君を見るのもこれが)最後」と(俗世を)断念する(出家の際の)障害と(なるだろうと)、いっそう捨てるのが難しく、しみじみと愛おしくて、「ああ、このような人〔=若君〕を見捨てなさったような気丈さ(こそが男性として生きていた女君らしさだ)」と思うけれども、驚き呆れ、(こうなってしまったことへの)言い訳は本当に言い尽くす方法は無く、胸がつぶれるほど後悔して非常につらく、(あの)人〔=女君〕のつれなさも、この上なく思い知らされる。

3⃣ (女君が)横たわっていらっしゃった場所に脱ぎ捨てなさっていた御召し物などに残っている香が、まったくかつての人〔=女君〕の香と同じなので、(権中納言はそれを)引き被って、おいおいと泣かずにはいられない。これほどのことは夢に見るのでさえ、目覚めたときの余韻は甚だしくつらいだろう(に)、(まして現実で、女君の)容貌や雰囲気が言い表しようのないほど愛らしく魅力に満ちており、(回想すると、女君が)つらいことも、耐えがたいことも、悲しいことも、(感情を抑えて)敢えてとても感じが良く可愛らしい様子で少し仰るようにして(穏やかな態度で)いらっしゃったこと〔=素晴らしい人柄〕への恋しさが(抑えきれず)、まったく喩えようがなく、胸がいっぱいな気持ちがして、周りの人が見たら「おろかしい」と思うということも考えることができず、(幼児が駄々をこねるように)足摺りというようなこともしてしまいそう(な様子)で、(どんなに)泣いても泣き足りないような気持ちがして、気持ちが沈んで横たわっていらっしゃる御様子で、とても気の毒で仕方がないご様子を、(周囲の人々も)拝見して嘆かずにはいられない。

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