2023年東大文系数学(第3問)入試問題の解答(答案例)・解説
2023年東京大学 文系数学 第3問
区別するか、区別しないか
設定もシンプル。どこかで見たことのあるような問題なのに、解いてみると複雑で難解。
「あ~なるほど、そういうパターンに落ち着くのか」と毎回思わせてくれるという、絶妙なラインを突いてくるのが、まさに東大の確率って感じですね。
さて、確率の問題なので、分母と分子を場合の数で求めるわけですが、このとき区別をして数えるか、(色ごとは区別するけど、同じ色の球は)区別せずに数えるか、という2択が生じます。
最後に載せる手書きの解答では、ページの左半分が「区別して考えた場合の解答」、右半分が「区別しないで考えた場合の解答」になっています。考え方の違いで、どのような違いが生じるか、見やすく対照的に書いてあるので、参考にしてくださいね。
では、設問ごとに行きましょう!
(1)これは基本問題
赤玉が隣り合わない確率を求める問題。
これは基本問題です。赤玉が隣り合わない場合は、赤玉以外を並べて、隙間に当て込みます。
赤玉以外は、黒だろうが白だろうが関係ないので、残りの8個を全部並べ、両隣と隙間を合わせた9か所のうち赤を入れます。
教科書例題レベルなので、必ず取りたい問題ですね。
なお、この問題は「どの赤玉も隣り合わない」という指定があります。これなら簡単なのですが、
「すべての赤玉が隣合う」場合を否定するばあいは、「全部バラバラになる」とか「2個と2個に分かれる」などの場合を考慮しなくてはならなくなります。
「隣り合う」とか「隣り合わない」の問題は、どの場合を指定されているのか、場合分けが生じるのかなど、割と丁寧に気を付けなければならないので、注意しましょう。
(2)どう手を付ける?
特殊なものから考えよう
(2)も、基本的には(1)の延長です。
隣り合わないようにするのは赤と黒ですから、始めに白5個を並べることは確定。そして、白玉の両端やスキマに赤や黒を入れていきます。
しかし、赤と黒を同時に考えることは難しいので、「赤→黒」か「黒→赤」のどちらかの順で考えることになります。
この時、参考になるのが「特殊なものが先」と言う法則。
今回は、赤玉が4個、黒玉が3個あるので、より「特殊」なのは黒玉です。だから、考える順番は「黒→赤」の順にするとよいでしょう。
ご存じない方のために、簡単な例題を挙げてみます。
【例題】男子2人、女子4人を横一列に並べる。両端が男子になる場合の数は?
この例題の場合、両端と、中央の4名のうち、「男子という指定」がある両端の座席が特殊なので、両端から考えます。
先に両端に男子を並べて、2!通り。残った真ん中の4人席に女子を並べて4!通り。よって2!×4!=48通り
黒は隣り合ってもよい
ということで、白を並べたあと、黒を並べます。
白5個を並べた時の、両端とスキマを合わせて6か所に、黒3個を入れるのですが、ここで間違えやすいポイント!この時点で黒は隣り合っても良いです。
黒を並べたあと、赤を並べます。
そして、最終的に黒が隣り合わなければ良いわけなので、この時点で黒同士が並んでいたとしても、赤を黒と黒のスキマに入れてしまえば良いのです。
ということで、場合分けが発生!
白の両端やスキマの6か所に、
(ⅰ)黒をバラバラに入れる
(ⅱ)黒が2個と1個に分けて入れる
(ⅲ)黒3個を隣り合わせて入れる
の3つの場合が考えられます。
この後、さらに赤をスキマにいれていくわけですが、(ⅱ)や(ⅲ)の場合は、必ず黒と黒の間に赤を入れるようにしてくださいね。
では、手書きの解答です。
2023(3)文数 解説別解:余事象の利用
ちょっと技巧的な解法なのですが、余事象を利用しても解くことができます。
赤も黒も隣り合わない場合を求めるわけですが、余事象をとって、「赤が隣り合わない かつ 黒は隣り合う」場合を(1)の答えから引き算するというものです。
重複が生じるので、そこを差っ引かないといけないのですが、理解できると非常に勉強になると思いますので、どうぞご覧ください。
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