2022年東大数学 文系第2問の解説

2022年東大数学 文系第2問

2022(2)文数 問題 入力

(1)大人な計算を目指せ!

第2問全体を通して、接線とか垂直とか、とりうる範囲など、よく見る単語が並んでいて解けそうな雰囲気があります。
しかし、目につくのは(2)や(3)の変な式。全員が「何だこりゃ」と思ったことでしょう。もう不安になります。

しかたないので、まず(1)から手を付けます。
(1)は見慣れない条件はなく、手を動かせば進めそう。
まず、直線lは点Pにおける法線だということを見抜き、いつもの法線の方程式を作る。元の3次関数(曲線C)と連立させて、交点3つを持つ条件を求めれば、ハイ(1)はおしまい!

しかし、ここで気持ち悪いことがいくつか起こります。
まず、法線のなので、傾き部分に分母が登場すること。また、連立させたあとに因数分解すると、またまた、まあまあ気持ち悪い分母が登場することです。

これまで多くの生徒を見てきましたが、数学が苦手な生徒の多くが「条件反射的」に計算をします。分母があったら即通分する。代入出来そうなら即代入する。交点が求められそうなら、即解の公式を使うなどなど。
「あ、できる!」と思いついた計算に飛びつきたくなる衝動は分からなくないですが、もう少し大人になりましょう。
今計算しない方が楽かな、他の条件を使った方が計算が簡単かな、わざわざ今代入しなくても良いな、などその後の展開を予想して、最も都合の良いときに計算をするようにすると、計算力が飛躍するのです。

閑話休題。
この問題も、たくさん分母が登場しますが、通分したくなる気持ちをグッと抑えて、そのまま放置しましょう。
通分なんて、必要があったらいつでもできます。通分した形の方が良いか、通分しない方が良いかなんて、その時点ではわかりません。だからあえて放置するのです。
逆に、通分してしまったら通分前の形が見えなくなってしまいます。(厳密には、割りなおせばよいのですが、計算してしまうと「これが正しい」というバイアスが働いて戻りづらくなります)
すると選択肢が狭まり、不利になる。
こういう大人な態度を取ることが、数学では非常に重要です。

さて、(1)は標準的ではありますが、ひとヒネリある問題で、正答率はそれほど高くならなかったと思います。残念ながら再現答案を見る限り、文系受験生はちょっとしたヒネリになかなか対応できていません。
「ひたすら問題をたくさん解く」のような、工夫のない勉強量を積み重ねても成長はほとんどありません。自分を成長させるために必要なことを見出して勉強するようにすると、実は数学とはいえ、実力は飛躍的に伸びていきます。

2022(2)文数 解説

(2)計算の工夫がカギ!

 次は(2)。

先ほど、Cとlを連立させ、解が3個ある条件を立式しましたが、今度は交点のx座標をβとγにおくとのことです。
これもアルアルな設定。
さっき出した、因数分解後の式の、2次方程式の解をβとγとして、解と係数の関係を作っておきましょう。
※解の公式を使うのは「子供っぽい」です。「大人」は解と係数の関係を使いますよ。

そして、対称式の変形を使って与式に代入すれば、あら不思議。確かに0ではないと証明できました、という問題です。

(1)から計算の工夫を心がけて、余計な通分をしなければ、イージーな問題でした。

ということで、恐らく予備校の難易度判定は「易」とかになるのでしょう。
しかし、私の判定では、言うほど易ではないと思います。確かにやることは簡単ですが、先を見越した計算をすること、楽な計算方針を取ること、工夫して計算量を削減することなどなど、こういうところこそが、文系受験者の苦手なところです。
普段、授業を受けていても、先生が細かい計算の工夫まで喋ることは少ないようで、「私と計算の仕方が違う」とか「どうしたら、そういう計算になるかわからない」など質問を受けます。
私は、「代入と通分は、困るまで放置」と教えていますが、そういう方針を示されることもないようです。

実際に受験した生徒が感じる難易度は、もう何段階か上になるようです。

2022(2)文数 解説

(3)これは、さすがに簡単

さて、(3)ですが、これはさすがに簡単と言わざるを得ません。

(2)で、変な分数部分の変形は完成していますから、それを代入すると、αの3次関数が登場します。
αの定義域は(1)で求めていますから、それを利用して、微分して増減を調べておしまい!

振り返ると、(2)は(3)への誘導になっていたのですが、この記事を書いていて(2)の設問の作り方が絶妙だなと思いました。

2022(2)文数 解説

まとめ

この年の4問の中で、最も点数がとりやすかったのが、この問題です。
しかし、このレベル。
かつては、もっと簡単な問題がバンバン出されていたのですが、ここ数年の数学難化は顕著です。

改めて、第2問全体を振り返ってみると、設定も計算もシンプルで非常に良問なんですが、やはり計算力が合否を分けたのかなぁという印象です。
計算力というと、計算のスピードや正確さが引き合いに出されますが、子の問題で必要なのは「先々を見越した計算」ということで、さらに1段階上の計算力の印象です。

よく分析して、日ごろの皆さんの勉強でも、どうしたら最も簡単な計算で進めるのか、研究するべきでしょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)