2023年東大文系数学(第4問)入試問題の解答(答案例)・解説

2023年 東大数学 文系第4問の解説

22年ぶりの空間図形

文系では久しぶりの空間図形の出題となりました。
私は元々理系出身なのですが、理系にとって「東大入試は空間図形が必ず出る」と思って対策するのが一般的です。数学の先生として理系も文系も教えていた時には、文系には空間が出ないというのに気づいていませんでしたが、敬天塾をやっていたら、長らく出題されていないことに気づきました。

最後に出たのは、2001年第1問。
類似テーマとして、平面図形ではありますが、余弦定理や正弦定理を駆使して解く問題が出たのは、最後が2006年第1問です。
ということで、22年の時を経て空間図形が出題されたことになります。

ちなみに、私個人としては、「いつか空間が出るぞ」と何年も言い続けていました。
理系と文系で出題される問題こそ違えども、作問者は共通しています’(特に、場合の数・確率や整数では共通問題が出やすい)
理系では毎年のように空間図形が出題されているわけですから、東大の先生型は空間図形の問題を毎年作問しているのです。

それが、文系に出されるかもしれないというのは、至極合理的。
最優先事項とは言わなくても、無視はできないと言っていたので、「ついに出たか」という感想でした。

空間図形では、いつもこうする

久しぶりの空間図形ということで、ちょっとサービス。
単にこの問題の解説をする前に、ちょっと俯瞰した空間図形の問題にいつも通用する解法を解説しましょう。

空間図形の問題では、ポイントが2つあります。
①対称性を利用する
②高さや球の中心など、特別な点の場所を特定し、その点が含まれる平面で切断する
です。(これだけしか使わないというわけではありません。この2つはほぼ必ず使う、という意味です)

今回の問題でもバッチリ通用します。(もちろん、2001年第1問でもバッチリ通用します。)
設問文を見ると、辺の長さが等しいとか、角度が等しいという情報が満載。これを利用して、立体図形をどの切断面で切ると対称性が登場するのか考えることになります。

上手く切る方法が分かったら、切断面をちゃんと紙に書きなおしてみてください。(頭の中でやらないように)
判明している長さや角度を書き込んでみると、先にすすめることが多いです。

後ほど掲載する手書きの解説でも、1ページ半くらい使って、下準備の説明をしているので、ぜひじっくりご覧ください。

 

(1)ただの平面の問題

では、問題の解説へ。

立体は登場しているのですが、(1)はその側面を1つ取り出している問題。もっと端的に言えば「平面図形」の問題です。
平面図形で使うものといえば、余弦定理と正弦定理、面積公式などが代表例。

今回も、余弦定理を使うと辺の長さが判明して、面積公式に代入できるようになります。

 

(2)ほしい長さを1つずつ求めよう!

(2)は体積を求める問題です。
よほど特殊な図形でない限り、体積(錐体)の求め方は「底面積×高さ÷3」です。

(1)で三角形ABCの面積を求めていますから、(2)で求めるのは、ABCを底面と見た場合の高さです。

具体的には、Dから三角形ABCに下した垂線の足(H)までの長さです。
かし、突然求められないので、DとHが含まれる平面の中で求められそうな長さを1つずつ求めていきます。

ここで利用するのが、①対称性と②切断です。この2つによって、球の中心の場所を特定していきます。
今回の問題は立体を切断するときに、完全に対称性が保たれるような切断方法が2つあります。(切断すると、合同な立体2つに分かれる)

この2平面で切断したときに、共通して含まれる(交戦)に球の中心が乗っかるのですが、この流れがアルアル。ぜひ他の問題でもやって見て下さい。

こうして、あれよあれよと色々な長さが出てきて、終了。

道のりはやや長いのですが、イレギュラーな解法を1つもせずに解ける問題です。

2023(4)文数 解説

補足

さて、文系では今後も空間図形が出るのでしょうか?
答えは分かりません。分からないですが、今回出てしまいました。ということは、また出題される可能性が、やや高まったといえるような気がします。

今回は典型的な問題でしたが、次はひねられる可能性もあります。対策すべき分野が1つ広がったと思って、しっかり見ておくべきでしょう。

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