2014年 東大国語 文科第3問(漢文)『資治通鑑(しぢつがん)』解答(答案例)

答案例とプチアドバイス

(一)「明帝ナルコトキヲンヤト」 (傍線部a) を、明帝の意が明らかになるように平易な現代語に訳せ。【2行】

※実際は書き下し文ではなく、白文に返り点と送り仮名。

答案例:我が子に先帝の子以上に多くの財産を与えることはできないとした、長幼の序を重んじる明帝の意向に反しないでしょうか。いや、反するでしょう。

プチアドバイス:諫言のセリフなので、太宗と明帝の状況の共通点を考えます。「先帝の子」との比較が抜けているのは減点。
「自分の子に領地を与える際に、先帝の子の半分とした」という風に抽象化していないのも減点(太宗は娘に「領地」を与えようとしたのではないので)。

 

(二)「今其礼義キテ人主フルヲ、乃社稷タルヲルナリ」(傍線部b) を平易な現代語に訳せ。【2行】

※実際は書き下し文ではなく、白文に返り点と送り仮名

答案例:今、魏徴が礼義に関する先例を引用して、君主の私情を抑えたのを聞いて、ようやく彼が本当の国家の忠臣であることがわかりました。

プチアドバイス:「礼義」「引キテ」の要素漏れの解答が多いです。また、「観テ」ではありますが、話を聞いて知った場面なので、「聞いて」や「知って」がよいでしょう。

 

(三)「況(ま)シテ人臣疎遠ナルヲ、乃抗言スルコトクノ」 (傍線部c) を平易な現代語に訳せ。【1.5行】

※実際は書き下し文ではなく、白文に返り点と送り仮名と振り仮名(況)

答案例:まして、魏徴は臣下という夫婦より遠い立場なのに、なんとこのように諫言できるのです。

プチアドバイス:条件付き現代語訳問題なので「誰は」に当たる「魏徴は」は補足したいです。「乃チ」は設問(二)とは違って、「なんと・意外にも」の意味です。

 

(四)太宗が怒って 「会(かなら)ズラク田舎翁スベシ」 (傍線部d) と言ったのはなぜか、簡潔に説明せよ。【1行】

※実際は書き下し文ではなく、白文に返り点と送り仮名と振り仮名(会)

(直後の太宗のセリフ:魏徴毎廷我ヲ辱(はづかし)ム)

答案例:魏徴がいつも朝廷で諫言することを、自分が恥をかかされていると捉えたから。

プチアドバイス:魏徴は太宗に恥をかかせようとしたのではないはず。よって、第一段落を踏まえて、「諫言」というキーワードを入れたいです。

 

(五)長孫皇后はどのようなことについて 「妾敢不賀」 (傍線部e)と言ったのか、簡潔に説明せよ。【1.5行】

※実際に書き下し文ではなく、白文のみ。

書き下し文:妾敢ヘテ賀セザランヤ

(直前:妾聞クナラク主明ナレバ臣直ナリト。今魏徴ノ直ナルハ、陛下ノ明ナルニ由ル故ナリ。)

答案例1:魏徴が率直に諫言できることで、太宗が諫言を受け入れられる立派な君主であることが証明されたということ。

答案例2:君主が賢明だと臣下は直言すると聞くので、魏徴が直言するのは、君主である太宗の賢明さの証だということ。

プチアドバイス:「不敢」と「敢不」の覚え方。
「不敢」は部分否定の形なので、「敢えて~しない」と覚えよう。
「敢不」はゴロ(敢不=反語 カンフーパンダ)で覚えよう。

 

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